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――164――

いつも感想、評価等で応援、本当にありがとうございます!

異議ありは違いますからw(でもちょっと想像はした)


切りのいいところまで書こうとしたら変に長くなってしまいました。

 「ええと、何がどうしてそうなったのでしょうか」


 何が何だか状況がさっぱりわからん。とりあえず説明プリーズ。そう思っていると大神官の服を着ているその御仁がもう一度頭を下げてきた。


 「ブラジウス・イザーク・レッペと申します。フィノイ防衛の功労者たる子爵閣下にはお初にお目にかかります」

 「ご丁寧なごあいさつ痛み入ります。ヴェルナー・ファン・ツェアフェルトと申します。猊下、私にはどうぞ普通にお話しください」


 貴族である俺に対しては敬語を使ってきた。という事は、さっきの謝罪は俺にじゃなくてリリーに対してなのか。なんか面倒くさいことになっていそうな気配だなあ。


 ちなみに前世で法皇や枢機卿相手に対する敬称が猊下であるように、この世界では最高司祭と大神官相手には猊下が敬称になる。使うことはめったにないが。伝統的に宗教側(むこう)が親しみを持ってもらうためという事で、よほどの正式の場でなければ様でいいと教会側が言ってきていて、こっちもそれに準じている。


 「それで、状況を確認させていただきたいのですが」

 「概要からがいいかね、それとも細かく説明したほうがいいかね」

 「……概要からお願いします」


 セイファート将爵がそう言ってきたので大雑把な説明から求めることにする。というか、こういう言い方をするという事は、細部が相当入り組んでいる可能性が高いから、問題点だけを確実に把握しておかないと混乱しかねない。


 「うむ。端的に言うと、勇者(マゼル)に関して隣国デリッツダムが笛を吹き、我が国の中でそれに踊った者がおる。だがそれが外部に漏れた結果、現在王国と教会側で問題にどう対応するか相談中。これが概要じゃ」


 デリッツダム。確かトライオットの東側に位置している国だ。そこが笛を吹いたという事は。


 「ええっと、ひょっとして、トライオットの状況絡みですか」

 「卿に責任はないがその通りじゃ。デリッツダムが旧トライオット領に欲を出しておる」

 「できれば国境線を西側に広げたい。しかし、軍を出すには怖いと」


 魔将(ゲザリウス)討伐の噂を聞きつけたという訳だな。しかし旧トライオットにしてもデリッツダム国内にしても、魔軍がいなくなったわけじゃないから、中途半端に対応すると痛い目を見る危険性がある。


 「一気に大軍を出して実効支配地域を拡大したいが、そうなると国内の魔物が怖い。そこで軍を動員している間、勇者を国内に留めておきたいと考えたのじゃよ」

 「裁判の被告と言う形でですか」

 「儂はあまり彼と親しくないが、不当な裁判の被告としてであっても民が困っていると聞けば、魔軍の問題には手を貸すのではないかな」


 あり得る。確かにマゼルの性格なら冤罪に対し堂々と振る舞おうとするだろうし、その間に苦しんでいる民やらなんやらの話を聞けば、自分に対する不当な扱いを脇に置いて魔物退治には協力する。むしろその可能性の方が高い。

 冤罪であることを承知の上でずるずると裁判を引き延ばし、その間マゼルを利用しようという腹か。つまりこの訴えは初めから時間稼ぎが目的、と。


 「笛を吹いた側の意図は解りました」

 「訴えは神殿に対して行われた。勇者(マゼル)殿が聖女(ラウラ)様に不逞(ふてい)不埒(ふらち)な態度をとった、と言うものだ。神殿裁判は大陸のどの国でも神殿があればそこで開くことができるので、このままなら被告人のいるデリッツダムの神殿で開くことになっただろう」


