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姉ちゃんは同級生 ~井の頭の青い空~  作者: 山崎空語
第5章 高校生の俺達 ~大人への階段~
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5-13 復帰した日(その1)~立ち入った話~

 11月15日木曜日の夕方、リビングで2杯目の牛乳を飲んでいた時、珍しく家電が鳴った。母さんが出て何やら小声で長話をしていた。そして、6時頃夕食の準備が始まった。この日の夕食は彩香のリクエストで、久しぶりにオムライスを食べる事になったらしい。俺は姉ちゃんの命で茹でたジャガイモを潰してマヨネーズを入れながらこねてポテトサラダを作っていた。母さんがオムライスの下ごしらえをしながら、俺と姉ちゃんに話し掛けた。

「お父さんは今日は帰れないそうよ。」

「急なお仕事なのかなあ?」

「そうね。都内だけど深夜作業だって。」

「ふうーん。夕方の電話、親父からだったんだ。」

「ううんあの電話は違うわ! スタイルKの吉村さんからよ!」

「吉村さん?」

「そうだわ、翔ちゃん、ハルちゃん、あなた達、明後日の撮影大丈夫なの?」

「ああ、大丈夫だけど?」

「うん。わたしも。元々空けてあるから。」

「そう云う事じゃないみたいだったわ。様子はどうですかって。」

「どう云う事?」と姉ちゃん。

「先週の撮影で何かあったんじゃない? あなた達あんな事になってたから。」

「あ、ああ・・・そうか。」

「翔ちゃん、長谷さんか吉村さんに大丈夫になったって言わなきゃ。」

姉ちゃんはそう言うと、俺を見詰めた。

「・・・俺が言うの?」

「だって、私は言いにくいわ!」

「うーん。わかった。俺の責任だからね。」

「責任って、何か勘違いしてるわね。責任の事じゃないわ!」

「どう云う事?」

「あんな事になった責任は私にもあるから。でも今の状況報告は翔ちゃんが適任だと思うの。」

「なんで?」

「だって、加代ちゃんも含めて皆を良い方向にしてくれたのは翔ちゃんじゃない。」

「俺、何にもしてないけど。」

「私は翔ちゃん以上に何もしてないもの。」

「そうかなあ? お風呂の事とか。」

「何言ってるの、そんな事、長谷さんや吉村さんに言わないでよ!」

「へいへい。」

「絶対だからね!」

「判ってるって。」

「お兄ちゃんが嫌なら、サヤが言ってあげようか?」

「サヤはなんて言うつもりだ?」

「お姉ちゃんとお兄ちゃんが仲直りしたって言えば良いんでしょ?」

「サヤは良く解ってるね。ありがとう。でも、お仕事の事だからお兄ちゃんが言うよ。」

「ふうーん。サヤが言いたかったナ。」

それを聴いていた母さんが苦笑しながら、

「うふふ、あなた達、もうすっかり元通りね。」

「翔ちゃんのおかげだわ。」

「そうね。」

「あ、サヤにもリング買ってよ!」

「うわっ! 思い出した?」

「思い出したんじゃなくて、覚えてるのよね。」

「うん。忘れないからね。」

「はいはい。」

しばらくして、最初のオムライスが出来上った。例によって彩香画伯のケチャップ絵が描いてある。

「これ、お姉ちゃん。」

「おお、何となく似てるな。」

「へへん。」

「はい、次はお兄ちゃんの。」

「ほい・・・なんだ?これ。」

「へへん、指輪。」

「ああぁー、そうか。」

「彩ちゃん、今度の日曜日が楽しみだね。」

「うん。」

「おいおい! こんな宝石デカいのは無理だから。」

「3人でデートだね。」

「うん。サヤ、お兄ちゃん大好き!」

「やれやれ、聴いてないし。」

オムライスはいつもの様に美味しかった。結局、日曜日は姉ちゃんと彩香と俺の3人で吉祥寺に行く事になった。彩香の誕生石はルビーだそうだ。『紅玉』と言う位だから、赤い宝石だと思う。


