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暁のミッドウェー  作者: 三笠 陣@第5回一二三書房WEB小説大賞銀賞受賞


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補論2 帝国海軍の西進作戦

 史実ミッドウェー海戦後、帝国海軍が独伊からの要請もあってインド洋攻略を考えていたことは『戦史叢書』などにも書いてある通りです。

 この時、マレー半島西岸メルギーに第七戦隊を中心とする通商破壊艦隊が集められ、八月より作戦を開始する予定でした。しかし直後にガダルカナル島に米軍が上陸したため、このインド洋での通商破壊作戦「B作戦」は立ち消えとなってしまいました。

 一方、作中世界ではすでに七月十日を期してインド洋での通商破壊作戦が開始されることになっております。

 一九四二年の七月は、北アフリカ戦線においてトブルクを陥落させたロンメル将軍率いる枢軸軍とイギリスを中心とした連合軍とによるエル・アラメインの戦いが始まった時期にあたります。

 この時期にインド洋で通商破壊作戦を行うことの重要性は、野村実氏や平間洋一氏などの海軍史研究者によって指摘されております。

 史実では北アフリカ戦線での独伊軍の優勢を見た陸軍が、六月よりセイロン島攻略および東部インド進攻作戦を立案し、作戦準備に入りました。

 作中世界ではセイロン沖海戦で英東洋艦隊が大損害をこうむった影響で、連合軍によるマダガスカル攻略作戦「アイアンクラッド作戦」は実施されておりません。

 この時点では史実でもアデン湾の要衝ジブチはヴィシー・フランス政権の支配下にあり、独伊軍が北アフリカ戦線で勝利してスエズ運河を手に入れ、日本がインド洋の制海権を確保出来れば、日独伊の連絡航路が打通されることになります。

 こうしたことから、日本による西進作戦は史実以上に現実味を帯びることになるでしょう。

 問題はハワイ攻略に拘る山本五十六の存在ですが、MI作戦の失敗と主力空母四隻の損傷から、当面の間は大人しくしているだろうと思われます。恐らく、史実のように米軍の反攻時期を昭和十八年中期以降と見通したことから、空母戦力が回復されるまでの間、インド洋で連合軍を攪乱する作戦に同意すると考えられるでしょう。

 作中世界では史実と違い、MO作戦もAL作戦も行われておりません。MI作戦も史実同様に失敗しました。

 そのため、MO作戦に投入された陸軍の南海支隊(歩兵三個連隊基幹)はともかく、MI作戦に投入された一木支隊(歩兵第二十八連隊基幹)はインド洋作戦に投入が可能なはずです。AL作戦に投入された北海支隊はもともとが北海道・千島列島の守備隊などを中心に構成された部隊ですので、そもそもAL作戦が実施されなかった作中世界では、編成すらされなかったと思われます。

 この一木支隊に加え、史実でもセイロン島攻略に投入される予定だったという第三十八、第四十八師団でインド洋の攻略に乗り出すことになるでしょう。セイロン島のイギリス軍守備隊は、三〇〇〇名程度だったそうですから、二個師団規模の兵力を投入すれば攻略はそれほど難しくないはずです。

 最大の障害となる船舶量の問題ですが、ガダルカナル攻防戦が行われないのならば、インド洋に回すことは可能でしょう。

 作戦の実施時期は、史実では九月から十月を予定していたと言われていますから、作中世界でもその頃になるかと思われます。

 海軍側の参加兵力は、次のようになると考えられます。


  第二艦隊  近藤信竹中将

第三戦隊【戦艦】〈金剛〉〈榛名〉

第四航空戦隊【空母】〈隼鷹〉〈飛鷹〉〈龍驤〉

第四戦隊【重巡】〈高雄〉〈愛宕〉〈摩耶〉

第二水雷戦隊【軽巡】〈神通〉

 第十五駆逐隊【駆逐艦】〈黒潮〉〈親潮〉〈早潮〉

 第十六駆逐隊【駆逐艦】〈初風〉〈雪風〉〈天津風〉〈時津風〉

 第十八駆逐隊【駆逐艦】〈霰〉〈霞〉〈陽炎〉〈不知火〉


  攻略部隊  志摩清英少将(第十六戦隊司令官)

第十六戦隊【重巡】〈那智〉〈足柄〉

第一水雷戦隊【軽巡】〈阿武隈〉

 第六駆逐隊【駆逐艦】〈暁〉〈響〉〈雷〉〈電〉

 第二十一駆逐隊【駆逐艦】〈初春〉〈子日〉〈若葉〉〈初霜〉


 作中ミッドウェー海戦で最も損傷が少なかった空母は隼鷹ですので、セイロン島攻略作戦には参加出来るでしょう。

 また、アリューシャン列島を攻略していないために、第五艦隊に那智を増派する必要もありませんので、第十六戦隊はこのような編制となります。南西方面艦隊の旗艦は、香椎となるでしょう。また、史実第十六戦隊の軽巡鬼怒、名取、五十鈴は、第一海上護衛隊直率部隊となると思われます。

 なお、この世界線でも、海上護衛総隊の創設は指揮系統の混乱是正や日独連絡航路護衛などの必要性などから一九四三年四月一日付になると想定しています。

 さて、一方で連合軍側の艦隊ですが、作中セイロン沖海戦で戦艦ウォースパイト、空母インドミタブル、フォーミダブル、ハーミス、重巡コーンウォール、ドーセットシャーなどを失っております。

 英東洋艦隊の残余の艦艇は、史実同様にダーバン(南アフリカ)、キリンディニ(ケニア)の港に退避することになるでしょう。作中世界ではマダガスカル攻略作戦は行われていませんから、アフリカ東岸どのどこかの港で戦艦ラミリーズは特殊潜航艇の攻撃で大破することになります。

 そうなりますと、インド洋に存在する英海軍戦力は、戦艦ロイヤル・ソブリン、リベンジ、レゾリューシュンの三隻を中心とした、空母を持たない水上艦隊となります。

 セイロン島の基地航空隊は、もともと一〇〇機未満の兵力しか持っていませんでしたから、日本側の作戦を阻止するのは困難でしょう。

 もちろん、北アフリカ戦線の影響で連合軍にとってインド洋航路の重要性は格段に上がっていますから、アメリカがサウスダコタ級や空母ワスプ、レンジャーをこの方面に派遣して日本軍の阻止にあたる可能性もあります。

 しかし一方で、太平洋戦線で艦隊が壊滅した影響、そして米豪間の海上交通路確保の目的もあって、上記戦力は史実のように九月段階で太平洋に回航されている可能性が高いです。そのため、アメリカ艦隊がインド洋防衛に加わることは、時間的・距離的に難しいと考えられます。

 そうなると、日本軍はセイロン島を攻略、独伊軍はスエズ運河攻略後にジブチに進駐して日独連絡航路が確立されると共に、マダガスカルのヴィシー・フランス軍とも連携して同島に潜水艦の拠点などを設置、インド洋を完全に枢軸軍の制海権下に置くことも可能でしょう。

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