お寝坊さんの早起き
あけましておめでとうございます。
長らくお待たせいたしましたが、今年も更新を頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
第67話です。どうぞ。
「ん……朝……」
まだ町の市場の喧騒すらない早朝。二人分の穏やかな寝息が聞こえる宿の一室で、静かに目を覚ましたのはアルルメイヤだった。
「んーっ……ふふ」
眠気の残る目を擦りながら、同じベッドで眠っているルミナリアの顔を見て微笑むアルルメイヤ。
ルミナリア達の使用している部屋は、本来ならば二人向けの部屋のため、ベッドが二つしかおいていなかったので、ルミナリアとアルルメイヤは同じ物を使用していた。
ルミナリア達が黄の王都アムドリアに到着し、宿へと向かった後。今回もグリムが一人部屋。ルミナリア、アルルメイヤ、フィアナの三人で一つの部屋を借りようとした際。
「丁度三人用の部屋が埋まっておりまして……二人部屋なら案内できるのですが……」
と、宿の受付で説明されたのだが。
「ルミナちゃんとアルルちゃんは一緒に寝るから二人部屋でもいいわよね?」
「ん、ルミナと寝るからいい」
「んじゃ決まりだな」
「えっ……あのー……」
と、ルミナリアの意見を聞かれることなく決まってしまったのだった。
(どうせ人数分ベッドがあってもアルルは入ってきちゃうし……いっか……)
そんな風に自然に考えるようになってしまっており、アルルメイヤと寝ることに抵抗が薄れてしまっていることに気づかないルミナリアなのだった。
「起きて。ルミナ、起きて」
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
「んー……んぅ……?」
アルルメイヤは、同じベッドで眠っていたルミナリアの身体を揺さぶり、耳元で静かに囁く。アルルメイヤは、心地良さそうに眠るルミナリアにぴったりと寄り添いながらルミナリアを起こそうとしていた。
「うぅ……」
しかし、時刻はルミナリアが普段起きる時間よりも早く、更に、先日までの旅の疲れも相まってか、寝惚けた頭はなかなか覚醒せずにいた。
「むぅ、起きない……」
つんつん、つんつん。
「あぅ……やめてぇ……すぅ……」
ルミナリアの頬がつんつんと突かれるも、やはりルミナリアは目覚めない。先程からルミナリアを起こそうとしているアルルメイヤは、頬を膨らませると、布団の中でもぞもぞと動き始めた。
「ん……しょっと……ふふり」
「んきゅぅ……うぅ……?」
アルルメイヤは、悪戯っぽい笑みを浮かべると、仰向けに寝ているルミナリアにピタリとくっつくように上から抱きついた。アルルメイヤに乗られてしまったルミナリアは、可愛らしい声を漏らすも未だはっきりとは目覚めない。
「ルーミーナー、起ーきーてー」
(うぅ……何か乗ってる……柔らかい……?)
寝惚けているルミナリアは、自分の身体の上に乗る何かと、胸元に当たる柔らかくもボリュームのある二つの膨らみを感じると、ようやくルミナリアの目がうっすらと開いた。
「うぅ……ん……?」
「ん、ルミナ、おはよう」
ルミナリアと、ルミナリアの上に乗るアルルメイヤの目が合う。
「おはよ……ふぇ!? アルル!? ちょっ!?」
ルミナリアは、自分の身体に起きている状況。アルルメイヤが密着している事に気がつくと、とろんとしていた目を一気に開き、一瞬でその顔をリンゴのように真っ赤にしてしまった。
「ルミナ、やっと起きた」
アルルメイヤがルミナリアに密着していた身体を起こし、ルミナリアの腰辺りに跨がるように座り楽しそうに微笑む。
「アルル! 起きたから降りて!」
「ルミナ、顔が真っ赤」
「だって……!」
ルミナリアは、アルルメイヤの柔らかなおしりが押し付けられる感触に、慌てて身体を起こすと、アルルメイヤがルミナリアの体の上から転がり落ちた。
「わわっ」
「はー……はー……」
ルミナリアが荒くなった呼吸を整えるため深呼吸をする。そのとき、同時に隣のベッドから強烈な寒気を感じ、そちらへと目を向けた。
「ひっ……!」
「ふー……! ふー……!」
そこには、目元まで布団を被り、血走った目を皿のようにし、息を荒くしながらルミナリアとアルルメイヤを見る不審人物の姿があった。
「ふふ……ふふふふふふ……!」
「わぁぁぁぁ!!」
「むぎゅっ!」
そのあまりの恐怖に、ルミナリアが手元にあった枕をフィアナの顔へと投げつけた。
「ぜー……ぜー……」
「ルミナ? どうかした?」
身体を起こしたアルルメイヤが、先程とは違う意味で息を荒くするルミナリアを見て首を傾げる。フィアナは、顔に枕がぶつかったまま身動きしていない。おそらく先程までの光景を脳裏に刻み込んでいるのだろう。
「いや、なんでもないよ……それより、アルルこそどうしたの? こんなに早起きしてるなんて」
ルミナリアが疑問に思うのも仕方がないことだった。アルルメイヤは、かなり朝が弱く、ルミナリアが起こさなければなかなか目を覚まさないというのが日常だからだ。
「ん、アムドリアの町を見に行きたいから」
そう言って、アルルメイヤが目を輝かせる。頭の上のあほ毛もふりふりと嬉しそうだ。
「あはは、アルル昨日から町を見るのを楽しみにしてたもんね」
「んっ!」
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昨夜の夕食の際、アルルメイヤはアムドリアの町を見たいとルミナリア達へと相談していたのだ。
「あぁ、今のところ急がなきゃいけねえ訳でもないし、行ってきな。せっかくだし、明日は自由行動とするか!」
「ん、ありがと!」
そんな会話があり、ルミナリア達は自由行動となったのだった。
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「じゃあ準備して朝ごはんにしよっか?」
「ん、フィアナも起こす? ……何あれ?」
アルルメイヤが顔の上に枕を乗せているフィアナを見て不思議そうに首を傾げる。
「いや……あれはそっとしておこう。うん」
「んー……?」
「ほら、アルル! 早く準備しちゃおう!」
「ん、わかった」
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「ルミナ、行こ!」
「あぁ、アルル! 待ってよー!」
食堂へと向かったルミナリアとアルルメイヤは、アムドリア特産の山菜が使われた朝食を食べ終えると、徐々に活気付くアムドリアの町へと繰り出して行った。
恐怖、布団から見つめるフィアナ……
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では、また次回で会いましょう。




