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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Connect! 皇子はその手を離さない。【中】

私信:十夜ちゃん、お誕生日おめでとう。

愛しているよ♪

「立てるかい?」

 余りに痩せ細った少女を見ると泣けてくる。

これが好き放題やって、特権意識に凝り固まった者達が生み出したモノだと思うと・・・。

ひいては全て皇族たるオレの責任だ。

「ごめんな・・・。」

 思わず口をついて出た言葉は、誰に向かって言ったんだろう?

「後で、替えの服をあげるから、今は我慢してね。」

 無言でオレを見つめる少女。

理解してるよね?

まさか、言語能力が低いとか・・・何処まで教育を受けているんだろうか?

「ミリィ。」

 少女の扱いに困って、思わず呼んでしまった。

観衆は既に大半が解散している。

「行く所が増えたから急ぐよ。」

 この子の服と、剣と、宿か。

面倒事は回避したかったんだがな。

「待て。」「待ちたまえ。」

 だから、回避したいんだってば。

わざと無視というか、視線すら合わせないようにしてたのに。

「はぁ・・・。」

 聞こえないくらいの小さな溜め息をついて、仕方なく二人の男女を見る。

二人共、水をさされたせいか面白くなさそうにしているのはありありと理解出来た。

「何か?」

 とりあえずは反応してみよう。

「何故、邪魔をした?」「何故、あの子を買った?」

 二人の質問は全く違った。

前者が男の方で、後者が女の方だ。

どうやら、二人は別々の理由で面白くないらしい。

「えっと・・・どちらの質問から先に答えればいいのやら・・・。」

 このまま曖昧に誤魔化したい。

「何故、事情も知らずに大金を出してあの娘を買った?」

 女の方が身を乗り出して強調する。

その手からは、槍斧は離されていない。

「うん、知らないな。君達の事情をオレが知らないように、オレの事情も君達は知らないだろう?公平だ。」

 屁理屈で煙に巻けるといいなぁ、なんて。

「それに大金というが、人の命が金貨三枚は大金か?"命"だぞ?」

 でもさ、後者は違うよな?

オレは間違ってない。

それが少しカチンときてる。

「君は・・・観衆から聞いたが、彼女の扱いに怒ったのだろう?怒りを覚えるなら、君が買えば良かった。」

 そういう手段だってあったはずだ。

「それを大金と思って君は買わなかったのか?だが、オレは買った。」

「それは!」

「懐事情もあるだろう。あの役売りを豊かにするのが嫌だったかも知れない。でもそれは手段に過ぎない。結果、彼女はオレのモノだ。」

 やべぇ、今のオレ、悪役っぽくない?

「もしオレが役売り以上の悪人だったら、君はその大金を渋ったが為に、手段を選んだ為に結果は彼女は救えなかった。」

 残酷だが事実だ。

いや、決闘に巻き込まれるのは嫌だったけれど、彼女を買った事には後悔は全然ないよ?

ミリィの頼みでもあったし。

「オレを偽善と貶したければ、貶せばいい。何せ、オレには自覚あるしね。ただ決闘している時点で既に間違っているとは思うが。」

 はい、会話終了。

意外と素直に聞いたな。

「えぇと、何故、邪魔しただっけ?邪魔しないよ、どうぞ?勝手に決闘やってどっちか死ねば?もしくは相討ちで両方でもいいよ。」

 オレは二人から少し距離を取る。

「何?」

 ギロリとオレを睨む。

「だって、二人共抜いたんだから、覚悟の上でしょ?そんくらい。」

 だからコイツ等は馬鹿だってんだ。

こんな事が出来るのは人を殺した事のない人間くらいだよ。

「誰にも迷惑のかからない所で、さっさとやって死ねば?決闘なんてそもそも見世物じゃないし。」

 命ってそんな事で消費されるべきもんじゃないよな?

オレだって、人を殺しているけれど自分が殺して当然とは思っていない。

奪えば奪う程、いつか自分もそうなるって思っている。

怪我だってしまくったし、倒れたしな。

しかもつい最近。

「中断したのは悪いと思っている。すまない。お詫びにその金貨あげるから、死んだ方の葬式代に使ってくれ。墓標がないのは寂しいからな。」

 オレは言うだけ言って、反論がないのを確かめるとさっさとその場を去ろうとした。

「待て!」

 まだ何かあんのかよ・・・萎える。

「私の名はアイシャだ!せめて名を!名を名乗れ!」

 えー。

それで解放してもらえるのなら・・・いいか。

「オレの名前は"トウマ"だ。」

 オレはそう彼女に告げて、その場を今度こそ後にした。

皆様、活動報告でもコメント受け付け中です、はい、お気軽に。

実は、こっそり違う話を練習書きしてみたりしてます、あはは。

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