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魔法の使い方 その2!

ルミナリアは何かを始めたようです……


第64話です。どうぞ。

 ルミナリアとアルルメイヤが、落ち着きを取り戻した後、フィアナは、部屋の隅に行きバングルを通して念話でグリムへと連絡をとった。延期になってしまった出発の話をするためだ。


「グリム、今いいかしら?」

「ああ、大丈夫だ。……ルミナはどうだ?」


 グリムの心配そうな声がフィアナへと伝わる。その声を聞いたフィアナは、今も落ち着かずに部屋でそわそわしているだろうグリムの様子が目に浮かび、微笑む。


「ふふ、もう大丈夫。あの子達は私達が思っているより……ずっと強いわ」

「そうか……よし、俺も一度そっちに行くか」

「ええ、待ってるわ」


 フィアナがバングルの念話を終えると、椅子に向かい合うように座り、机の上に本を並べて何やら魔法の話をしている二人の妹へと歩み寄った。


「ルミナちゃんとアルルちゃんは何をしているのかしら?」

「ん、ルミナに戦いになっても使えるような他の属性の魔法が使えないかって話してたところ」

「なるほど。で、ルミナちゃん、どうかしら? ……って、その表情からして難しいみたいね」

「むーむむむむむむ……うーむむむむむ……」


 手をかざしながら奇怪な唸り声を上げるルミナリアを見て、フィアナが苦笑する。


「これはダメみたい。何て言うか……魔法を発動させるためのスイッチが無いというか……そんな感じがして使えないって感じ」


 魔法が発動出来ない感覚とでも言うだろうか。ルミナリアのイメージでは、魔力を使い、発動したい魔法のイメージを描き、でもそれを出力するためのスイッチがない、といった感覚だった。


「これなら出来るんだけど」


 ルミナリアが手元に暖かみのある淡く光る光球を創り、指先に浮かべる。


「ん、じゃあ今度はルミナの光魔法を活かせる方法を考える」

「それが良さそうね」

「と、言われても……どうしよう?」


 ルミナリアが首をかしげると同時に部屋の扉がコンコンとノックされる。


「おう、俺だ。開けてもらっていいか?」

「グリムね。今開けるわ」


 フィアナが扉の鍵を開き、部屋にグリムが入ってくる。それを見たルミナリアが立ち上がる。


「ルミナ、落ち着いたか?」

「うん、改めて、さっきはありがとう」

「おう、気にすんな」


 ルミナリアのいつもの表情に、グリムが内心で胸を撫で下ろす。


「で、そんな本まで出して、何をしてたんだ?」

「ルミナちゃんに他の魔法が使えないかって話をしてたのよ」

「ほーう、で、どうなんだ?」


 グリムとフィアナが椅子に座ると、アルルメイヤがふるふると首を振る。


「ん、今のところだめみたい。だから、ルミナの光魔法を伸ばす方向にしたところ」

「でも、どうしていいやらって悩んでたところ」

「なるほどな。ただ、光魔法か……」


 グリムが腕を組んで唸る。


「光魔法っていうと、治癒だとか照明だったりとかのサポート的な使い方が主っていう印象が強いんだよな。アルルの発展魔法みたいに雷撃まで使えれば話は違うけどな」


 グリムの言葉の中に現れた言葉。発展魔法。それは、ルミナリアの聞いたことのない単語だった。


「アルルの雷の魔法って光魔法なんだよね?」

「ん、そう。だけど、私の魔法は雷光魔法。光魔法の発展系。さっきみたいに発展魔法とか、派生魔法とか呼ばれたりする。一応治癒魔法も発展魔法の一つ」

「私にも使えるようになるかな?」

「ん、ルミナならできるかも? ルミナもビリビリ、してみる?」


 アルルメイヤが楽しそうに微笑む。


「やってみる! 要するに電気な訳だよね? なら……」


 ルミナリアが目を閉じ集中し始める。その様子を、フィアナとグリムが微笑ましく見詰める。


「張り切るのはいいが、発展魔法は難しいと思うぞ? 特に雷撃は使えるのは本当に一部の光魔法の使い手だしな。というか、その年齢で使いこなしてるアルルは正直異常なレベルなんだぞ?」

「そうね、本来ならその属性の魔法を極めた人だけが辿り着ける境地の一つとか言われたりもするくらいだものね」

「ん、頑張った。安定して発動出来るようになるまで半年くらい――」


――パチパチ!