 夕食後、俺は自分の部屋に上がって吉村さんに電話した。

「もしもし、吉村さんですか?」

「はい、そうです。翔太君ですね。」

「はい。・・・俺達の事の報告と思いまして。」

「そうですね。お待ちしてました。」

「何からどう報告して良いのか・・・」

「では、私から単刀直入にお聞きします。今週末の撮影、大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です。」

「確認させていただきますが、春香さんも大丈夫なのですね。」

「はい。大丈夫です。」

「分かりました。では、予定通り撮影の手配をいたします。」

「色々ご迷惑をおかけしました。」

「そうですね。私よりもスタッフに当日一言お願いします。皆さん心配していますから。」

「はい、分かりました。」

「今、翔太君の周囲にどなたか人が居ますか?」

「いえ、居ません。自室です。」

「そうですか。それでは、今後の仕事の進め方に影響がありますので、少し立ち入った事をお聞きしますがよろしいですか?」

俺は、やっぱりそこに来るのかと思った。しかしそれも吉村さんの立場上仕方ない事だ。

「はい。」

「春香さんと翔太君との関係は撮影に支障が無いレベルに改善したと理解しました。」

「はい。」

「では、翔太君と田中さんとのご関係はどうなりましたか? 差支えなければ教えてください。」

「どう答えたら良いのか判りません。」

「私はお2人は交際を始めたと推察しています。失礼ながら、男女として。」

俺は、

 (1)別れた。

 (2)返却された。

 (3)捨てられた。

のどの選択肢で表現したら良いのか迷った。いずれにしろ冷静に淡々と答えたいと思った。

「答えにくいですか?」

「いえ・・・交際の関係と言う事であれば、解消しました。」

「それはつまり、関係を断絶したと理解して良いのですね。」

「いいえ、友人で、仲良しで、ユニットの仲間である事に変わりはありません。」

「以前のご関係に戻ったという事ですか?」

「はい。でも、完全に元通りかと言われると自信はありません。」

「わかりました。それでは、春香さんと田中さんのご関係はどうなりましたか?」

「俺には本当の所は分かりません。」

「翔太君が感じられるご関係で結構です。」

「つまり、それは俺から見てという事ですか?」

「はい。春香さんが心を痛めたのは、元々は翔太君が原因と思われますから。」

「確かにそうですよね。けど、それを俺に言えというのは厳しくないですか?」

「すみません。業務ですから。」

俺は言葉を探した。しかし具体的で適格な言葉が思い浮かばなかった。

「・・・姉ちゃんと加代の友情ってか、絆は以前より強くなったと思います。」

「なるほど、それは良かった。1番良い結果になった訳ですね。」

吉村さんのこの言い方を聞いて、俺は何となく吉村さんが裏工作したのでは無いかと思った。

「吉村さん、ひょっとして加代の事、なにか知ってるんじゃないですか?」

「ナタプロの事ですか?」

「そうです。」

「それなら、夕方お母様からお聞きしました。」

「そうですか。では、西田社長をご存知ですか?」

「業界人ですからね。それにしても、翔太君はやはり感が鋭いですね。けど、まだ若い。」

「どういう事ですか?」

「今はこの件で私を問い詰めない方がベターだと思いませんか? 男の優しさとでも言いましょうか。」

「・・・・・」

「翔太君達は十代ティーンとして理解できる行動をしています。しかし、同時に専属モデルというビジネスエレメントでもあります。私が業務として皆さんの行動に少し介入させてもらわざるを得ないのは理解してください。」

