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弱虫の剣  作者: 望月 まーゆ
第2章: 黒い森の蟲王
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蟲の特徴

世界ギルド連盟本部。


「シュヴァルツヴァルトにある〈黒い森〉の蟲の被害があとを絶ちません。周辺の街や村にまで被害が出ている模様です」


ギルド職員が報告書を会長の前で読み上げる。


「〈緊急クエスト〉の報酬を高額にして、冒険者を募っているのではないのか?」


白髪交じりの頭のギルド本部の会長は、少し苛立った様子を見せていた。


「はい。募集をして、最初こそは多数の冒険者達がこのクエストに参加していたのですが・・・」


言葉を詰まらせるギルド役員。

会長はその様子を察して、


「達成者無し、現在は参加してくれる冒険者もいないといったところか?」


会長は少し呆れた様子で言い放った。


「ーーはい、おっしゃる通りです」


両者無言で少し間を空けたあと、


「そんなにこの蟲の討伐クエストは、難しいのか?」


面倒臭さそうに目を細めながら、ギルド職員の男性を見つめる。


「通常なら蟲の魔物自体は、低ランクの魔物で初心者冒険者でも討伐出来ます。しかし、蟲は群れになります。群れになった場合は一気に危険度は上がります。そして、今回の場合は群れだけでなく、生存した冒険者の話だと、〈巨大な変異種〉も確認されています」


「実は」と、職員の男性は報告書には記載されていない内容を、会長に伝える。


「変異種だと・・・まさか?」


「は、はい。今回の蟲の大量発生と巨大な変異種の出現からすると、恐らく・・・」


唾を飲み込むギルド職員。


「ーー王の帰還」


会長の言葉に、ゆっくり頷くギルド職員。

会長は震える手で頭を抱えながら、


「緊急事態だ! 蟲討伐クエストを〈アラートレベル5〉に引き上げる。至急格ギルドホールに連絡を取れ、近隣国諸国にも連絡を入れよ。これは〈レイドクエスト〉だ」



* * * * * * * * * * * * *


シュヴァルツヴァルトの〈黒い森〉を目指しているエルたち一行。


「本当に黒いのね・・・」


エリーナが荷車から顔を出し、ポツリと呟いた。


エルたちは今、一つ小高い山を越え、峠道から壮大に広がる森を眺めていた。

密集して生える木々と、蟲達が(うごめ)く様からこの〈黒い森〉という名称が付いたとされている。まさに黒という言葉がぴったりの森がそこにはあった。


「お兄ちゃん、森に行く前に〈蟲〉についての注意点を、私なりにまとめたから一度休憩にしよ?」


ミレアはティーガーの手綱を引くエルに向かって声をかけた。


エルは、その言葉に頷くと峠道の脇の少しスペースがある場所にティーガーと荷車を置いた。


荷車から降りたエリーナは、両手を上げ伸びをしながら「私、虫キライなのよね」と呟いた。


四人は、適当な石に腰掛けながら輪になって、ミレアがメモしてきた〈蟲〉の特徴についての話を聞く。



以下がミレアのメモである。


==============================

*蟲の特徴


・目が悪い代わりに音に敏感である

・仲間を呼び、直ぐに囲む

・単細胞のように見えて非常に賢い

・蟲により役割が決まっていている

・足の本数が多いほど手強い

・巨大なほど強敵

・火に弱い


*対策


・物音を極力立てずに行動する

・敵を倒すなら短時間で済ませる

・仲間を呼ぶ魔物を優先的に倒す

・火属性の魔法を有効的に使う

・囲まれる前に逃げる


==============================



「ーーざっとこんな感じです」


ミレアが身振り手振りを交えながら、分かりやすくみんなに説明した。


「これだけ分かっているなら、大丈夫だね」


「ーーでも、コレって何体討伐とかのノルマって無いんだよね? 何体倒したら良いの?」


クレアが貰ってきたクエストのチラシに向かって疑問を投げかける。


「確かに〈害蟲駆除〉でクエスト達成条件が【蟲の殲滅(せんめつ)】としか記載されてないわ」


エリーナがそのチラシを手に取って、改めて読み返してみるも、同じ結果だった。


ミレアは冷静だった。

まだ、クエスト達成者がいないという状況とこの無謀なクエスト達成条件。

そして、何よりこの高額な報酬。

「あ、あのーー」ミレアが一旦このクエストの挑戦を考え直さないかと提案しようと思っていたが、


「ミレアがこんなに調べてくれたんだ。きっと今回も上手くいくよ!」


エルが笑顔でみんなを和ませる。

エルの笑顔にエリーナとクレアも吊られて微笑む。


「そうよね。気をつけるポイントをしっかり抑えて短時間で勝負をつけましょう!」


「お兄ちゃん言っておくけど、ミレアだけの手柄じゃないんだからね!私も少しは情報収集手伝ったんだからね」


「ふんっ」と口を尖らせるクレアにエルは、

「そっか、ありがとう」と頭をわしゃわしゃと撫でてあげる。

クレアは顔いっぱい、満足そうに笑顔を浮かべた。


この状況にただ一人、不安の色をミレアは覗かせていたのだったーー。










ミレアの不安は的中した。

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