「あ、できた」

「「「えー……」」」


 ルミナリア以外の三人がもはや呆れたような視線で、手に電撃を纏わせたルミナリアを見る。


「いや……アルルの使ってるような雷球は出来なかったんだけど、ちょっと違うイメージに変えてみたら……あはは」


 ルミナリアが、魔法のイメージとして使ったのは、地球にある、護身用に使われることもある道具。スタンガンだった。


「ん、まあルミナなら出来るような予感はしてた……私は半年かかったのに、ぐぬぬ」

「あはは……」


 ルミナリアがむくれるアルルメイヤに困ったように笑う。


「なぁフィアナ、ホントにルミナは何者なんだろうな?」

「あら、知らないの?」

「え?」


 当たり前の事を聞かれた、と言った様子のフィアナに、グリムが思わずキョトンとする。


「ふふ、私の自慢の妹よ」

「……はは! そうだったな!」


 その言葉に納得させられたグリム、なるほど、と笑うのだった。


「よし、これはまだまだ練習段階だから、使い方とかを考えないとね。今のところ相手に触らないと効果を発揮できないから……」

「ん、じゃあ他の魔法も考える?」


 アルルメイヤの言葉にルミナリアが頷く。


「うん、出来ることは増やしておきたいしね! と、言っても出せるようなアイデアがないんだよね……」

「光魔法じゃ火を使ったり水を出したりとかは出来ねえからなあ……」

「……ん?」


 グリムのふとした呟きにルミナリアが反応する。


「光魔法で……火を……光で火……?」

「ルミナ? どうした?」

「ちょっと待ってて」


 突然何かを思い付いた様子のルミナリアが、ルミナスブランドを発動させてフライパンを創り出し、目の前の机に置いた。


「ルミナちゃん、何をするの?」


 不思議そうに見詰める三人の視線を受けながら、ルミナリアは、小さなメモ用紙のような紙をフライパンの上に置いた。


「ちょっと思い付いたことがあって……見てて。あ、眩しいかもだから気をつけてね」


 ルミナリアは、そう言うと、強烈な光を放つ光球を創り出す。ルミナリアの頭にあるのは、昔、学校の授業でやった理科の実験。虫眼鏡で太陽の光を収束させて火をつけるというもの。


「ん、眩しい……」

「アルル、ごめんね? これで、光を一方向だけに集中させてあげれば……」


 ルミナリアの指先に浮かぶ光球が、徐々に絞られていき、球から半球へと変化していく。それは、光魔法を自由に操っていたルミナリアですら難しく感じる、非常に精密な魔法操作だった。


「思ってたのとは少し変わったけど、いい感じ……あとは、このまま!」


 そして、その光球だったものは、最終的に、ルミナリアの指先から、フライパンの上に置かれた紙へと伸びる一本の光線となった。


「これは……一体……!?」


 フィアナの目が驚愕に開かれる。それもそのはず、目の前のフライパンの中で収束された光を受けた紙から煙が上がっているのだから。火を使えないはずの光魔法によってその現象が引き起こされているのだから。


「出来た、けど、これもまだ戦いの中で使える段階じゃないよね?」

「そうかもしれねえが……ルミナ、おまえは本当に面白いな! 雷撃を使ったと思ったら、次はこれかよ!」


 やがて、光を受け続けた紙は燃え、ただの灰へと変わってしまった。


「ん、これは初めて見た。光が線になった……」

「名前をつけるなら、さっきの電撃はスタンショック、光線がレイってところかな。どうにかして実戦の中でも使えるようになるといいんだけど……」


 ルミナリアは、その後、日が暮れ、アルルメイヤが空腹に悲しい顔をし始めるまで新たな魔法の使い方を模索したが、やはり実戦にそのまま投入できそうな魔法の開発には至ることは出来なかった。しかし、可能性を感じさせる新たな魔法に、ルミナリアは心を踊らせるのだった。






感想やご意見、誤字脱字の報告等ございましたらよろしくお願いします。

では、また次回で会いましょう。


ストーリーの進行をそろそろ早めないと……(汗)

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