「・・・分かっている積りです。頭では。」

「翔太君達は物分かりが良い、つまり、私から見て賢い子供達で助かります。」

「変な褒め方しないでください。」

「これは失礼しました。決して上から目線では無く、万事皆さんが幸せになれる方向で解決するようにと願っています。」

「ナタプロの件は姉ちゃんと加代、特に加代にはなるべく言わないでください。」

「もちろんです。元々私が関知しない事ですから、言う事は何もありません。」

「いずれにしろ今回の事で吉村さんにご迷惑をおかけした事に変わりはありませんから、お礼を言います。」

「礼には及びません。たとえ何か関与していたとしても仕事ですから。それでは、土曜日の撮影よろしくお願いします。」

「はい。了解しました。」


 俺が風呂から出て1時間程した9時過ぎ、姉ちゃんが俺の部屋をノックした。

「翔ちゃん、良い?」

「うん。」

「サヤも良い?」

「もちろん。」

数学の問題集を閉じて振り返って見ると、姉ちゃんも彩香もなんか妙に可愛い笑顔だった。姉ちゃんはいつもの様に部屋の中央にクッションを抱えて座った。姉ちゃんが作った、若草色に花柄で、綿をたっぷり詰め込んだ丸いクッションだ。彩香もそのクッションの左側に凭れるようにして姉ちゃんに密着して座った。姉ちゃんはいつものピンクに白いドット柄で、彩香は淡い黄色に白いドット柄の温かいパジャマだ。もちろん俺もブルーでお揃だ。たぶん、3人共同じコンディショナーの甘い香りがしていたはずだ。

「明後日、撮影の前に一緒に謝ろうね。」

「あれ? 姉ちゃんは着付けがあるから8時頃俺より先に行くんだろ?」

「うん。先に軽く謝っとくわ! でも翔ちゃんが来たらもう1度正式に。」

「そうだね。」

「だから、手ぶらで来ないでね。」

「ああ、お菓子でも買って行くよ。」

「その買い物は私も付き合うから。」

「買い物につき合うって、どうやって付き合うの?」

「うん。朝早くね。」

「8時より早くって・・・まさか、大笹の羊羹?」

「うん。そのまさかよ! 私達すごーく迷惑かけたと思うの。」

「まあね。つまり、それで誠意を示すんだ。」

「うん。」

「なるほど。いいアイデアです。」

「一緒に行けば6本買えるから。」

「サヤも行く!」

「そうね。そしたら9本買えるわ!」

「わーい!」

「だけど、整理券配られるの確か8時頃からだったはず。」

「スタジオ入りは9時までで良いはずよ。エッコ先輩とのは前回撮ってるから。」

「って事は、姉ちゃんは直接行く積もりだね。」

「うん。翔ちゃんはサヤちゃんを家に1度連れて帰ってね。」

「了解。」

「じゃあ、決まりね。」

「ああ。」

姉ちゃんと俺は顔を見合わせた。例の約束があるのだが、彩香が居るので仕方がない。少し沈黙があった。

「さあ、明日は学校だからもう寝ましょ。」

「そうだね。」

「おやすみ、お兄ちゃん。」

「おやすみ、彩香。」

「おやすみ、翔ちゃん。」

「うん、おやすみ。」

2人が出て行ったのを見届けて、俺はまた入試問題集を広げた。数Iなのだが、因数分解がパズルみたいで、ここの所マイブームになっている。特に、3変数の交代式のタイプが達成感があって面白い。それを5問解いて、時計を見ると10時半を過ぎていた。


 俺は約束を果たしに姉ちゃんの部屋に行った。ノックしたが返事が無かった。そっと戸を引いて開けると、枕元のスタンドを少し暗くして点けたまま寝ていた。俺はベッドに近付いて、額に約束のキスをして帰る事にした。起こさないように姉ちゃんの可愛い寝顔に自分の顔を近付けた。その時、姉ちゃんの両腕が俺の首に回った。そして引き寄せられた。俺はバランスを崩して姉ちゃんに覆いかぶさるように倒れ込んだ。