 今度はレッペ大神官様が口を開いた。不逞不埒とは。


 「無用に触れているとか、未婚であるにもかかわらず一つ屋根の下で眠ったとか」

 「一緒に旅をしていれば、そのようなことはあって当然のことだと思いますが」

 「私もそう思う。が、その訴えが書類上は受理されてしまっている」


 なぜにと思ったが、理由を聞いて心底腹立たしくなった。

 マゼルを訴えた貴族Aいわく「勇者とは言え平民であるから文字も書けない。ゆえに代理人を経由して、訴えの内容を理解し裁判に出ることを了解したとの書状を預かってきている」とのたまわったんだそうだ。学園でもマゼルは成績上位なんだが。


 「どこの貴族ですかそれ」

 「すまないがそれは後で説明させていただけないだろうか。ひとまず訴えが受け入れられた問題を説明させてほしい」

 「……解りました」


 通常、裁判は被告も訴えられたことを了解しなければ開かれない。いくらこの世界が中世風でも当たり前だ。ところが書類上は「文字が読めないが代理人からの説明を受けて了解した」という代理人の書類と、説明がきちんと行われたことを証明する立会人証明書まで形式的には整っていたらしい。


 「デリッツダムで説明を受けた、という書類がヴァイン王国の神殿に提出され、書類上問題がなければ受理はされる。担当のマラヴォワ大神官は手続きを行った」

 「マラヴォワ大神官様の意図は」


 仮にも訴えられたのは勇者だ。確認してもいいはずなのに確認せずに手続した理由があるはず。


 「マラヴォワ大神官はヴァイン王国で訴えた貴族の親戚なのだ。金品も動いているようだが」


 内心でずっこけた。まさかのコネかよ。確か神殿裁判の担当は輪番制で四週間ごとに交代だったはず。だからこのタイミングになったのか。


 「だがここで別の問題が生じた。担当になったマラヴォワ大神官の部下であるケンペル司祭はこの件を利用しようとしたのだ」


 ケンペル? どこかで聞いた名前だと思ったら、リリーを引き抜きに来ていた司祭じゃないか。え、それってひょっとして。


 「大神官の席が一つ空いているのは知っていると思うが」

 「承知しております」

 「ケンペル司祭は自分がその席に座るためにこの問題を利用しようとした。この裁判をもみ消す代わりにリリー殿を教会に奉仕させる見習いとして自分の手元に置こうとしたのだ。勇者殿を神殿側に引き付けるためにな」


 兄君への不当な訴えを却下してあげますから、その代わりに教会で働きなさいってことか。そして今度はリリーが教会にいることを口実にマゼルも引っ張り込むつもりだったと。予定は未定だろうそれ。しかし何というか百鬼夜行の様相を呈してきたな。


 「ところがケンペル司祭はリリー殿と接触できなかった」


 母が門前払いしていたし、最近は俺と一緒に書庫で作業という形で一般レベルでは行方不明だ。確かに、訴えが起こされた後でリリーに接触するのは意外と難しかったわけだな。

 そう言えば数日前に妙な男が声をかけようとしていた記憶があるのは気のせいか。ノルベルトの調査ではケンペル司祭も貴族家の出身だったはず。奴はリリーを呼び出すメッセンジャーだったのかもしれない。


 「そして教会内で事故が起きた。ケンペル司祭がずるずると時間を費やしているうちにどこかで手違いがあり、裁判の書類を別の部署の人間が目撃してしまったのだ。その人物は女性職員だったのだが、その職員が他の職員に教会内で勇者が裁判にかかりそうだ、しかも不逞、不埒が理由だ、と話してしまった」

 「えーと、つまり」

 「既にあちこちで話題になっている。主に教会に対する不満でだが」


 大神官様、苦渋の表情を浮かべてらっしゃる。まあそうねえ。もみ消しようがなくなっちゃったわけだし、庶民レベルでは勇者であり勇敢でもある美男子(マゼル)の人気は高いしなあ。その書類を目にとめた女性職員、若い子だったのかもしれない。

