17、名木山紫紋の思惑
☆名木山めぐみサイド☆
名木山紫紋。
奴はどこに居るのだ。
そう思いながら私は家に帰る為に人込みを歩いていると「おねーちゃん」と声がした。
私は「!!!」となってから背後を見る。
そこに...紫紋が居た。
私を見てから近付いて来る。
「...何」
「ようやっと見つけたよ」
「...だから何。...貴方なにをしに来たの?」
「お姉ちゃん。私、貴方が鬱陶しいんだ」
「直に言うだけ...私を散々虐待しておいて」
「うん。でもそれお姉ちゃんが悪いんだからね」
その言葉に、成績が悪いとでも言いたいのかコイツ、と思いながら人の流れを見ながら紫紋を見る。
紫紋は「...お姉ちゃん。私を殺した事、覚えてる?」ときい...は?
私は「待って。それどういう意味」と聞く。
すると「ああ。やっぱりその事は覚えてないんだね」と笑顔になる。
「私、お姉ちゃんに殺されたからこの世に居るんだよ」
「...は?嘘も大概に」
「嘘じゃないよ。...貴方は私に恨みがあった。そして私は殺され貴方は自殺した」
紫紋の嘘も大概なものだ。
そう思いながら私は「記憶にない」と言った。
紫紋は「まあどっちにせよ私は貴方には復讐するつもり。...貴方が邪魔だから。それから...私はお父さんから遺産を全部貰う」と笑顔になる。
私はぴくっと眉を動かした。
それから「私は遺産には興味はない」と否定をする。
「知ってるよね。私のお父さんが...癌だって事」
「知ってるけど。私には関係ない事でしょ。どっちにせよ」
「遺産って分割されるんだよね。姉だと」
「...それが何か」
「貴方は私を殺した癖にとか成績悪い癖に遺産をお父さんから貰うのが許せなくてね」
「...遺産はどうせ私の名前は書かれない。だから安心したら」
「そうだね。だからこの話はここでおしまい。でもまだ私を殺した事が解決されない」
「私は貴方を殺してない」
「そう」
それから私に向く紫紋。
私は「先ず私は貴方を殺したら捕まるでしょう」と言った。
紫紋は「でもこの世界でも殺すんでしょ?私達を」と話した。
笑顔で。
私は「...殺したらメリットは無い」と回答する。
そして歩き出す。
すると紫紋は「メリットは私達に復讐出来るよね」と笑みを浮かべた。
足を止める。
「...貴方なんか殺してもね」
「お姉ちゃん。いずれにせよ私は貴方に強い恨みがある」
「どうしてなのか。私は貴方を殺したにせよこの世界に転生したから良いじゃない」
「そういう問題?」
「邪魔しないでほしい」
「邪魔するよ。だって私は殺されたんだから」
私はその言葉に忌々しくなる。
それから「...殺した、殺してないにせよ。私はこれから先は貴方に関わらないから安心してよ」と言う。
そして紫紋を見る。
紫紋は「前の人生では順風満帆な生活だった」と言葉を発した。
「それが台無しになった責任を取ってくれるかな」
「取らない」
「あっそ」
それから紫紋は「...叔母さんの家にいつまでも居れると思わないでね」とニコッとした。
そして紫紋は去って行く。
私はそんな紫紋に「つまりは貴方は私に何をしてほしいの?」と聞く。
すると紫紋は「お姉ちゃんと認めない。貴方を」と怒りを見せてから去って行く。
私はその姿を見てから溜息を盛大に吐いた。
☆
名木山紫紋は...俺に「姉に殺された」と言った。
俺はその言葉に眉を顰めながら考えながら家に帰る。
そして家の中に入ってから俺は鞄を置いた。
どうしたものかな。
そう思っているとメルからメッセージが入ってきた。
(二郎さん。今度、一般人向けのこの町のウェディング会場で模擬のウェディングイベントがあって...一緒に参加しませんか)
そんな言葉が綴られていた。
俺はその言葉に(それ良いな)と返事を書きながら椅子に腰かける。
メルは(ですよね)とニコニコしているウサギのキャラスタンプを送ってくる。
俺はその文章とスタンプに笑みを浮かべる。
それから(メル。いつにあるんだ?)と聞いてみる。
するとメルは(今週の土曜日です)と回答してくれた。
俺は(そうなんだな)と書く。
(あ、そうだ。二郎さん)
(ああ。どうした?)
(大丈夫ですか?朝の件...)
(...まあな。...ろくな目になってないけど)
(そうなんですか?)
(ああ。話はややこしくなってきた)
メルに全てを説明する。
するとメルは(え)と絶句した。
それから(それ本当ですか?)と言ってくる。
俺は(ああ。全て...本当だ。だけどこれを奴が。名木山めぐみが憶えているかは別らしい)と話す。
その言葉にメルは考え込む様に数秒間メッセージを閉じた。
そして(名木山紫紋か名木山めぐみが嘘を吐いているんじゃ?)と書いてくる。
(やっぱりそうなるよな?)
(私は信じません)
(どっちも信じられない屑だからな。どっちもどっちだわな)
(ですね...)
メルはそう言ってから(私は嘘を吐いていると思います)と言う。
その言葉に俺は(だな)と回答する。
それから窓から外を見る。
そして立ち上がって着替える事にした。
するとメルからメッセージが来た。
(私は名木山一家は私はマジに信じません)
(...ああ)
(先輩。名木山めぐみも名木山紫紋にも。のめり込まないで下さいね)
(感情移入している訳じゃない。...だが俺達の安全上。...名木山一家が邪魔だな)
(私は名木山紫紋はサイコパスって思います)
(無茶苦茶だな。でもそうかもな。感情が読み取れないし)
(でもそうなると何故前世を覚えているかですよね)
それは確かにな。
そう思いながら俺は居るとインターフォンが鳴った。
なんだよこの時刻に。
俺はインターフォンを覗く。
そこに...名木山めぐみが立っていた。
「なんの用事だ」
「信じろとは言わない。...だけど私達が何故この場所にタイムリープしたのか分かったかもしれないから来た」
「...は?」
「私達をこの世界にタイムリープさせた人物は名木山紫紋だと思う」
俺は衝撃を受ける。
そして「どういう...事だ」と聞いた。
名木山は「...彼女が殺されたのは嘘だと思う。...そして何でそういう嘘を吐いたのか。それは...彼女が貴方を好きだからなんだと思う。私を悪い印象にしたいんだろうね。メルさんが危ないよ」と答えた。
は?...は?!
どういう事...だ。