「もう、なかなか来ないからウトウトしちゃったじゃない。」

「ご、ごめん。」

姉ちゃんと俺は約束の『おやすみのキス』をした。そして、姉ちゃんに抱きしめられた。俺も抱きしめた。

「翔ちゃん、私達やっぱり恋人未満なのよね。」

「たぶん。でも、どうしたの、藪から棒に?」

「私ね、時々翔ちゃんが好きで好きでたまらなくなるの。」

「恋人以上になりたいって事?」

「いつもじゃないけど。翔ちゃんを抱きしめたくなるの。」

俺は姉ちゃんを見詰めて呼吸を整えた。

「姉ちゃん、俺、正直に言うよ。」

「えぇ、どうしたの? 私が嫌い? キモい?」

「そうじゃなくて・・・」

「何?」

「お、俺の体もう・・・子供じゃない。」

「そうだよ、もう立派な男の人だわ!」

「だ、だから、恋人未満の障壁を超えると、姉ちゃんと・・・」

「何?」

「そのー・・・」

「・・・エッチ?」

「うん。」

「したいの?」

「う、うん。時々」

「だぁめ。」

「うん、わかってる。」

「そうね。・・・じゃあ、私も正直に言うわ!」

「何を?」

「私の体の事。・・・もうかなり前から子供じゃないわ!」

「それは見ればわかるよ。」

「そうじゃないの、翔ちゃんとこうしてると、体の中心が熱くなるの。」

「それはつまり・・・」

「そうよ、体は翔ちゃんをたぶん許してるの。あ、でもダメよ!」

「そうだね。姉ちゃんと俺の理性こころが許さないとね。」

「それが超えちゃいけない私達の最後の1線なんだわ!」

「うん。そっか。わかった。俺だけじゃ無いんだ。」

「そうね。お互い様なのね。」


 姉ちゃんは掛け布団を開けて中に入れてくれた。俺は姉ちゃんの横に寝そべった。そして軽くキスをして見つめあった。俺の衝動リビドーはかなり落ち着いていた。

「ねえ翔ちゃん、男子と女子がどれ位好きかって測れないかなあ。」

「測る?」

「うん。うんと好きなのか、普通に好きなのか、そうでもないのか、なんか『巻尺』みたいに。」

「それ、昔から無理だって言われてる様な!?」

「そうなの?」

「そうじゃないの?」

「あのね、聞いてるのは私の方。質問権はまだ渡してないわ。」

俺はこの唐突な疑問が出てきた理由の方に興味がある。

「やっぱり翔ちゃんの算数頭でも分析出来ないのよね。」

来た来た。姉ちゃんはこの言い方で俺のプライドをくすぐる。俺は分かっているのに抵抗できない。

「うーん。そうでも無いよ。」

「ほんと?」

「うん。でも分かってもらえるかな?」

「あら、わたし、物分り良いと思うよ!」

「まあね。」

「勿体ぶらないで言ってみてよ!」

「片思いじゃなきゃ測れるかも。」

「どういう事?」

姉ちゃんは興味津々の様子で俺を見詰めた。

「もっと傍に寄っても良い?」

「良いよ。」

俺は姉ちゃんに密着した。太腿が当たった。そして、右手で頬杖をして姉ちゃんを見詰めた。姉ちゃんも俺を見詰めている。か、可愛い。それから俺は顔を姉ちゃんの顔に近付けた。