 しかしそんな話があれば教会は何を考えているのかと騒動が起きても、って、騒動。もしかして。


 「ひょっとして」

 「子爵は理解が早いですね。一部貴族が教会に不逞とはどういうことかと公開質問状を送っております」


 宰相閣下の発言に俺ですら頭を抱えたくなる。魔将退治の勇者に好意を持つ武断派の貴族もいるだろうし、第二王女(ラウラ)と良い関係を築きたい貴族にとってもそんな噂は大問題だ。一時的に教会と関係が悪化しても事情を確認したいと勇み足を踏んだ貴族もいるだろう。けど貴族が出てきたら騒ぎが大きくなるのも当然だよ。


 「中にはこんなことになったのはツェアフェルトの責任だ、という声も出てはいる。が、その声に関しては私が抑えよう」


 あの、王太子殿下。室温が氷点下に下がったんじゃないかと錯覚するような声を出さないでください。俺でさえ怖いんで。とりあえず話を逸らそう。


 「えーと、たしか、書類は受理されていたと」

 「その通り。少なくとも裁判を開始することに何も問題はない。むしろ、ここで逆に裁判を起こさない場合、神殿裁判の存在意義が疑われてしまう」


 大神官様が苦渋の表情で応じる。書類上は何の問題もないと受理したのに相手が特別な人物(ゆうしゃ)だから後回しって事になれば何のための法かって話になる。確かに裁判の意義が危うい。


 「書類が偽造だと公表するわけにはいかないのですか」

 「大神官殿の名誉と、訴え出た貴族家の反発が起きる。その貴族家から我が一族が書類を偽造したのか、と騒ぎだすと面倒だ」

 「どこの貴族家なんですか」

 「コルトレツィス侯爵家じゃよ」


 将爵が口を開いた。随分懐かしい名前を聞いたな。まだあったのかと突っ込みたくなる家だ。緊急出動令があったフィノイの戦場にいたのかいなかったのかさえ記憶がない。思わず変な顔を浮かべてしまったが、ちょっと誤解されたかもしれない。


 「卿の年齢では知らぬのも無理はない。現国王陛下の母君のご実家になる。当時の当主は優秀であったがその次の当主がいささか評判が悪くてな」


 将爵が簡単に説明してくれるので俺も素直に聞いておく。俺ですらほとんど記憶がないぐらい影の薄い家だからリリーは本当に聞いたことがないだろうし。


 「身も蓋もない言い方をすれば貴族社会では負け続きじゃ。王妃殿下を選ぶ際にはグリュンディング公爵に負け、王太子殿下の代のみならず次の代でもシュラム侯爵に負けておる」

 「当分先まで浮かび上がる余地はないですね」


 それこそ非合法の手段を使わなければな。しかし何だろう変な違和感がある、と思ったらその理由の少なくとも一部を説明してもらえた。


 「じゃが仮にも数代前には王妃殿下を輩出した家じゃ。血縁親族は多い。しかもコルトレツィス侯爵当主は現在病気で寝たきりになっておってな。侯爵夫人が事実上の当主となっておる」


 当主の年齢を考えるともう結構な歳のはず。つまり娘と孫娘を揃って王家に振られた女性が事実上の当主なのか。なんか性格がひん曲がってそうだな。ってこれひょっとして。


 「もしかして、訴えたのはマゼルが目的と言うより第二王女(ラウラ)殿下の評判を落とすためですか?」


 聖女などと呼ばれている王女だが、実は男とふしだらな関係になっていると評判になれば少なくとも王家の評判には傷がつく。まさかの嫌がらせなのか。


 「夫人にはその意図があったかも知れぬ。じゃがの」


 将爵、今度はあきれ果てた表情を浮かべております。はて。


 「次期侯爵になるであろう侯爵の孫の内、長男は自分こそが第二王女(ラウラ)殿下の婿に相応しい、と公言しておってな。むしろ一方的に恋慕しておる」

 「はあ。お人柄は」

 「行政手腕は平均貴族程度にはあるが、気質は芸術家肌じゃな。美しい姫は美しい私の隣にいるべきだ、などと薔薇の花束を贈りながらぬけぬけと言っておったらしい」


 それは芸術家ではなくて単に気持ち悪いだけです。オブラートに包むとそういう表現になるしかないけど。と言うかそれ、ラウラが一番嫌いそうなタイプなんだが。


 「一方、次男は夫人に同調しておるようでな」

 「ええと、参考までに伺いたいのですが、夫人とそのご子息は今どちらに」

 「現当主の長男はすでに病で没しておってな。それもあり夫人は領地に引き籠っておる」

 「夫人がまさかここまで愚かだとは思わなかった」


 口を挟んだ王太子殿下、吐き捨てたぞ。つまり現当主が病気で倒れた結果、侯爵家の人間がそれぞれ指揮者もなく暴走しているのか。しかもどうやら総司令官になるべき黒幕の侯爵夫人は王都の情報をすぐに仕入れることができない領地で引き籠っている。

