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発見!

「クリスさぁん~、ねえ、起きてくださいよー」


んー、なにぃ?


耳元で何か声がすると思っていたら、今度はペチペチと頬を叩かれた。


「島から離れてますけど、大丈夫なんですかぁ?」


ハッ、島?!


慌てて目を開けたクリスは、毛布を敷いていた天幕の下から這い出て海の向こうを見た。


「島だ!! 島が見える!」


キャーーーー! 島があったよ。

鳥が羽を休めるだけの岩礁しかなかったら、どうしようかと思っていた。


クリスは寝ぼけ眼をこすりながら、前方にそびえる高い山を見つめた。


「どうしてそんなに興奮してるんですか? クリスさんはこの間も島にいたでしょう」


「ああっ、ポラン! どこに行ってたのよ。妖精の国に帰ってたの?」


ポランがパタパタと羽をはためかせながら、クリスの側にやってきた。


「だってクリスさ、クリスがここはどこだー、どこにいるのかわからないー、って言うばかりするから、ちょっと周りを調べに行ってたんじゃないですか。それなのに私を置いて島を出てっちゃってぇ」


うわぁ、それは申し訳ない。


「ごめんね。ポランは私といてもつまらないから、帰っちゃったのかと思ってたのよ」


「プンプン、あっちこっち見て歩いて、あそこは島みたいだってわかったから、教えてあげようと思ったのにぃ」


「ありがとう! 助かったよ(本当は、今、起こしてくれたことだけど)」


「ふふん、まぁいいですよ。どっちにしろ、妖精の道を使えば、クリスのところにはいつでも来れますし」


ホッ、機嫌を直してくれた。



ポランとそんな話をしているうちに、島がどんどん近づいてきた。けれど船は島の方には向かわず、向きを変えて、今度は東の方に流されていく。


ヤバい! 島にぶつかった潮流が流れを変えてるみたい。


クリスは慌ててオールを握ると、上陸しやすそうな砂浜に向かって、渾身の力を込めて船を漕ぎ始めた。


息は上がり、心臓は爆発しそうに音を立てているが、ここが踏ん張りどころだ。


やっとのことで島に到達し、ボートをポケットにしまい込むと、クリスは砂浜にパタンと倒れ込んだ。


「ハァハァ、あービビった。あーよかった。土だ、地面がある~」


海と空しか見えないところで波に揺られていたのは、かなり精神的にくるものがあった。

覚悟していたとはいっても、本当にこれでよかったのか、何度も自分に問いかけた。


不安で夜中、寝たり起きたりしていたので、まだ寝たりないが、この島に上陸できて最悪の状態は回避できた。


ホント、どこまでも船で揺られていって、でもどこにも辿り着けなくて、このまま海の藻屑と消えるんじゃないかってことも何度も頭をよぎったよ。



しばらくして立ち上がったクリスは、興味深く島の様子を眺めた。

昨日までいた島とは違い、こっちの島は起伏に富んでいる。砂浜の先はすぐ深い森になっているし、海から眺めた時には高い山があった。


まずは川を見つけたいな。

川があったら、準備を整えて、あの高い山に登ってみたい。

あそこからなら、四方の海が見渡せるんじゃないだろうか。


できたら東のオーリア大陸が見えてほしい。

クリスは神に祈った。



どこから森に入ろうかと思案していた時だった。

クリスは地面の違和感に気づいた。その場所だけ砂が踏みにじられたような跡がある。

立ち止まって調べようとしたまさにその時、見つけてはいけないものを見つけてしまった。


「ゴブリンの足跡……」


ん、臭いもする。


背筋に寒気が這い登ったクリスは、すぐにしまったボートを取り出して海に押し出すと、バシャバシャと音を立てて水から駆け上がり、船に飛び乗った。


オールを握り、沖に向かって必死に漕ぎ始めのだが、クリスの背中にのしかかるように『ギャギャッ、ギャギャッ」というゴブリンの声が追いかけてきた。


死に物狂いとはこういうことをいうのだろう。

疲れていたことを忘れて、漕ぎに漕いだ。


沖に出て、ようやく振り返ってみると、赤黒い毛を生やした一匹のゴブリンが、よだれを垂らして恨めしそうにこっちを見ていた。


「うぇー、サブいぼが湧く」


久しぶりにゴブリンを見た。

……………この島って、害獣がいたんだ。


あっ、ということは、大陸が近くにあるのかも!


クリスは東へ向かう潮流に乗ろうとしていた船を操り、また島の方へ向けて漕ぎ始めた。


「ちょっとぉ、クリスったらまたあの島に行くの? さっき変な獣に追いかけられたばかりじゃない」


ポランが言うのも無理はない。クリスも普通の状況では戻らない。


「うん。ちょっとこの島の周りを調べてみようと思ってさ。ゴブリンは近づかなきゃ弓で何とかなるのよ」



そんなに大きな島ではなかったことも幸いした。

クリスは島の周りを船でぐるりと回ってみて、大きな潮流を二つ発見した。


まず、クリスがずっと乗ってきた潮流は、南からやってきて、この島のあたりから東にそれていっている。東といっても、詳しくは東北東の方向に向かっている。

もう一つは、島の北側をかすめて、西南の方へ流れていく潮流だ。

この流れに乗って、ゴブリンがやってきたのではないだろうか?

奴らが来た方向は北! たぶん北東じゃないかと睨んでいる。


オーリア大陸の北には、地球でいうとスウェーデンやノルウェーがあるスカンジナビア半島をもう少し三日月形にしたような半島が海に突き出している。

【予想】

★ 北からの潮流は、その半島の北を周ってやってきた。

★ 東へ向かう潮流は、半島の南側の湾に向かっている。


そんな気がする。


つまり、東へ向かう潮流に乗りながら、常に北側を注視していれば……………もしかしたら、オーリア大陸の先っぽを捉えられるかもしれない。



クリスは船を東に向けた。

昨日とは違う、幾ばくかの確信を手にして。

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