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地底探査は地上から?

第79話です。どうぞ。

 翌朝。ルミナリア達は、案内してくれるというアルゴと共に町の端にある鉱山の入り口へとやって来ていた。大きめの倉庫や詰め所などが並ぶそこは平時ならば多くの作業員たちで賑わっていただろう。しかし、今は作業員達の姿はなく、町に駐在する兵士たちが見張りに着いており、ピリピリとした雰囲気となっていた。

 

「入り口を塞いだとはいえ、何が起こるかわからんから今はこの通り警戒中だ。鉱山と町が密接している以上警戒し過ぎということはないだろうからな。まぁ何事もないのが一番だがな」


 アルゴに案内されたのはどこからどうみても大惨事にしか見えない崩落を起こし、入り口が塞がれた坑道だった。


「よし、着いたぞ。ここが鉱山の入り口だ」

「アルゴさん! これどう見ても事故現場にしか見えないんですけど!?」

「あぁ、事故じゃないぞ? 入り口の天井をこうつるはしでガツンとな? わざと崩落させるなんて慣れないことすると少しヒヤッとしたぞ」

「えぇ……? 」


 がははと笑うアルゴにドン引きのルミナリアだった。


「ま、このとおり今は入れないから調査は入り口をもう一度開いてからだな。この後すぐ作業員が来て入り口を開けるようにしてある。明日の昼前には入り口は開いてるはずだ。来てもらったのに待たせることになってすまんな」

「いや、気にしないでくれ。それよりもルミナ。何か感じるか?」

「今のところは何も。でもちゃんと調べてみたらわかるかも?」

「ルミナ、またあれやるの?」

「うん。そのつもり」


 ルミナリアが手に持っている長杖をそっと地面へと突く。


「アルゴさん。ちょっと試したいことがあるので少し時間をもらってもいいですか?」

「あぁ。かまわないぞ。いったい何をやるんだ?」


 杖を構えたルミナリアを見るアルゴは興味津々といった様子だった。


「ルミナちゃん。大丈夫なの?」


 フィアナがルミナリアに心配そうに声をかける。無理もないだろう。前回ルミナリアは魔力切れを起こして倒れてしまったのだから。


「うーん……たぶん大丈夫かな?」


 ルミナリアが曖昧な返事を返すと、フィアナが名案を思い付いたとばかりに手を叩いた。


「そうね、もしもの時はアルルちゃん……ビリっといきましょう」

「任された。ふふふ」


 不穏なことを言うフィアナと両手に電気をまとわせてパチパチと音を立てるアルルメイヤ。


「こ、これは失敗できないなぁ……でも心配してくれてありがとう」

「ん、がんばって」


 ルミナリアが静かに眼を閉じ、光の翼を展開する。


「これは……!? 手紙に書いてあったやつか!」


 アルゴがルミナリアの背に突然現れた翼に目を瞠る。周囲で様子を見ていた兵士も同じようにその幻想的な光景に様々な声を漏らしていた。

 そんな周囲の様子をよそに、ルミナリアが意識を研ぎ澄ませていく。


(きた、この感じだ!)


 前回同様わずかに振動し始めた杖の先から、いや、大地そのものから頭の中に何かが流れ込んでくる感覚をルミナリアが掴む。前回は興味の向くままに遥か先へと意識を向けてしまっていたが、慎重に坑道を探るように少しずつ流れ込んでくる情報を絞っていく。感覚でいえば水道の蛇口が近いだろうか。そうしていくと、ルミナリアの頭の中には地下に広がる坑道が手に取るようにわかるようになっていた。

 そして、坑道の最深部に意識を向けたとき、以前と同じあの嫌な気配を感じ取った。


(見つけた! これはかなり深いところにあるみたいだね……だから入り口まで来てもなんの気配もしなかったのかな)


 その気配はハニーベアのいた場所にあったものと同じ気配だった。それ以上にわかることはなさそうだと判断したルミナリアは、集中を中断し大きく息を吐き目を開いた。


「ルミナ大丈夫?」

「うん。魔力切れも起こしてな……おっと」

「ルミナちゃん。無理はだめよ?」


 前回ほどではないとはいえ魔力を総量の4分の1ほどを一気に使った影響だろう。軽いめまいを起こしたルミナリアをフィアナとアルルメイヤが支える。


「少し休んだほうがいいだろう。一度宿に戻って話を聞かせてもらっていいか?」


 ルミナリア達はアルゴのその提案に乗り、宿へと引き返した。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







 


「それで、さっきので何かわかったのか?」


 宿舎に戻り、シャノンの用意してくれた甘い果実水を飲みながらルミナリアが先ほどのことを説明する。


「さっき坑道の最深部を見てみたんですけど、やっぱり黒い結晶の気配がありました」

「最深部を見た? 一体何をやったんだ?」

「私にも何が起きているのかわからないんです。なぜこんなことができるのかもわかりません……」

「そりゃすごいな……で、その黒い結晶をどうにかする方法はあるのか?」

「そういえばそのことは話してなかったな。あれは並みの衝撃で破壊できるようなもんじゃないんだ」


 グリムが以前破壊を試みたときの話をするとアルゴの表情が険しくなった。


「そうか……我々では破壊できないというのは厄介だな……」

「ん、でもルミナの魔法なら壊せるはず」

「それはつまり、ルミナリアがそこに行くことができれば何とかできるということか?」

「はい。おそらく」


 頷くルミナリアを見たアルゴが頭を下げる。


「すまない。この町のためにあの結晶を破壊するために力を貸してほしい。このままあれを放置できんのだ」


 ルミナリア達が顔を見合わせる。しかし、お互いの表情を見てどうやら互いに同じ答えを持っていたようだと笑う。


「ルミナ。行くんだろ?」

「うん。できることがあるから」

「ん、そういうと思った」

「なら明日坑道の入り口が開いたら最深部に向かうってことでいいのかしら?」


 フィアナが行動方針を提示し、全員が頷く。


「すまない。感謝する……」


 


「よし、そうと決まったら明日の準備だな。アルゴ、坑道に潜るなら人数分の装備を整えたいんだが貸してもらうことはできるか?」

「そうだな。倉庫に予備がある。案内しよう」

「私も行くわ。ルミナちゃんは明日に備えてゆっくり休むといいわ」

「うん。そうするね」

「ん、じゃあ私はその見張り」


 ルミナリアの隣に座っていたアルルメイヤが突然ルミナリアに抱き着く。


「何の見張りなのそれ!?」

「ナイショ」

「ちょっとー!?」


 なかなか離れないアルルメイヤに悲鳴を上げるルミナリアなのだった。







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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりすぎて数話読み返してもなかなか思い出せないでござる( ˘ω˘ )
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