 そこに隣国デリッツダムが勇者相手の裁判という手段を上手く吹き込んだ上、教会内部の権力闘争まで絡んで騒ぎが大きくなった、と。


 デリッツダムにしてみると自分たちが前面に立つと外交的にもややこしくなる。そりゃそうだ、なんせ裁判の場で聖女(ラウラ)本人がそれは冤罪です、と断言すればそれで終わりだ。むしろラウラに対しても我が国に対しても遺恨が残る。

 そこでデリッツダムの誰かさんは考えた。勇者(マゼル)をヴァイン王国の貴族に訴えさせればいいと。そうしてコルトレツィス侯爵家の誰かを煽り、煽られた馬鹿がマゼルが聖女(ラウラ)に対し非礼なことをしていると、ヴァイン王国内で教会相手に訴え出たわけだ。縁が遠くてもラウラにも侯爵家の血は流れているわけだしな。


 後はデリッツダムでの裁判を長引かせれば、デリッツダム王国にとっては軍を動かすことができてどさくさ紛れに国を広げられて万々歳。裏面の事情はわかりきっていても表向きヴァイン王国は文句の言いようがない。恥をかくのは冤罪で勇者を訴えたコルトレツィス侯爵家だけだ。

 俺はあったことはないが、貴族家当主である侯爵が病気で倒れたりしていなければここまで混沌とした状況にはならなかったような気もする。


 とにかく現状をまとめると、


 ・隣国:デリッツダム

   → 土地も欲しいけど勇者の力も欲しい。

     そうだ、裁判を口実に勇者をしばらく利用しよう

 ・教会:マラヴォワ大神官

   → 侯爵家に恩を売って大神官の地位安泰だぜ

 ・教会:その部下であるケンペル司祭

   → 俺も大神官になりたい。そうだこの件を利用しよう

 ・貴族家:コルトレツィス侯爵夫人

   → 事実かどうかはどうでもいい。王家に恥をかかせなさい

 ・貴族家:コルトレツィス侯爵の孫

   → ラウラの隣にいるのは俺だ。勇者なんか冤罪で追い落としてやる

 ・庶民と一部貴族

   → 勇者様や聖女様が不逞ってどういう事なんですか! 説明求む!


 という事になるのか。


 その上、今までの話からするとコルトレツィス侯爵夫人は王家に恨みはあっても勇者(マゼル)には恨みとかはなさそう。つまり侯爵家の部下にしてやろう、ぐらいは考えているかもしれない。孫の長男が勇者をラウラのライバルとして敵視していることに気が付いているんだろうか。その辺で情報の齟齬が起きてないかこれ。


 あのー、だれか頭痛薬と胃薬持ってませんか。


 冗談はともかく、これ、うがった見方をするとマゼルとラウラを引き離す意図があるように思える。例えばラウラだけがフィノイ大神殿に戻って弁護の手続きをするとか。ラウラが再び襲われる可能性も考慮するとそれは絶対に避けなきゃならない。えー。どうするんだよこれ。落としどころが見つからんぞ。



 「そこでだ。リリーにはすまないが協力を頼みたい」

 「私、ですか」


 王太子殿下がすまないなんて言うのも珍しいが、呼びかけられたリリーが驚いた顔をしている。


 「代行裁判を開く方向に持っていく事とする」


 代行裁判。要するに被告人が何らかの事情で裁判に出られない場合に、被告の代理人がその裁判に応じる方法だ。実際問題として、病気になったり事故で裁判に出られないことはあり得るんで、そういう方法がある。

