時も世界も 遙かに超えて 異世界呼ばれる 南雲艦隊 南雲艦隊 南雲艦隊 南雲艦隊
南雲艦隊司令長官山口多聞大将は、参謀三人を引き連れ会議室に居た。艦隊指揮は南雲忠一前艦隊司令長官に預けてある。
ここはラーメルシュ帝国の会議室である。
十日前、転移した日だが最後の偵察機である瑞鶴二番が帰投し全機分の写真の現像や口頭報告が纏められたのは、十日前の深夜。
翌朝、九日前であるがアメリカ軍の首脳とサフォーク艦長を赤城に招いて報告と会議を行った。
交渉するなら「いきなり攻撃してきた相手よりも、警告射撃もせずに誘導してきた相手だろう」ということになった。
そして誰が行くかとなったが「我々が行く」と南雲艦隊から申し出た。この中で一番怪我しない脅威の体を持っているからだと説明した「拳銃弾では傷ひとつ付かないのだよ。おかしいだろう」と言って。
その後交渉をするべく、瑞鶴二番が撮影した飛行場まで航空機を飛ばして無理矢理着陸した。飛んだのは九七艦攻。選んだ理由はレベルアップと二度の異世界転移で恐ろしいほどに強靱になったから。タイヤさえも。
その機体には機銃員を降ろして南雲艦隊司令部の通信参謀小野中佐が乗っていた。一番語学に明るいという理由で。
どんな言語か分からないので不安しかない小野中佐と搭乗員達。
当然のように着陸後は銃を突きつけられ包囲された。
小野中佐は風防を開け敵意はないと両手を挙げた。
「あなた方は誰だ。どこから来た。目的は」
驚いた、日本語にしか聞こえない。
私が代表して答えた。私が答えるしかないのだが。
「我々はこの世界に紛れ込んだ。えーと解るか?突然この世界に来てしまった。見れば判るだろう。この機体と識別標識は君らの世界にあるか?そして現状を知りたい。教えてもらえないだろうか」
向こうの指揮官らしいのが出てきた。階級章が高級っぽい。偉い人だといいが。
「なんで言葉が通じるか。それとその機体も識別標識も見たことはない」
「こちらも分からない。が、そういうものだと思う方が気が楽だ」
「気が楽か。ずいぶんのんきだな。私はこの基地の警備隊少佐ホーキンズだ」
「私は南雲艦隊通信参謀小野中佐。ホーキンズ少佐、この機体と私たちはどうすればよいか」
「その機体に武装は?」
「自衛用の機銃と、我々の個人携行武器だけだ」
彼は兵に向かって武装が確認出来ないかもっと近づいて見るよう命令した。兵は恐る恐る近づいてきて
「爆弾はありません。機体に機関銃は確認されません」
「よろしい。小野少佐、自衛用の機銃はどこにある」
「内部に格納してある、7.7ミリの小さいものだ。すぐには撃てない」
「ならよろしい。機銃には手を掛けるなよ。そして少し待て。基地司令にお伺いを立てる」
「お願いする」
彼は乗ってきた車で建物に向かった、アレが基地司令部か。通信機は持っていたが通信ではらちがあかないだろうなと思う。
そして諸々があり、南雲艦隊司令長官山口多聞大将と通信参謀小野中佐と航海参謀雀部大佐と航空乙参謀吉岡中佐がここに居た。
もっとも小野中佐は人質よろしく基地に居残ったのであるが。艦隊はここから二百海里地点で遊弋している。
会議室でラーメルシュ帝国統合参謀本部長本部長キケ・ヘツナンデス大将と山口多聞大将が話している。
「さて、お話は伺いました。あなた方は全く違い世界から来たのだと」
「信じる気になりましたか」
「信じる以外有りませんな。この星にはあなた方と同じ装備も識別標識も存在しない」
「それは良きことです。事実ですから」
「それでも、信じられないのですよ。誰かの声を聞いて準備したらこの地に現れた?誰が信じるのですか」
「『強大な、助け、求め、願ぃ』助けを求める女性の声がそこだけはハッキリと聞こえましたな」
