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ダンジョンに潜むヤンデレな彼女に俺は何度も殺される  作者: 北川ニキタ
第二章

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―22― 殺して差し上げますわ

「あ……っ」


 目が覚める。

 また、時間が巻き戻ったのか。


「くそっ、一体どうしたらいいんだ……」


 そう呟くが、なにもいい考えが思い浮かばない。

 ひとまず整理だけでもして見よう。


 1つ目の転移陣を使うと、封印されたアゲハと出会う。その封印を解くと、アゲハの姿をした誰かの手によって殺される。

 2つ目の転移陣を使うと、吸血鬼ユーディートによって問答無用に殺される。

 3つ目の転移陣の先には、寄生剣傀儡回(くぐつまわし)がある。使うと、傀儡回(くぐつまわし)の力によって、ダンジョンの奥まで進める。ただし、その後、吸血鬼ユーディートによって殺される。


 まぁ、3つ目のルートを選ぶしか選択肢はないよな。

 目指すべきは傀儡回(くぐつまわし)の力を借りて、ダンジョンを突破し、吸血鬼ユーディートをこの手で撃退する。

 そのためには、俺はなにをすべきなんだ?


『あなたの持っているそれは人に寄生しては魔物を喰らって成長する非常に危険極まりないもの』


 ふと、吸血鬼ユーディートが口にしていた言葉を思い出す。

 つまり、傀儡回は魔物を倒せば倒すほど成長する。つまり、ユーディートと出会うまでに、たくさんの魔物を殺しまくって、限界まで成長させる。

 そうすれば、吸血鬼ユーディートを殺せるかもしれない。


 と、考えが決まった俺はとにかく急いだ。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 寄生剣傀儡回が置いてある場所まで行くのに、とにかく走ったせいで、息が乱れている。

 躊躇なく傀儡回を引き抜く。


「あがぁ……ッ!」


 激痛が全身を襲う。

 意識を保て、気絶するだけで、それだけ時間を無駄にしてしまう。

 だから、激痛に耐えようとなんとか我慢する。

 けれど、耐えきれず俺の意識はなくなった。


「は……っ、俺はどのくらい寝ていた!」


 飛び起きる。

 すでに、右腕は変形し、傀儡回に寄生されていた。

 くそっ、時間を無駄にしてしまった。

 とはいえ、後悔しても仕方がない。

 今からでも、急がないと。


 そう思って、俺は傀儡回を引きずりながら、ダンジョンの奥へと進んだ。

 それからはひたすら順調だった。

 前回は、休憩を挟んだりと時間をかけて進んだが、今回はそれらをなくして、とにかく急いで進む。


「はぁ……やっと、ついたか……」


 数十時間かけて、行き止まりまで着いた。

 すでに、疲労はピークだ。

 傀儡回の浸食は、すでに体半分まで行き届いている。

 前回は、この転移陣を抜けた先に、吸血鬼ユーディートが待っていたんだ。

 いないことを祈ろう、と思いながら、転移陣を使う。


「いない、みたいだな……」


 転移陣を使った先を見渡す。

 すると、吸血鬼ユーディートはどこにも見当たらなかった。

 前回より、ここに到着するのが5時間以上は早いのが功を成したようだ。


 今のうち、さらに奥に進む。

 奥に進めば、さらに魔物と戦うことが出来る。

 気がつけば、大量の魔物の群れと遭遇する。


「いいね、お前ら全員喰ってやるよ」


 それから、ひたすら傀儡回を使って、魔物の群れに対して蹂躙した。

 途中から意識は朦朧として、よく覚えていない。それでも傀儡回は勝手に動き、魔物を討伐していく。

 魔物を討伐するたびに、血が飛び散り、傀儡回は成長してく。俺の体も徐々に浸食されていく。


「あら、随分と成長してしまっていますね。これは倒すのに、少し骨が折れそうですわね」


 あ……?

 視界がぼやける。

 目の前に吸血鬼ユーディートがいるのは、なんとなく察した。


「あぁ、どうやら、すでに本体の意識は乗っ取られているようですわね」


 意識が乗っ取られている?

 ……一体なにを言っているんだ?


「まぁ、いいでしょう。殺すことに変わりません」


 そう言って、ユーディートは左腕を右腕で引きちぎってできた出血を凝固させて、紅の大剣と紅の左腕をつくる。


「キヒッ、それじゃあ、殺して差し上げますわ」


 それからの記憶はよく覚えていない。

 目が覚めると、俺は宝箱のあった部屋にいたということだ。

 そう、俺は殺されたのだ。



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死に戻り死に覚えいいね
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