 だがそうすると被告人はマゼルではなくリリーかその両親に……あ、そういう事か。被告人がこの国にいる以上、裁判そのものも国内で開くことになるのか。


 「代行裁判開催の手配に関しては私が行う。書類偽造の疑いがある以上、マラヴォワ大神官に任せるわけにはいかない。民もそう考えるでしょう」


 周囲の声を使って裁判を行う実務はレッペ大神官が引き取ると。ごり押しにはなるだろうが、貴族家や民衆が説明を求めていて、もし勇者(マゼル)聖女(ラウラ)が書類を確認して偽造でしたとなったら大事だ。

 むしろ裁判を開いて無罪でしたと結審し、書類を突っ込んで隠してしまう方が教会側の面子も保たれる。マゼルやラウラにはでかい借りを作る事になるだろうけどそんなことまで知らん。


 「代行裁判を行う際には被告人、今回は勇者殿ですが、勇者殿が裁判に出られないという事を証明しなければなりません。その証人は私がやりましょう」


 宰相閣下がそんなことを言い出した。これはあれか、デリッツダムに対する牽制だな。国全体で勇者を守るぞ宣言か。しかしそれって。


 「邪魔をされたコルトレツィス侯爵家がリリーを恨みませんか」


 裁判の場に勇者(マゼル)第二王女(ラウラ)を引っ張り出すことが目的だった侯爵家から見れば、余計なことをと不快に思うだろう。平民のリリーに対して腹を立ててもおかしくない。


 「正直に言えばその危険性はある。だが、ここまで出遅れた責任は油断していた私にある。ゆえにこの件では私が前に出る」


 はい? 殿下、今なんと。そう思っていたら空気が一気に変わった。


 「宰相たるファルケンシュタイン、将爵たるセイファート、大神官たるレッペはこれが我が命であることを銘記せよ」

 「ははっ」


 三人が一斉に頭を下げた。宰相クラスが証人となればだれも異論は挟めないだろう。


 「王太子ヒュベルトゥスの名を以て命じる。ハルティング家は勇者(マゼル)に対する不当な訴えを退けるために王室に協力するように」

 「は、はい」


 ごくり、とリリーがつばを飲み込んだのが解る。うん、この迫力はちょっと他の人には真似できない。てか物理的に圧迫感を覚えるんですがどういうことだよ。本物のカリスマってこういうものか。


 「大神官レッペ、この裁判の原告側はコルトレツィス侯爵家の関係者に間違いはないな」

 「はい」

 「平民と貴族家では法的知識に差がありすぎる。ゆえに、代行裁判は双方代理人を立てての決闘をもって行うのが望ましいと考えるがいかに」

 「王太子殿下のご意見、もっともな事かと存じます。代行裁判は決闘をもって執り行うことと決定いたしましょう」


 ……そうきたかあ。ってあれ、それってもしかして。


 「代理被告人たるリリーよ、汝が頼む勇敢なる騎士は誰か」


 そう聞かれたリリーは俺の方に視線を向けた。俺も頷く。この事態は想定外だが、俺の悪評が生きる時だ。俺に頷き返し、息を吸ったリリーが一息で言い切った。


 「わたくしは、わたくしの代理人として、ここにいるヴェルナー・ファン・ツェアフェルト様を、指名いたします」


 リリーが俺を信じて俺を指名するなら、俺はそれに応えてみせる。

一気に書いたんで読みにくい所があるかもです、ごめんなさい

大筋は変えませんがそのうち推敲して書き直すかも

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― 新着の感想 ―
人類の敵は魔族だけにあらず。もうコイツラまとめて滅ぼしちゃおうよ。 バカって生物は懲りないから、命ある限り機会探してまたやるから。
相手さん側がみんな、それぞれ自分勝手な思惑で動いてることに笑ってしまいました。 相関図みたいなの作ったら面白そうですね。
ピタゴラスイッチのトンデモ裁判にびっくりしてたら、 リリーから騎士の指名 ロマンとときめきを感じました
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