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黒の召喚士 ~戦闘狂の成り上がり~  作者: 迷井豆腐
アフターストーリー2 白翼の地編
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第214話 不適の王

 レムの有する『支配』の権能には、大きく分けて二つの使用方法がある。


 一つは、これまでと同じように周囲に能力を展開し、複数の対象を自身の支配下に置く事だ。一定のレベル以下の相手であれば、殆ど無制限の人数を操作する事ができ、それは生物に限らず、全身鎧やゴーレムの類にも適用される。アダムスの力によって繊細な範囲調整も可能となった、一般的に伝承されている彼女の力と言えるだろう。


 そして、もう一つの方法というのが、レムと彼女の仲間達が長い時をかけ生み出した、力無比なる御業――― 『巨神軍旅ギガストラトス』。レムが緑魔法で作り上げた影の人形に、自分に付いて来てくれた仲間達の魂を憑依させた、ある種のゴーレム召喚である。レムと魂の結びつきが強ければ強いほど、この時に発揮される人形の力は強化される。その上で何者をも恐れない心を『支配』で付与させてやれば、最強の鎧を装着した恐れを知らぬ巨人の兵士が出来上がる訳だ。ケルヴィンが生成したゴーレムに、セラが魂操憑依マインドインテグレーションで魂を憑依させ強化した方法に近いものだ。


 但し大きな違いとして、レムの人形達は破壊されたとしても、彼女の魔力が尽きない限り何度でも、そして即座にがわを再構築する事ができる。世界樹の湖とレムの魔力が連動している現在、その再生に限界はない。弱点があるとすれば、それはレムの持つボロボロのヌイグルミくらいだろうか。アダムスより授かったこの神具ヌイグルミは、配下達の魂の器、言ってしまえば保管場所として機能しており、これがなければレムは魂との対話もする事ができないのだ。つまり、これを何らかの手段で奪取・破壊できれば、『巨神軍旅ギガストラトス』は機能しなくなる。しかし、それは大変に困難を極める事になるだろう。現にそれを成した者は、神話大戦において戦った神の中にも居なかった。


 ちなみに、彼女が作り出す人形の種類は全部で六種、絶望的なまでの頭数を誇る『雑輩の歩兵ポーン』、戦闘力と機動力に優れた『廃残の騎士ナイト』、作戦立案から後方支援と幅広く活躍する『涜職の僧正ビショップ』、複数の弓兵の魂を織り交ぜ殲滅に特化させた『崩落の塔ルーク』、親友の騎士団長のみが憑依する事ができる専用人形、『反逆の将軍クイーン』――― そして、全ての魂から成り立つ『不適の王キング』が存在する。他の人形とは違い、最後に紹介した『不適の王キング』だけは、ある特殊な状況下・・・・・・でしか顕現させる事ができない。


(権能、顕現……!)


 そして今、その特殊な状況下へ向かう為の最後の施錠が外された。


「おっと、これはこれは…… シュトラお嬢様、一度引きます」

「お願い! メルお姉ちゃん、セルジュお姉ちゃんも気を付けて!」


 突如として出現したそれ・・に対し、攻撃を仕掛けようとしていたセルジュとビクトールが、大急ぎで踵を返す。他の敵集団を纏めて食い止めていた筈のメル、反逆の将軍クイーンの相手をしていた筈のセルジュもまた、新たな目標をそれ・・に切り替えて行動に移っていた。


「「「「「谿コ縺励?縺輔○縺ェ縺??ゅ%縺薙?雋エ讒倥i縺ョ蠅灘?エ縺?縲」」」」」

「「「「ッ……!?」」」」


 あの理解不能かつ不気味な声が、幾重にも重なって周囲一帯に響き渡る。その大音量っぷりは、耳にするだけで気絶してしまいそうになるほどだ。


「っつぅー--! 最早声も立派な兵器じゃん! で、アレは何さ!?」

「支配神の真の奥の手、でしょうね」


 それ・・は四方八方に展開されていた影――― レムの人形達が四散し、その漆黒の残骸が寄せ集まる事で形成されていった。幾千幾万の人形達を解体して出来上がっただけあって、その大きさは言葉に言い表す事ができないほどにでかい。かつてトライセンにて敵対した巨大なる敵、ブルーレイジが赤ん坊に感じてしまうほどだ。高層ビルくらい? 或いは山? 見上げれば見上げるほどに、実際の大きさが分からなくなる。


