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24/249

――24――

総合評価も250点超えましたー

ブックマークしてくださっている方も毎日少しずつ増えているので嬉しいです。

花粉に苦しめられていますが私はまだ頑張れるー!

 フェリ。正確にはフェリックス・アーネート。勇者パーティーの斥候(スカウト)だ。設定年齢十四歳だが腕は超一流。フェリがいないと攻略できない罠だらけの迷宮もある。

 かわいいという方が近い外見だがキャラクターの性別は間違いなく男。このゲームが二〇年遅れて発売されてたら多分女の子だっただろうな。

 後どうでもいいが外見デザインはディズ●ーアニメのピーターパ●のイメージだろこれ。


 そんなことを考えながら冒険者ギルドの席の方に座りなおす。もちろんフェリも一緒だ。やる事がないわけじゃないがこいつがここにいる以上顔をつないでおいて絶対に損はない。


 「良く知ってたな、俺の顔」

 「子爵様は有名人だしね」


 身長が低いせいで大人用の椅子に座ると足が床に付かないんでぶらぶらさせながらフェリが応じる。前に置かれているのは酒でもよかったんだが果実水だ。

 ちなみにテーブルの上にあるドライフルーツやナッツも含めて俺のおごり。


 「そんで、子爵様は何をやろうとしてるんだい?」

 「簡単に言えば買い出しだな」


 そう言ってビアステッド氏にも語った表向きの理由を説明する。魔王関連はともかく、この装備品集めの件ならフェリならすぐに調べるだろうから隠しても意味はない。


 「へぇ、あちこちの町で装備品買いあさるんだ」

 「買いあさるは表現が良くないな」

 「じゃ、買い占める」

 「それは意味が違う」


 どこまで本気かわからん。フェリってこういう性格だったな。冗談を言っても嫌われないタイプだ。相手の懐に入り込むのが上手い。

 なお物理的にも懐の物に手を伸ばすのも上手いんだが、この場ではさすがにやらない。冒険者ギルド内部でスリなんぞやったらギルド追放ものだからな。

 ただこのスリの上手さが役に立つイベントがあるだけになあ。相手から重要アイテム掏り取るとか、考えてみれば当時はめちゃくちゃ斬新だったわ。


 「面白そうだなぁ。おいらも参加したいかもしれない」

 「なぜ疑問形なんだ」

 「遠い町に行くのは楽しそうだけどそれだけだと行く必要性が良くわからないからかな」


 まあそうか。まして魔王復活の件は秘密だしな。

 さてしかし考えてしまう。フェリと言う大駒をどこに配置するかだ。しばらく王都での情報収集系の作業を裏で支えてくれる人材が欲しかったのも事実。

 フェリならその辺りもそつなくこなすだろう。


 一方で、商隊に参加して地理や移動先を確認してもらう手。これはむしろマゼルとパーティーを組んだ後で勇者パーティーの役に立つ。

 消費アイテムだが一度行ったことのある町にテレポートできる飛行靴(スカイウオーク)ってアイテムを購入すれば、フェリの加入時点で行動範囲がぐっと広がる事になるからな。

 そしてその飛行靴を購入できる町にも商隊が行くわけで。二つ三つ予備を用意しておけばマゼルの方が楽になるだろう。


 「フェリは何をしたいんだ?」


 ストレートに聞くがこの聞き方は人が悪い。主語を故意にぼかして聞いているからだ。だがフェリはあっけらかんと応じる。


 「何もないかも。面白ければいいかな」

 「……ある意味解り易いな」


 だが同時にこれほど解りにくい答えもない。確かなことはこのタイプを罠ではめようとすると、罠から脱出する自分に面白みを感じて全力で逃げ出そうとすることだ。

 ある意味一番面倒なタイプでもある。こういう新入社員に苦労させられた。


 「なら面倒くさいがそれなりにスリリングな仕事をうけてもらえるか?」

 「へえ、どんなの?」

 「さっきの商隊に同行する側の斥候(スカウト)


 そう言ってから先日の魔物暴走が仕込まれていたものであること、ほかの地域でも同じことが起きている可能性があること、魔物の出現分布が変わる可能性などを説明する。

 実際は可能性じゃないんだがそれを知っているのは今の段階では俺ぐらいだろう。


 「要するに今までは安全な道も安全じゃなくなっている。出てくる魔物も違っているだろう。それを警戒することになる」

 「時間もかかるし大変そうだなあ」

 「そのかわり新しい町でそこにしかない物を買ったり、珍しいものも食えるぞ」


 うん、少しだけ表情が変わった。やっぱり色気より食い気だな、フェリの年だと。そういえば各町に色町もあるんだろうか。その辺あんまり気にしたことなかったな。


 「日当とは別に買い食いの予算を付けてもいい」

 「それは美味しい条件と言えるかも」

 「俺にしてみれば商隊が無事戻ってくれればいいからな。その程度の出費は惜しくない」


 それも嘘偽りのない事実。と言うか本当に無事に戻って来てくれないと困る。商隊の安全確保にフェリがいればその可能性は上がるだろう。

 何より、王都の細々した作業は俺が大変なだけだがマゼルが有利になる事はそのまま全体への波及効果が期待できる。

 そう考えるとフェリに外界を回ってもらう方が今後の投資になるかもしれない。ただ積極的に参加する気とまでは言えない表情だな。後はフェリの設定から切り込んでおくか。


 「詳しくは数日後に伯爵家で顔合わせの懇親会をやるんで、その時に顔を出してくれ」

 「気が向いたらね」

 「これは足代だ」


 ぽんと金貨と銀貨が入った袋をテーブルの上に投げ出す。その音だけで中身を大体把握したフェリが驚いた表情を浮かべた。


 「いや、いくら子爵様でもこれは出しすぎじゃないの?」

 「俺はそんなに金には余裕はない。名ばかり貴族だしな」


 半分以上事実。俺の金は伯爵家である父のものがほとんど。今回は親から借金してるようなもんだ。だがこれは先行投資になる。


 「けど渡した以上フェリの物だ。どこに寄付したって文句は言わねーよ」

 「っ!」


 確か孤児院出身って設定だったな、フェリ。そしてゲーム中にそんな描写はなかったが、主人公パーティーに参加するこの性格だ。絶対に孤児院とのつながりは切れてない。

 そういえばゲームのマップには孤児院なんて建物なかったな。


 「狩育日に顔合わせする予定だ。じゃ、またな」


 後は孤児院出身であるという事を俺が知っている、と言う点をフェリがどう判断するかだ。何処で知ったのかと疑われて警戒される可能性が半分はある。

 だがこの博打は賭ける価値が高い。これ以上の問答を切り上げて日付だけ伝えるとすぐにその場を後にした。活動資金が無くなったんで今日は切り上げだな。


 本来なら休日の生誕日はこうして忙しく終わった。はあ。後は槍の訓練だけして寝るとするか。

この一言を書かないと評価はいらないと思われるらしいので…


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