異世界の巫女 守るため ゴーゴー レッツゴー 南雲艦隊
あの大艦隊がここを転移先として呼ばれたことが事実と認めざるを得なくなったラーメルシュ帝国。
帝国皇帝マシュマー4世が参謀本部長本部長キケ・ヘツナンデス大将に聞く。
「それは事実なのですか。報告書を読んでも信じられないのですが」
「はい。事実と認めざるを得ません。科学者達も信じたくないが事実だと認めております」
「ならば事実なのでしょう。で、その大艦隊?ですか。どのくらいの規模なのでしょうか」
「我が帝国と互角以上、いえ、正直に言えば倍以上の海軍戦力かと」
「参謀本部長」
産業大臣モントーヤ伯爵が途中で口を挟む。
「なにか、私は皇帝陛下に説明しているのだ」
「いや、その。陛下、そのようなことを信じるのですか」
「様々な事柄から事実と認めざるを得ないだろう」
「しかし、かの者の目的も分かりません。敵と通じていたらどうするのですか」
「本部長。どうなのか」
「彼らはサザーランド共和国ではなくこちらを選びました。いきなり撃ってこなかった、という理由で。彼らは巫女の言葉を聞き準備をしここまで来た存在です。そんな彼らが敵と通じるならこちらは既に一方的にやられています。それほどまでの戦力差です」
「分かった。彼らは友好的存在として扱う。皆、よろしいな」
「「「「はい」」」」
「その、サザーランド共和国ですか。それが強大な敵であると?」
「はい。私たちの国ラーメルシュ帝国は百年くらい前からより従うように求められておりましたが、尽く拒否していました。以前は相手の方が大きいとは言え国力差が大きくなく、向こうも引き下がりました」
「では、何故今頃になって戦争に?」
「ここ五十年くらいですが急速に隣接国へ侵攻をし占領し併合することで勢力を増してきました。今では四倍以上まで開いています」
山口司令長官一行は帝国高官や学者からレクチャーを受けている。軍人だと軍事に傾くことが有るからと軍人以外から求めたのだ。
「サザーランド共和国の政体は共和国となっていますが、実態は共和国大統領による専制政治です」
「共和国なら憲法でそういうことが出来ないのではないですか」
「当初はそうでした。しかし、四代前の大統領は非常に人気が高かったのですが一部周辺国の併合を成功させたことで人気がさらに高まり、その人気と併合を成功させて強いという要素も加わり憲法の改正に成功しました」
「まさか世襲制ですか」
「それなら間抜けが出てくる可能性も高いので、まだマシだったかもしれません。奴らは後継者、次期大統領を指名制にしたのです。しかも現職大統領が自分を指名して再び大統領になることも可能にしました。これは誰を指名するかわざと明確に法制化しなかったのです。同時に大統領権限をかなり強くしたので、権力の集中と掌握を成功させました」
「でも選挙で弱らせることは可能でしょう」
「選挙制度が我が国と違い有権者は高額納税者と歴史有る名家で、さらにそれ以外の有権者として選挙人指名制度があります」
「つまり自分に都合の良い選挙人を指名出来るとでも言われるか」
「その通りです」
「呆れるな」
「サザーランド共和国単体で人口は我が国の倍。生産力は二倍半程度。技術力は変わりません。が、品質はこちらが上です。奴らは数を優先し品質は二の次としています」
「単体とは」
「周辺国、まあ占領して属国にされてしまった国々を含めていません」
「それらを含めると、どうなるのですか」
「人口で四倍、生産量で六倍です」
「勝ち目はないですな」
「全くです。しかし我が国も周辺諸国の援助があります。相対的に人口比で七対三、生産力で三対一となりますよ」
「相当無理と思えるのですが」
「巫女様に感謝を」
「巻き込まれた方はたまったものではありません。まあ助けるために呼ばれて来ましたから勝ちます」