「アハハハハって、もう笑うしかないよ! ちょっとちょっと、急にとんでもないのが現れたもんだね! こんなデカブツを目にするの、流石の私も初めてだ! 何々、さっきのクイーンとやらよりも、より禍々しい見た目になったのかな? ハハッ、おっき過ぎてよく分からないや!」

「笑っている場合ではありませんよ。アレの出現と同時に、世界樹の湖が枯渇してしまいました。一体どれだけの魔力を費やして、アレを作り出したのか…… 神というものは限度を知りませんね、まったく」

元女神あなたがそれを言いますか。ところで初歩的な事をお伺いしますが、白翼の地イスラヘブンは浮遊大陸、なんですよね? 重みで沈んだりしません、これ?」

「その辺は浮遊大陸さんに踏ん張ってもらうしかないかな。万が一の場合の対処法は、私が考えるから…… 今は倒す事に集中しないとね」


 ―――全ての人形の集合体、不適の王キング。人形達の総大将であるレムに危機が迫った際、途方もないほどの魔力を費やして顕現する、彼女の最大戦力である。既存の人形全て破棄し、魂の全てで運用しなければ扱う事ができないこの巨大人形こそが、神話大戦でレムが猛威を振るった最大の要因となっていたのだ。そして、この巨大な姿こそが支配の神、レム・ティアゲートの権能を顕現させたものでもあった。


「あんだけでかいと私達を見失いそうなもんだけど、しっかり補足されてるっぽいね。美少女に見られるのは嬉しいけど、あのデカブツを介して見られるのは…… うん、ちょっと複雑な気持ちかなぁ!」

「ううむ…… 実際、如何します? 目標の彼女、恐らくあの中のどこかですよ? 私は兎も角として、各々方が消耗されているこの状況下、時間をかけて勘任せで捜すというのは、率直に申し上げて愚策だと思いますが」

「『自食』のストックはまだありますが、確かに長期戦は避けたいところですね。と言いますか、マジでどうします? お相手、攻撃体勢に移行しちゃってますよ?」


 遥か空の高みから、不適の王キングがシュトラ達を見下ろしている。黒い靄で覆われている上に雲に隠れてしまっている為、その表情を確認する事はできない。が、何やら口と思われる場所に、魔力が凝縮しているのは感じられる。息吹ブレスタイプの攻撃を放つんだろうなぁと、四人は直感的に理解した。そして、あの規模の図体から息吹ブレスなんてぶっ放されたら、自分達どころか白翼の地イスラヘブンも危ないと、四人は直感的に―――


『―――時間がないから念話こっちで作戦伝達!』

『おっと、噂の念話というものですか。クロト様越しに失礼致します』

『こんな時に瞬間伝達って便利だよね~。それで、どうするのか決まったのかい、シュトラちゃん? 折角だから、私はお姫様の指示に従うぜ?』


 ビクトールはシュトラの持つ分身体クロト越しに、セルジュは予め貸していた分身体クロト越しに、念話に参加する。


『うん、ありがとう! それで作戦についてだけど、立っているだけで白翼の地イスラヘブンに甚大な被害を与えるあんな相手と、長々と戦っている余裕なんてないと思うの。だから目指すは、超短期決戦! 一撃で倒す必要があるわ!』

『まあ、そうなるでしょうね。問題はアレを倒す方法になりますが……』

『狙いを定める場所も問題ですね。先ほども申しましたが、彼女がどこに居るのか、更には急所がどこなのかも現状分かっておりません』

『おいおい、二人とも悲観が過ぎるんじゃないかい? ここには最強勇者の私に、最強に可愛いシュトラちゃんが居るんだぜ? オマケの悪魔と腹ペコも加われば、後は流れで何とかなるってもんだよ、多分!』

『は、腹ペコ……!? そこは悪魔と天使と言う流れでしょうに、普通!』

『クフフ、前向きですねぇ。しかし、シュトラお嬢様も全く諦めていないご様子。何か策があるのですね?』

『うん、えっとね―――』

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