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ダンジョンに潜むヤンデレな彼女に俺は何度も殺される  作者: 北川ニキタ
第二章

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33/176

―33― 君に従うことにするよ

 吸血鬼ユーディートと過ごした時間は濃厚だった。

 彼女から教わったことは数え切れないほどある。

 ダンジョンのおおまかな構造、隠れ家の場所、隠し通路や隠し部屋の場所、そして、スキルを入手できる宝箱の場所。

 他にも、剣を使った戦い方。

 最も大きいのが、寄生剣傀儡回(くぐつまわし)の制御の仕方。

 ユーディートと築いてきた関係はなくなったが、教えてもらった知識がなくなるわけではない。


 早速俺は、傀儡回(くぐつまわし)が置いてある場所まで繋がっている転移陣を使う。


「確か、柄を握ってはいけないんだったな」


 柄を握ると体を乗っ取られてしまうため、剣先を握る。

 その上で、剣先から喉の奥につっこむ――。

 体の中に傀儡回(くぐつまわし)をいれた途端、俺の意識は途切れる。そうだ、前回もこんな感じだった。





 目を開けると、そこは異界の空間が広がっていた。

 確か、深層世界というんだったか。


「やぁ、初めましてかな? ふむ、なぜだろう? 君とはどこかで会った気がするな」


 見ると、目の前には傀儡回(くぐつまわし)が立っていた。

 傀儡回(くぐつまわし)の見た目は、ぼやけた暗闇に目や耳、口といった体のパーツが無作為についているという、なんとも奇妙なものだ。


「頼みがある。俺に力を貸してくれ」


 確か、前回はこうやって頼むとあっさりと承諾してくれた覚えがある。


「ふむ、どうしようかな……?」


 だから、傀儡回(くぐつまわし)が悩んだ素振りをした瞬間、動揺を覚えた。


「なにが問題なんだ?」

「いやね、俺様にも目的ってのがあって、君に従えば、その目的を果たせるのか考えていたのさ」

「その目的ってのはなんだ?」

「人間になること」


 傀儡回(くぐつまわし)はそう断言する。


「俺様が人に寄生するのは、その人の体を奪うことで人間になれるんじゃないかと、考えているからなんだよね」

「じゃあ、俺に制御されたら人間になることができないのか?」

「んー、どうだろ? そもそも、今までたくさんの人間に寄生してきたけど、人間になれたためしはないからね。案外、君に支配されたほうが、人間に近づけるかもしれない」

「じゃあ、俺の物になるってことでいいか?」

「あぁ、いいよ。君には、なにか運命的なものを感じる」

 

 意外にも素直に言うことを聞いてくれそうだな。


「君に従うことにするよ」


 傀儡回がそう告げた瞬間、深層世界が崩れていき、気がつけば、さっきまでいたダンジョンの通路に足を下ろしていた。



 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 スキル〈寄生剣傀儡回(くぐつまわし)(あるじ)〉を獲得しました。

 派生スキル〈黒の太刀〉を獲得しました。


 △△△△△△△△△△△△△△△


 というメッセージウィンドウが表示される。

 これで無事、寄生剣傀儡回を操れるようになった。





 それから、俺は二つのスキルを入手すべく動いた。

 ユーディートと共に行動していたとき、遭遇する魔物はユーディートが倒してくれたが、今回は俺一人で行動する必要がある。

 極力魔物とは戦わないように慎重に、それでも戦う必要があるときは〈黒の太刀〉を使って、魔物の討伐をする。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 魔物の討伐を確認しました。

 スキルポイントを獲得しました。


 △△△△△△△△△△△△△△△


「ふぅ」


 魔物の討伐できた俺は、一息する。

 Lv3の〈剣術〉スキルがあったときは、もっと楽に倒せたんだがな。

 とはいえ、剣の扱い方といった経験はちゃんと活かすことができている。だから、今までの特訓が全て無駄ってわけではない。


 それから、俺は宝箱のある隠し部屋へと突き進んだ。

 確か、ここの壁を押すと、隠し通路が出現するはずだ。


 目論見通り、一見なんの変哲もない壁が開いて、通路が出現した。

 そのまっすぐ進むと、宝箱が置いてある。

 宝箱を開けると、〈知恵の結晶〉が手に入り、そして、入手可能なスキル一覧が表示される。


 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 スキル〈剣術〉を獲得しました。


 △△△△△△△△△△△△△△△


 前回同様、〈剣術〉スキルを獲得する。


「よしっ、次は〈英明の結晶〉だな」


〈英明の結晶〉は、ランダムで一つのスキルが手に入るというもの。

 前回はこのアイテムで〈属性付与〉を入手したんだ。


 けど、結局、〈属性付与〉を使う機会はなかったんだよな。

 って、考えたら、今すぐではなく、後回しでもいいのかもしれない。

〈英明の結晶〉が入っている宝箱はボスのいる部屋の手前の部屋にある。だから、取りに行くのに時間と危険が伴う。

 無理して、取りに行く必要もないだろう。


 それよりも、〈剣術〉スキルのレベルをあげることに専念しよう、と今後の方針を固めた。



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― 新着の感想 ―
剣の喋りというか雰囲気というかなんというか…安定してないよね
[気になる点] このまま剣との間に絆が生まれたら剣が死ぬ……?
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