「貴方方にも感謝を」
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「バックボーンは分かったと思う。では軍事に行こうか」
「本番か」
「そうだ。遠慮しない口調で行く。変に言葉を飾ると違う意味に取られかねないのでな」
「それは賛成する」
ラーメルシュ帝国とサザーランド共和国はおおよそ八千kmの海を挟んで距離があり島はあるが有力な基地に出来るのは外周で最大百km程度の島が三個と外周十kmから八十kmの島が三十個ほど有るだけ。その島の取り合いで負けて現在本土に上陸され劣勢であると。
「南雲艦隊の機体が攻撃を受けたのがサザーランド共和国の占領地から飛んできた機体だと。これでいいのか」
「その通り。現在海軍は島の取り合いで消耗して、有効な海上反撃手段が無い」
「奴らは補給し放題なのか?」
「概ねその通り」
「ラーメルシュ帝国の資源や物資の補給体制はどうなっている」
「全量賄えるわけではないが国内に石油と石炭はある。高度な石油精製技術もあるし製油所は結構遠いので空襲範囲に入らない。鉄やアルミも最低限国内で賄える。繊維は大丈夫。食料もある。足りない物資や資源は、サザーランド共和国を気に入らない国が結構有るのでそこから提供を受けている。要するにサザーランド共和国と戦って勝ってくれという奴だ」
「他の国は参戦しないのか」
「何カ国かは参戦しているが規模が小さいので大部分は後方支援戦力だな」
「前線には出てこないと」
「一部陸軍と空軍と海軍は出ている」
「戦争技術だが、技術水準そのものは同等と聞いた。なら同じようなものか」
「それなのだが、ここ半年で奴らの兵器水準が急激に上がった。まだ一部しか出回っていないのか数は少ないが脅威だ」
「その資料ももらえるのだな」
「もちろんだ」
その後、艦隊に帰って参戦するかどうか会議を行うことにした。
検討の結果、南雲艦隊とアメリカ艦隊とイギリス海軍の合同でサザーランド共和国を打ち倒すことになった。たとえ重巡サフォーク1隻でもイギリス海軍である。
これは以前南雲艦隊が転移したときに戦争が終わったと思われた時点で帰ってきたことが、今は唯一の希望となっているせいだ。
勝てば帰ることが出来る「かもしれない」だが、それは希望というには十分すぎるものだった。
ラーメルシュ帝国に参戦の了承を伝え、効果的な戦場介入地点を検討すると言って、戦況図や地図と海図などの提供を受けた。
まずやったのが戦力の把握。こちらに来ておかしな性能になっている可能性もある。実弾演習の出来る地域を借り、総点検をした。
次回更新 1月18日 05:00
ラーメルシュ帝国
元々は三個の国であったが外敵に対抗しているうち連合国家になり国家元首である皇帝を二十年周期の持ち回りで輩出する。皇帝は三個の自治州から時期が来ると推挙される。立憲君主制で議会があり国会議員の多くが完全普通選挙で選ばれるなど、この時期の地球よりもかなり民主的でもある。法律はほぼ共通。地域特性で多少違う法律や規則がある程度。これは、主導権争いをする内に「ウチの国はこんな優れた制度や法律が」とやり合ったあげくほぼ平準化されてしまったという過去がある。
巫女のいる自治州が日本語に近い文字を使っている。他の自治州は英語に近い感じだがよくわからない。
謎翻訳能力が転移後発揮されており、会話や読解に不自由はない。はず。
皇帝の権力は強くないが最終意思決定には関われるくらいにはある。また面倒な決裁事項は政治家の責任回避から回されてくる事が有る。南雲艦隊の件とか。
皇帝には個人として名字は存在しません。皇帝の座に着いている間は名前のみ。皇帝の座を降りると以前の姓+名に戻ります。
総点検の結果は次回。ますますおかしくなる南雲艦隊と強化された従来艦や装備は?




