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帰ってきた南雲艦隊  作者: 銀河乞食分隊
異世界の南雲艦隊
16/17

行け 行け 行け 行け 撃て 撃て 撃て 南雲艦隊

 ラーメルシュ帝国からサザーランド共和国を追い出す作戦は第二段階に入った。

 今次作戦は占領された土地全てを奪い返す壮大な作戦だった。本来は部分的に敵を追い出しながら進軍する予定だったのだ。それが変更されたのは取り返した占領地で行われた敵サザーランド共和国軍の蛮行だった。

 占領地管理部隊と称する奴らは撤退するときに一般住民を集め暴行・陵辱の果てに虐殺していった。しかも度を超した重労働を常態として課していた。衰弱死した住民も多いと聞き取りの結果があった。

 奴らに時間を与えてはいけない。そんなことする時間を与えずに殲滅するのだ。逃げ出す暇など与えない。

 一気呵成に実行するために後方予備戦力まで駆り出す文字通りの全戦力投入である。そのための二ヶ月だった。しかも休養などする余裕はない。「休養するなら降格だ」が言葉になった。しかも失敗すれば後が無い。ラーメルシュ帝国とその同盟国や影ながら応援している国も含めて、二ヶ月という短い期間で用意できた全力出撃である。

 今度は地球海軍も出る。母艦航空隊は一部陸上基地に移動して戦線を支える。特に精密爆撃が得意になった南雲艦隊の九九艦爆は全機だった。当然、護衛に戦闘機も付いてくる。こうなると残る九七艦攻も地上爆撃に出てくる。敵艦相手ではないためにぼやきたくなるが占領地での蛮行を知ると気合いが入った。

 海軍の残る艦艇はサザーランド共和国海軍相手に補給線破壊を行う。当然海戦は発生するだろう。能力が上がりすぎた故に地上攻撃に回された南雲艦隊航空隊は歯ぎしりした。


 

 作戦は陸上から始まった。相手の出方を伺いながら予備兵力を効果的に運用し敵を撃滅していく。九九艦爆の精密急降下爆撃能力はかなり役立った。もはや大砲とも言える威力になった零戦の二十ミリ機銃も敵戦車などの装甲車両を次々と撃破していく。九七艦攻は凶悪な威力になった八十番で敵陣地を吹き飛ばす。

 日米のM4A3E戦車は敵主力戦車であるTZ54中戦車を撃破する。強化されたM4A3Eでも手こずるGV56重戦車はM26が撃破する。

 それらに支援されたラーメルシュ帝国軍を主力とする部隊が進撃。少なくない犠牲を出しながらも作戦は進んでいた。



「こちらグレーリトル3、グレービッグ1応答せよ」

『こちらグレービッグ1、グレーリトル3。どうした』

「作戦図に無い敵トーチカ群がある。戦車か爆撃機か重砲の支援を要請したし」

『マップ情報を寄越せ。検討する』

「マップ位置送る。****** *******」

『グレービッグ1受け取った、グレーリトル3少し待て』

「グレーリトル3了解」


『こちらオレンジキング1、グレーリトル3応答せよ』

「こちらグレーリトル3、オレンジキング1どうぞ」

『戦車は無い。爆撃機も無い。出払っている。だが喜べ。砲兵隊が気合い十分だ。ロングトム他で支援する。砲兵隊の観測員が向かっているが間に合わない場合は到着するまでそちらで弾着修正をしろ。いいか』

「グレーリトル3、了解。間に合わない場合は観測員到着まで弾着観測を行う。よろしいか」

『そうだ。担当砲兵隊の符丁はブルージャック2だ。40分後に初弾が発射される。準備しろ』

「グレーリトル3、砲兵隊はブルージャック2了解。支援感謝する」

『オレンジキング1以上。健闘を』


 グレーリトル1小隊指揮官のヘンリー少尉は驚いた。偵察に出てみたら作戦図に無いトーチカ群を発見して中隊本部(グレービッグ1)に繋げてみたら連隊本部(オレンジキング1)が出てきた。ここは意外に重要なのか?