「そんなことを信じてあの戦力を用意したのですか」
「その通り」
「狂ってる」
「なに、一回異世界へ転移してみれば信じるようになります」
「その転移が信じられないんです」
「でも実際に我々は経験しました。ここで二回目。別の標識を付けた艦艇は初めてです」
「何故そこまで」
「女性に助けを求められて奮い立たないのは男でないでしょうな。我々は漢です」
「本当に信じられませんが、一応国内に照会をしております。もしあなた方を呼んだ女性がいれば分かるでしょう」
「ありがたいことですな」
「しかし、その間、上陸は認められません」
「何故」
「防疫上の問題です」
「我々が病気を持っていると言われる?確かにそうかもしれません。艦隊でも軍医が警戒するようにと言っておりました」
「そうでしょうとも。それなのに何故、艦隊司令長官がここに来るのですか」
「最高司令官としての責任です」
「とにかく、防疫上の確認が終わるまでは上陸は認めません。いいですね」
「仕方ありませんな」
司令長官達がお泊まりした翌日、驚愕の知らせが基地に届いた。
呼びかけた女性が現実に居たというのだ。
文言も『強大な、助け、求め、願ぃ』を含んだ祈祷を捧げたという。その祈祷は多くの参列者の見ている前で行われたので、参列者も一緒に同じ言葉で祈祷したという。
そして今現在、その祈祷を捧げた女性がこちらへ向かってきていると。
「どうだね、ケツナンデス大将」
「だがまだ確証が取れたわけではない」
「無理をせず認めたまえ」
その日の午後、基地に二機の輸送機が護衛機十機と共に訪れ二十人ほどの人間を降ろした。
その中に祈祷したという女性を含む一団がいた。また、外務大臣と国防長官もやってきた。
早速、女性と山口司令長官一行が顔合わせをする。山口司令長官一行に女性はフガ神社の巫女でテレザと自己紹介をした。山口司令長官一行は自分の神社を紹介する宣伝用だろう紙を1枚渡された。
そこには何故、漢字が?
山口司令長官一行はこの世界といっても見たのは基地内だけであるが漢字は見たこともない。
『皆様のお参りをお待ちしています。安産・家内安全・商売繁盛なら当富嶽神社へ。病気平癒・交通安全・健康長寿も』
と書かれていた。
なんだコレは?普通の神社ではないか。
「失礼だがフゴ神社というのは、この部分 [ 富嶽 ] をフガと呼んでいるでいのですか」
艦隊首席参謀の大西大佐が聞く。
「はい。その文字をフガと読んでいます。嶽という文字は私たちの文字にはありません」
「なんですと。ではこの文字は」
「はい。その文字は、フガ神社建立のきっかけとなった火山噴火があり噴火前に在った神社がその噴火で潰れてしまいました。その後、後片付けをしていると不思議な文箱がありました。その神社には無かったというのです。また噴火で潰れた神社に有ったにしては傷ひとつ付いていないという不思議な言い伝えがあります。他の文物は傷だらけになっていました。その文箱の中には綺麗なお札と共にフガと書いてある紙切れが入っていました。富はフと読みますので、では嶽はガだと推測されたのです。今ではご本尊様としてお祀りしてあります」
「なるほど。実はその文字ですが ふがく と読みます」
「まあ。そうなのですか。ふがく ふがく 富嶽…ああ、何故かとてもよく似合います。祈祷をここで庫なってもいいでしょうか。何か力が湧き上がってくるのです」
彼女、巫女テレザは誰かが止める前に祈祷を始めてしまった。何故か誰も止められない。
その祈祷は山口司令長官一行のみならず、沖合の南雲艦隊一同まで届いた。
当日、富嶽神社が輝いていたとも。
結果、彼女に呼ばれたという事が事実だったと認められた。南雲艦隊の全員が彼女の祈祷をそらんじられたのだった。
次回更新 1月17日 05:00




