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――32――

総合評価1000pt超え、ブクマ200件超えありがとうございますー!

びっくりして思わず見直してしまいました…w

日間ファンタジー異世界転生/転移ランキングBEST300にはコンスタントに乗るようになりました。

読んでくださる皆様のおかげです、本当にありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけるように頑張りますっ!

 ヴェリーザ砦に向かう最中の段階で、騒動は相当大きい事が解る。最初の頃には見えていなかった火柱があちこちから立ち昇り砦中の大きな音は離れていても聞こえるほどだ。

 中で何が起きているかはあんまり想像したくないな。


 援軍が来たとわかったのか、それとも初めから逃げ出そうとしていたのかわからないが、砦の側も動く。大きな音を立てて跳ね橋が降り、堀を越えられるようになると同時に両開きの木製の扉が開いた。

 どっと出てきたのは明らかに戦闘員ではない服装の人たちだ。クナープ侯も無理やり非戦闘員を戦闘に参加させようとしていたわけではないようだな。


 「構わん、鎖を叩き切れ!」

 「おうっ!」

 「誰か戦斧を持ってこいっ!」


 魔物に知恵があれば再び跳ね橋を引き上げようとするだろう。そうなると困る。今もそうだが後で砦に入るマゼルが。

 そのため遠慮なく非常事態と言う口実で跳ね橋の鎖を切断して、橋を橋のまま固定してしまう。言い訳は後でいくらでもできるさ多分。


 ダヴラク子爵の隊が橋を駆けてくる人たちを誘導するため松明を掲げさせる。人間面白いもので明るい方に向かう。だんだん砦から離れるにつれ明るくしてあるのは、一度暗闇で明るいものを見ると目が光に慣れて周りが見えなくなるから。

 光で非戦闘員を誘導しているのは戦闘部隊の中に駆けこまれると隊列も何もなくなるから意外とこのバランスが難しい。ある程度行ったところで今度はクフェルナーゲル男爵の隊が落ち着かせ保護する。

 負傷者の治療も含め男爵は明らかに貧乏くじだが我慢してもらおう。


 「オーゲン隊は橋の左、バルケイ隊は右に並べ! 弩弓(クロスボウ)用意!」

 「はっ!」

 「第一射は俺の指示で行う。全員あわせろ」

 「了解です」


 マックスはいかにもと言う感じの大男なのに対してオーゲンは中肉中背、バルケイはそれより背が高く全体としてはむしろシャープな感じ。

 今回マックスは留守番なのでこの二人が俺の分隊長と言う事になる。二人とも三〇代だが年齢もキャリアも上なので筆頭補佐はオーゲンだ。

 ただしオーゲンの方が気が若いらしく集団戦の時はやたら楽しそうに馬を駆っていた一人でもある。バルケイはどちらかと言うとクール型だな。

 なんかもうすっかり年上に指示するの慣れた。いや前世の分も考えれば俺の方が年上だけどね? 胃が痛いのは変わらんが。


 「構え」


 新手の労働者たちが橋が下りているのを見て中から駆け出してくる。その後ろから二足歩行の人ではない影が複数追ってきた。

 砦内部に火が燃え盛っているので、炎を背景にした相手はシルエットでしかわからないが、俺はこいつらを知っている。骸骨兵スケルトンウォーリアー動く死体(リビングデッド)か。やはりここはあいつの戦場らしい。


 「撃てっ!」


 合図とともに二〇本を超える矢が扉付近にいた魔物に降り注ぐ。弩弓(クロスボウ)は慣れていなくても命中精度が高い。魔物が針鼠になってその場に崩れ落ちた。撃たせた俺が言うのもなんだが骸骨兵にも矢が効くんだな。

 一方で味方からも多少の動揺の声が聞こえる。


 「動く死体と、あれ、骸骨だよな」

 「ああ、話でしか聞いたことがなかったが……」

 「狼狽えるな! 実際にああして倒すことができるのだ!」


 オーゲンが檄を飛ばし新たな矢をつがえる指示を出すと従卒たちも慌てて応じる。狼狽えてはいても怯えてはいないので良しとする。

 一般騎士や従卒の印象はこんなもんだろう。魔王復活と聴いていても目の前に見たことのないバケモノが現れるまで現実感は乏しかったに違いない。

 今まで王都付近はせいぜい魔獣型だったが、このヴェリーザ砦の辺りからいかにもって敵が増えてくるし。


 まあ今回のボスである魔軍三将軍のひとりドレアクスは「奴は最弱」と言われてもおかしくないんだが。実際、後半ダンジョンでエンカウントする雑魚の方が絶対強い。なぜ将軍になれたのやら。

