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女の子としての自覚

諸事情で小説が完全に止まっておりましたが、また少しずつ更新していきます。よろしくお願いします。


第59話です。どうぞ。

 黄の国アムドリア、星屑の里。

 そこは、アムドリアの観光地として有名な場所だった。


「何回見ても綺麗だね……」


 街中にも点在している結晶が夜空の星のように煌めく。それは、以前の生活では間違いなく見ることの出来なかったもの。その幻想的な光景にルミナリアが見とれるのも当然とも言えた。


「ああ、これを目当てに色んなところから人が集まるんだよ。ルミナ、見とれるのもいいが、そろそろそのフード被っとけ。その銀髪は特に目立つしな。目立つのは好きじゃないんだろ?」


 そう言ってグリムが指差すのは、ルミナリアの羽織っているマントについているフード。


「うん、わかった」

「それに、さっきも言ったけど、ここには色んなやつが集まってる。つまりだな……」

「良からぬ事を考える人もいる、って事よ」

「うん……?」


 グリムとフィアナが言っていることがよくわかっていないながら、ルミナリアがフードを被る。


「これでいい?」

「いいんだが……なぁルミナ、お前自分がかなり目立つってこと自覚してるか? いや、ルミナのそういうところはいいところなのかもしれないがな?」


 きょとんとした様子のルミナリアにグリムが苦笑いする。


「え? え? 何か目立つようなことしちゃってた!?」

「グリム、その辺私とアルルちゃんで説明しておくわ。先に厩舎の手続きをお願い」

「そうだな、じゃあそっちは頼む」


 そう言ってグリムが係りの男のもとへと歩いていく。それを確認したフィアナが近くに人がいないのを確認してルミナリアへと話し始めた。


「さて、ルミナちゃん。グリムがさっき言ってた意味なんだけど、多分よくわかってないだろうから説明するわね。ま、ルミナちゃんの経緯からしたら仕方のないことなのかもしれないわね」

「どういうことなの?」


 首を傾げるルミナリアに、アルルメイヤがぐっと顔を近づける。


「ん、ルミナは可愛いってこと」

「……え?」


 ルミナリアは、自分に対して言われたその言葉と、先程のグリムの説明の関連を理解できなかった。


「そうね、大体はアルルちゃんの言ってることで正しいんだけど、ちゃんと説明するわね。ルミナちゃん、あなたは以前自分が男の子だったって言ってたわよね?」

「……うん」

「でも、今のあなたはルミナちゃんという女の子よ。だから、あなたは女の子として自分を身を守らなくちゃいけないの。女の子を狙って良くないことを考える連中はいるものなのよ……」

「あ……」


 ルミナリアは、そこまで言われてやっとなんの心配をされていたのかに思い至った。


「そんな……ことが……」


 和希のいた平和な日本ですらも同様の事件は起きてはいたが、それはテレビの向こうの遠い世界の場所のことだった。だが、今の自分が悪意を持った人に狙われかねない立場になっているということを考えたルミナリアの背筋に、寒いものが走り、思わず自分の身体を抱いてしまった。


「ごめんなさい、怖がらせたい訳じゃなかったの。ただ、自分の身を守るというのが戦いだけじゃないということを知ってほしかったの。ルミナちゃんは大事な妹だもの」


 フィアナがそっとルミナリアを抱き締めると、アルルメイヤがルミナリアの背中にぴたりとくっつく。


「ん、ルミナ、私たちがいるから大丈夫」

「ええ、そうよ」

「お姉ちゃん……アルル……」


 二人のその言葉に、ルミナリアの心の中に暖かいものが広がる。


「女の子って大変だな……あはは」


 ルミナリアが困ったように笑いながら考えるのは今の自分のこと。


(女の子としての自覚を持たないといけない、か……。確かに今の僕は女の子だ。でも、同時に自分は男なんだって考え方も捨てられない。どうすればいいんだろう……)


 今の自分の状況をどう捉えたらいいのか。それを改めて考えることになったルミナリアの答えは、手続きが終わったグリムに声をかけられるときになっても出ることはなかった。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






 厩舎を後にしたルミナリア達は、星屑の里の宿を訪れていた。そこで夕食を食べた一行は二部屋借りたうちの一つに集まっていた。


「ん、ここのごはんも美味しかった……」

「アルル……宿の人と隣のテーブルの人達が驚いてたよ……」

「相変わらずお前はすげえよ……」


 あほ毛をふりふりと揺らし、満足げに椅子に座るアルルメイヤ。先程の食事の際、お腹を空かせていたアルルメイヤは、隣のテーブルに座っていた冒険者らしき大柄の男達ですら驚くほどの量をペロリと食べてしまっていたのだ。


「アルルちゃんがどうして太らないのか不思議で仕方ないわ……」

「ん、ごはんは大事だから」

「いや、それはそうなんだけどね……?」


 何故か誇らしげなアルルメイヤなのだった。


「さてと、じゃあそろそろこれからの話をするとしようぜ」

「どこに向かうか、だよね」


 ルミナリア達が集まっていたのは、アムドリアの何処に向かえばいいのかを話し合うためだった。


「ホリティアには聖堂や女神像なんてそのまんまな物があったが、このアムドリアには、はっきりとした女神由来のものなんてのがすぐ思い当たらないんだよな」

「どうして?」

「なんでかは俺も知らないな。その辺はアルルの方が詳しいんじゃないか?」

「ん、前に本で読んだ。神界大戦のあと、ホリティアでは、白の女神様が建国の際に一番最初にあの女神像を作られたって伝承が残ってるのはもう知ってると思う」


 アルルメイヤの説明に全員が頷く。


「でも、この国アムドリアの黄の女神様と勇者様は、集まった人々と殆ど未開の地だったこの土地を開拓し、この国を広げていったと言う伝承はあっても、黄の女神様が遺したものについては伝承が残ってない」

「つまり……手がかりがないってこと?」

「明日にでもこの国の神官達に話を聞いた方が良さそうだな……」

「そうね、じゃあ今日のところはこの辺にして、また明日情報を集めましょう」


 そうしてこの日の話し合いは終わるのだった。そして翌日、予想外の所から手がかりが手に入ることになるとは、このときのルミナリア達には知るよしもなかった。







なお、この後ルミナリアは大浴場には行かず、部屋についているシャワーに逃げ込むことになったとかならなかったとか……


感想やご意見、誤字脱字の報告等ございましたらよろしくお願いします。

では、また次回で会いましょう。

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