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第七十話

更新遅れてしまい、申し訳ありません……。

 話があると告げたアルトの真剣な表情には、どこか私に対して呆れるような色があった。

 アルトからそんな表情を向けられたことがほとんどなかったからこそ、私は混乱を隠せない。


 そんな私を気にすることなく、アルトは口を開いた。


「どうしてエレノーラ様は、この二年間が無意味だとそう頑なに思われているのですか?」


「……え?」


 その質問の意味が最初私は、理解できなかった。

 が、アルトならば私の二年間の動向を理解していてもおかしくないのではないのか、そんな考えに私は至る。


「貴族達の領地問題をあれだけ解決しておきながら、なぜそれを認められないのですか?」


 その想像が正解であったことを私が理解したのは、次の瞬間のことだった。

 二年間の私の足跡を完全にアルトは知り尽くしていたのだろう。


「……そこまで、調べていたのね」


 そして、アルトの言葉はたしかに事実だった。

 私はこの二年間で様々な貴族達の領地問題に関わり、干渉してきた。


 ……だが、そんなことは自己満足でしかないことくらい、私は理解していた。


 あのままでは、平民達にまで被害が出かねない状況で、手を出したことに私はなんの後悔も抱いていない。

 元は平民達を守るために、私は今までの知識を蓄えてきたのだから。

 ここまで憔悴することを理解していても、私は領地問題に手を出していただろう。

 全ては、平民達を救うために。

 そのためになら、貴族達に利用されることすら、私は厭うつもりはなかった。


 が、そんな私の気持ちなど貴族は知る気もないことを私は知っていた。


「逆に聞かせて欲しいのだけど、どうして貴族に対して私がしたことが、何らかの意味が生まれると思うの?」


「……っ!」


 その言葉に押し黙ったアルトへと、私は自嘲の笑みを浮かべ告げる。


「……私は、強欲令嬢なのよ?」


 今まで、自分を嘲る時に貴族達が使ってきたその蔑称を。


 貴族がどれだけ自分のことを嫌いか、私は理解できていた。

 どれだけ商売で結果を出そうが、様々な国の最新の知識を学ぼうが、貴族の中で私を認めてくれる人間などいなかった。

 いや、それどころか結果や知識を蓄えるほど、蔑まれることの方が多かった。


 領地の問題に干渉した時ですら、それは変わらない。

 必死に動こうとする私に対して、貴族は警戒心を露わにしていた。

 中には、私が強欲令嬢だと分かった瞬間、領地に干渉されまいと私を追い出そうとした貴族だっている。


 ……故に、もう私は貴族に希望なんて抱いていなかった。


「それに、貴族の方だって、私のことをよく思っていないわ」


 疲れた笑みを浮かべながら、私はそう漏らした。

 どんな取引があったのかは分からない。

 しかし、私が領地を改善してきた貴族達から、侯爵家に援助と称されて多数の金額が流れていることを私は知っていた。


「おそらく、あの貴族達は私をだしにして侯爵家に援助を強制されていたのだと思うわ。……そんな状況に陥った原因の私を快くなんて思うわけがない」


「そこまで知って、何で気づかないのですか?」


「……え?」


 疑問を隠さない様子で、アルトが口を開いたのはその時だった。

 その声につられ、アルトを見た私は自分に向けられるアルトの表情に言葉を失う。


 アルトの顔に浮かんでいたのは、私に対する呆れだった。


「侯爵家に資金援助があったことまで知ってなぜ、貴族達がエレノーラ様に感謝して、援助しようとしていた可能性に気づかないのですか?」


「なっ!?」


 ──そしてアルトが告げた言葉は、私が一切想像したことのない考えだった。

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