 もっともラスボス前に四つの扉の三門番として復活再登場してきたときはかなり強いが。復活怪獣は弱くなるもんだろうと突っ込んでおく。そういえば四天王はしないけど三将軍は復活するんだよな。

 どうでもいいが人名はドイツ風なのに魔物の読みは英語なのは謎だ。この辺もゲームの影響か?


 それはそれとしてまた脱出してきた一団を支援しつつ、魔術師隊のフォグトさんに支援に来てもらう。幸いすぐに連絡が付いた。砦から脱出してくる人を支援する待ち戦だからだな。


 「御用ですか、ヴェルナー卿」

 「助かります。魔術師隊を使ってお願いが」


 砦の両開きになっている扉の向かって右側、その蝶番を破壊し扉が閉められないようにして欲しい、と頼むと当たり前だが驚きの表情を浮かべた。


 「後で問題になりませんか」

 「もし知恵のある魔物が扉を閉めたら、中にいる人間が鏖殺される危険性があります。そのぐらいなら脱出先を確保しておきましょう」


 一見正論だがこれも後で砦内部に入りやすくするためだ。ゲームだと簡単に入り込めるんだが実際はどうなのかわからんからな。

 実際魔王城とかフィールド上で移動すればすぐ中に入れるのはどうなのかね。敵の本拠だろうに。あれも舐めプなんだろうか? 毎回潜入ミッションやらされたらめんどくさいのは確かだが。


 「承知しました」

 「私が頼みましたので報告はそのように」


 なにやら決意を漂わせているので責任は自分が取るとアピール。いや責任取らせる気はないってば。

 魔術師隊の魔法が一点に集中し爆発が起きる。扉の片側が傾いたが外れないという状況になり、更に俺の隊が矢を放つ。戦況を見ていたフォグトさんが怪訝な表情を浮かべ始めた。


 「奴ら、砦の外に出て来ませんね」

 「内部制圧を命令されているんですかね」


 俺も一応不思議そうな顔は浮かべておくが、ゲーム上のフィールドが違うからだろうと思ってはいる。そんなことは言えないが。

 それとも事実砦内部がドレアクスの管理区域になるのかね。そんなことを考えていたら中からまた複数人数が駈け出してきた。騎士数人と身なりのいい……あ、面倒事になりそう。

 まあそれはお任せする事にするか。とりあえず脱出の支援はする。


 「おいお前たち、指揮官は誰だ! そいつはどこにいる!」


 橋を渡り切った騎士の一人が偉そうに俺たちを怒鳴りつけた。真ん中にいる体格がよくて身なりのいい目を血走らせた若いのがこの集団の長ですかね。


 「我々はツェアフェルト子爵の隊ですが、この軍の指揮官はシャンデール伯爵です。もう少し向こう側におられますが」


 バルケイが冷静そのものの口調で応じる。フォグトさんが唖然としてるのは逃げてきた人間の態度じゃないからだろう。

 その一団は下っ端に用はないという顔を見せると本隊に向かって駈け出して行った。


 「……えっと」

 「他の脱出者を支援する。オーゲン、バルケイ、弩弓(クロスボウ)準備。そろそろ他の隊と交代もするぞ」

 「はっ」

 「承知しました」


 何か言いたげなフォグトさんをスルーして敵の迎撃準備を進める。実際ずっとツェアフェルト隊だけが敵の迎撃やってるわけにもいかない。

 交代部隊とのタイミングもあわせないといけないから考える事の多さでキャパオーバーになりかねん。面倒事は押し付けるに限る。

この一言を書かないと評価はいらないと思われるらしいので…


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― 新着の感想 ―
[一言] ちゃんと強い四天王がラスダンでしか出てこないポ○○ンやF○を見習わなくちゃ
[一言] ここまで読んだ感想です。内容は自分好みで、とても楽しく読ませていただきます。ただ単語の由来とかで説明が長くなったりするところが気になりました。偶にWikipediaを読んでいる気分になってし…
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