「小隊全員、1マイル後退する。急げ。どこに落ちるか分からん砲撃が来るぞ。サンダースの分隊は俺の分隊と共にあそこの丘に隠れて観測員が来るまで弾着観測を行う」

「小隊長。本職じゃありませんぜ」

「本職は来るそうだからそれまでだ」

「分かりました。大丈夫なんですか、味方の砲撃で吹き飛ぶなんていやなんですが」

「マップ座標は渡した」

「不安ですな。らあゆるものの性能向上に砲弾や砲も入っているでしょう。弾着位置大丈夫なんですか」

「言うな。俺も不安だ」


 小隊は丘に向かう途中で敵と遭遇。交戦を開始し丘を占拠したがトーチカから機関銃や山砲などで攻撃を受けるようになってしまった。

 早くしてくれ。


 砲撃の初弾は45分後に着弾した。とんでもない場所に。ヘンリー少尉達のこもる観測地点からほんの300ヤード。


『こちらブルージャック2だ。グレーリトル1応答せよ』

「こちらグレーリトル1。ブルージャック2は俺たちを吹き飛ばす気か!」

『近かったか』

「目標から800ヤード。俺たちから300ヤードだ」

『なに?わかった。すぐ修正する。観測員は到着したか』

「まだ来ていない。頼むぞ。こんなことで吹き飛ばされたくない」

『修正射を5分後に撃つ』


 その砲撃に驚いたのかトーチカからの攻撃は止まっていた。

 5分後、修正射が来た。今度はトーチカ側へ300ヤード近づいた。それを報告する。

 観測員が到着したのは4回目の砲撃後だった。

 そこからはさすが本職。目標を次々指定していく。早い。

 目標を捉えてからは大規模な演習でも見たことがない弾量が叩き込まれた。そして20分後。砲撃が止んだ。一部は崩れているが。どうだろう。調べに行くしかないか。

 その後応援2個小隊も到着。連隊本部が回してくれたようだ。思ったよりも大事になっている。報告書が面倒だな。ヘンリー少尉は思った。



 そんな戦闘が内陸部で起きていた。

 海上でも順調に敵の排除が進むかと思われた。



 しかし、


『こちらミネリー王国艦隊。至急救援を請う。位置**** **** サザーランド共和国海軍主力と思われる艦隊と遭遇・・・・・』

 

 全く想定されていなかった海域での救援信号の発信。慌てた。ミネリー王国艦隊はラーメルシュ帝国の同盟国で結構な戦力を出していた。この時も主力艦隊が出てきている。いるが規模はサザーランド共和国主力艦隊の1割程度でしかない。なのでまあ出てこないだろうという海域の哨戒をお願いしていた。

 

 で、一番近くに居たのが母艦搭載機を陸揚げしてしまった南雲艦隊だった。


『こちら南雲艦隊。全速で救援に向かう』


 最大出力で派手に発振した。位置情報まで付けて。


『全艦隊、救援に向かえ。決戦である』


 総司令部も調子に乗った。

 ミネリー王国艦隊は涙しただろう。


 

 ミネリー王国艦隊は逃げていた。当然だ。全滅確実な状況から逃れるために。一番近い南雲艦隊という知らない艦隊でもここまで200キロある。時速40キロでも5時間以上かかるだろう。針路によってはさらにかかる。それまで艦隊の燃料が持てばいいが。残量7割程度からの全速だ。そんなに長時間持たない。


 南雲艦隊は一番遅い比叡・霧島でも四十ノットを越える。加賀を始め空母は搭載機収容のため分離しました。時速なら70キロを超える。そんな事実を知らないミネリー王国艦隊は全速で救援に向かうという通信と『全艦隊、救援に向かえ。決戦である』に感謝するのみだった。

 逃げ続けて3時間。通信を傍受して味方艦隊を集まるのを待つのだろう。戦術暗号程度なら短時間で解析できる。こちらに速度を合わせ攻撃もおざなりにしてたサザーランド共和国主力艦隊に動きがあった。


「敵艦隊一部回頭。離れます」

「なんだと」

「敵艦隊に水柱」

「は?」


 信じられないのも無理はない。それは比叡と霧島が最大射程で放った号砲だった。サザーランド共和国主力艦隊の索敵機に捕捉され航空攻撃を受けても無視して突進した南雲艦隊の放った砲弾はミネリー王国艦隊に助かるかもしれないという思いを抱かせるに十分だった。


『南雲艦隊推参』


 もちろん最大出力。


次回更新 2月7日 05:00

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