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ダンジョンに潜むヤンデレな彼女に俺は何度も殺される  作者: 北川ニキタ
第三章

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73/176

―73― 合成

〈回復力強化〉を選んだ場合。

 550スキルポイント払って、レベル3まであげることができた。

 傷の治りが早くなるため、長期戦に強くなったが、傀儡回し相手だと一撃で死んでしまうため、あまり意味はなかった。





〈隠密〉を選んだ場合。

 このスキルも550スキルポイント払って、レベル3まであげることが可能だった。

 途中、遭遇する魔物に見つからず行動できるため、道中は楽だったが、聖騎士カナリアには普通に気付かれたので、あまり意味はなかった。





〈身体強化〉を選んだ場合。

 220スキルポイントを払って、レベル3まであげる。

 先のスキルと違って、たった220ポイントで済んだ。恐らく、スキルのレア度が低いほど、レベルアップに必要なスキルポイントが低いのだろう。


「あれ? 意外と戦いやすい」


 ふと、道中の魔物と戦っているとそんな感想を得る。

〈加速〉を選んだときは素早く動くことで敵を倒すことができたが、その分の体力の消費が激しく、連発することができなかった。

 対して、〈身体強化〉はあらゆる身体能力が強化されたようで、非常に戦いやすくなった。

 まぁ、聖騎士カナリアには負けたが。

 ただ、〈身体強化〉がこれほど戦いやすいことを知れたのは大きな収穫だった。





〈筋力強化〉を選んだ場合。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 合成の条件が揃いました。


 △△△△△△△△△△△△△△△


 宝箱の前で〈筋力強化〉を選んだ瞬間、予想外のメッセージが表示されたので、俺は驚く。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


〈剣術〉+〈筋力強化〉▶〈剣術(大剣)〉

 合成に必要なスキルポイント:610ポイント


 △△△△△△△△△△△△△△△


 というメッセージが現れて、俺はようやっと合成の意味を理解した。

 どうやら二つのスキルを一つにすることができるらしい。

 スキルを一つにするメリットはなんだろう?

 例えば、一人が持つことができるスキルは五つまでと決まっているため、合成すれば、所持できるスキルの枠が新しくできるというメリットがあるか。

 まぁ、デメリットはなさそうだし試しにやってみよう。

 というわけで、早速必要なスキルポイントを支払って、新しいスキル〈剣術(大剣)〉を獲得する。


「あれ? 圧倒的に動きやすいな」


 スキル獲得後の鎧ノ大熊(バグベア)たちとの戦ってみて、そんな感触を感じた。

 てっきり〈剣術(大剣)〉というだけあって、大剣を持っていないと効果を得ることはできないかと思ったが、そんなことはなかった。というのも、持っている剣が異様に軽くなったのだ。

 今まで選んできた他のスキルよりも、圧倒的に戦いやすい気がする。

 その後の聖騎士カナリアには負けてしまったが。





〈耐久力強化〉を選んだ場合。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 合成の条件が揃いました。

〈剣術〉+〈挑発〉+〈耐久力強化〉▶〈騎士の技能〉

 合成に必要なスキルポイント:1010ポイント


 △△△△△△△△△△△△△△△


 どうやら〈耐久力強化〉を選んだ場合、〈騎士の技能〉というまた新しいスキルに変化するようだ。

 なんとなく〈力任せの剣術〉よりも強そうだし、もしかしたらこれが最適解かもしれない。


「あれ? 思ったよりも戦いづらいな」


 鎧ノ大熊(バグベア)たちと戦ってみて、そんな感触を覚える。

 どうしてだろう? と考えてみて、その答えにたどり着く。

 動きが鈍いのだ。

 思い返せば、騎士というは全身に重たそうな甲冑を身につけている代わりに、動くの大変なイメージがある。

 今の俺は甲冑なんてものを身につけてはいないが、やはり体がどことなく重たい気がする。

 俺は今まで、いかに俊敏に動いては敵の攻撃を回避するかを意識して戦ってきた。防具を身につけてない俺にとって、一撃が致命傷だったせいだ。

 なのに、スキル〈騎士〉を選んだせいで、そういった戦い方と正反対の戦い方を強いられるようになった。

〈騎士〉は決して弱いスキルではないんだが、いかんせん俺には向いていなかった。

 そんな調子で、勝てるはずもなく、当然のように俺は聖騎士カナリアには負けた。





〈俊敏強化〉を選んだ場合。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 合成の条件が揃いました。

〈剣術〉+〈挑発〉+〈俊敏強化〉▶〈シーフの技能〉

 合成に必要なスキルポイント:1010ポイント


 △△△△△△△△△△△△△△△


 ふむ、どうやらまた合成して新しいスキルを手に入れることができるらしい。

〈シーフの技能〉か。

 あまり強そうには思えないが、まぁ、試してみるか。


 そんなわけで俺はスキルを合成して〈シーフの技能〉を手に入れては、宝箱を開けると出現する多数の鎧ノ大熊(バグベア)に相対する。

 変化はすぐに訪れた。

 まず、大きな変化として、〈猛火の剣〉が重たいと感じるようになったのだ。

 確か、シーフは短剣のようなリーチの短い武器を主に戦う役職だったはず。だから、短剣ではない〈猛火の剣〉と相性が合ってないのだろう。

 とはいえ、多少、動きが制限されるだけで、戦えないってほどではない。


 もう一つの変化は、鎧ノ大熊(バグベア)が襲いかかってきてわかった。


「動きがよく見えるな」


 今まではこんなことはなかった。

 鎧ノ大熊(バグベア)の襲いかかってくる軌道が、次にどんな動きをするのか、手に取るようにわかるのだ。

 だから、容易に攻撃を回避して、敵の急所を狙って刃物を突き刺すことができる。

 気がつけば、全ての鎧ノ大熊(バグベア)を斬り伏せていた。


「うん、今までで一番手応えがある」


 もしかしたら、これなら聖騎士カナリアを倒すことができるかもしれない。



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― 新着の感想 ―
[良い点] と思うじゃん?
[一言] かつての鎧ノ大熊の威光は今何処… もはやスキルの錆にしか
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