「翔ちゃん・・・」

俺は黙ったまま更に近付いた。

「ど、どうするの?」

姉ちゃんの大きな瞳に俺が映っているのがわかった。姉ちゃんはその瞳を閉じた。そして俺の額が姉ちゃんの額に接触した。

「ダメだ。近端限界が無い。」

姉ちゃんは目を開けて、

「どういう事?」

「姉ちゃんと俺の好きの距離。」

「・・・?・・・あ、そうか。」

「うん。好きな程近付けるって言われてるよね。」

「じゃあ、私と翔ちゃんの好きの距離は0なのね。」

「うん。そうなるね。」

「だって私も翔ちゃんもお互い大好きだからじゃない?」

「そうだね。でも、普通ならこんなの有り得ない。」

「そうね。T先輩だったら隣に座っただけで変な感じがすると思うわ!」

「そうなの?」

「そうよ。」

「ちょっと安心した。」

「ウフフ、安心して良いよ!」

姉ちゃんは納得したのか、なんか俺を見詰めて微笑んで・・・いっそう可愛く思えた。

「他にも有るんだけど、止めとくよ。」

「また勿体つけてる。」

「じゃあ言ってみるけど、結構ムズいよ!」

「まずは、言ってみてよ。」

俺は深呼吸を1つして続けた。

「それはね、『時間』、『空間』、『経済』の共有恋愛論(仮称)と言います。」

「なにそれ?」

俺は姉ちゃんを見詰めた。姉ちゃんと視線が重なった。姉ちゃんはまた興味津々の瞳になっていて、なんか可愛い。

「まずね、好きな人とは『時間』を共有したくなると思うんだ。」

「どういう事?」

「同じ時を過ごして共感を共有するんだ。例えば、離れていても同じ時刻に同じ月を見るとか、同じテレビを見るとか。」

「あ、そっか。同じ事してるって思うよね。いいね、それ!」

「うん。」

「それから、『空間』を共有したくなるんだ。」

「空間?」

「つまり、同じ場所に居たいって思う事さ。」

「なるほど、それもやっぱり同じ経験って事よね。」

「いやいや、同じ場所に居るだけで良いんだ。別の事をしてても良い。」

「そっか、近くに居てくれれば安心だね。」

「うん。」

「もう1つは『経済』よね。」

「うん。お金や財産を共有しても平気になるんだ。」

「そっか、2人のためにお金を使うのね。」

「まあそうだけど、例えば、俺の小遣いで姉ちゃんにアクセを買ってあげると、姉ちゃんが喜んでくれるんなら俺はお金が惜しくない。」

「なるほど。私も翔ちゃんが喜ぶんだったら嬉しいわ!」

姉ちゃんの表情がますます明るくなって、なんかスッキリしたみたいで、俺は嬉しくなってきた。

「つまり、ぜんぜん親しくない他人だったり、知っていても好きでもなんでも無かったら、時間も空間も経済も1%も共有なんかしない。てか、共有なんて思い付かないよ。」

「そうね。」

「だから、どれ位共有してるか計算してみれば好きの度合いが分かるような気がする。」

「どう計算するの?」

「例えば、今日、姉ちゃんと俺はこうして時間と空間を朝からほとんど共有してたよね。」

「そうね。今日は90%位ね。」

「そんな事普通無い事だよ。」

「そうだね。好きになる程共有率が高くなるんだわ。」

そう言って俺を見詰めた姉ちゃんがものすごく可愛いと思った。

「うん。俺は姉ちゃんが大好きだから、時間と空間と経済を全部共有してもなんとも無いし、むしろ嬉しい。」

「ほんと?」

「うん。」

「ありがとう、翔ちゃん。嬉しい。」

「どういたしまして!」

姉ちゃんと俺はまた見詰め合った。そして抱き合った。

「翔ちゃん大好き。翔ちゃんも私が好き?」

「ああ、何度も言ってるよ!」

「なんて言ってたっけ?」

「だから・・・俺は姉ちゃんが大好きだって。」

「そっかぁ、じゃあ、翔ちゃんの物は全部私の物よね。」

「えっ、えぇ~!」

「おやすみ翔ちゃん。眠くなったわ。」

「あ、あぁ、おやすみ姉ちゃん。」

「ここで寝ていいよ!」

「うん。じゃあ、共有させてもらう。」

姉ちゃんは微笑んで目を閉じた。可愛い寝顔だった。俺もすぐに眠ったと思う。

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