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強くなろうよ

不定期でごめんなさい(汗)

第58話です。どうぞ。


 ルミナリア達が宿場町を発って数日、ルミナリアの付与術についても多くの事がわかっていた。


「付与術は生き物には使えないけど、道具や武器なんかには使える。更に……エンチャント」


 小さな岩に腰掛けていたルミナリアがルミナスブランドで創り出したナイフへとエンチャントを発動させる。すると、宙に浮かぶナイフがぼんやりと光り始めた。


「ルミナスブランドにもエンチャントはかけられる……んだけど……」


 ルミナリアがライトの魔法を発動させ、ナイフの隣に光球を浮かべる。


「今使える魔法をエンチャントするなら、直接その魔法を使った方が燃費がいいし効果もいいんだよねぇ……特に治癒術は殆ど効果が出なかったし」


 ルミナリアが光球と光るナイフを空中でくるくると回しながらため息をつく。そう、数日かけて検証した結果判明したのは、付与術は現状使う必要性が殆どないという悲しい結果だったのだ。


「ルミナちゃんホントに器用ね……そんな風に平然と違う魔法を同時に発動させた上に自由に操るのって出来る人の方が少ないのよ?」


 フィアナがルミナリアの操る魔法を見て苦笑いをする。


「そう言えば魔法の練習をしてたときにも言ってたよね?」

「えぇ、あのときはライトの魔法を同時に発動させて自由に操る事に対してだったけど、それは修練を積めば出来るようになることよ」


 魔法を複数発動させ、自由に操る。言葉にすると単純な内容だが、通常これを出来るようになるまではそこそこに時間がかかるのだ。


「ん、普通ならまず魔法の発動と安定、そこから単純な魔法の操作、そして精密な操作を練習する」

「ルミナちゃんは魔法を勉強し始めたその日に複数同時発動と操作まで出来ちゃったのよね。で、今は平然と違う種類の魔法を同時に何でもないことのように操っている。すごいことなのよ?」

「ん、ルミナには強力な魔法が使えるようになる翼もある」

「目立っちゃうから人前ではあんまり使いたくないけどね。よっと」


 ルミナリアが立ち上がりながら光の翼を展開し、ふわりと宙へと浮かび、周囲に煌めく光の羽根が舞う。


「ルミナ、飛ぶのに魔力はあんまり使わないんだったよね?」

「うん」


 ルミナリアが高度を上げ、光の翼を羽ばたかせる。


「そういえばこうしてちゃんと飛んでみたのは初めてだったなぁ……魔力の消費が殆ど無くてよかった。いくよ!」


 まだどこかぎこちなさはあるが、ルミナリアは煌めく羽根の軌跡を残しながらフィアナとアルルメイヤの頭上を飛び回る。


「光の羽根が空から……ルミナ、綺麗」

「まるで何かのおとぎ話みたいね」

「そこまで言われるとなんか恥ずかしいな……」


 フィアナとアルルメイヤの頭上で光の羽根を散らしながら舞っていたルミナリアがゆっくりと高度を下げ、二人の前に降りる。


「空を飛ぶのもこれからの戦いに使っていけそうかな」

「そうね、それはルミナちゃんの強みとして活かしていっていいと思うわ」

「ん、でも無理は禁物。ルミナの強力な魔法は魔力を消費しちゃう。前回の魔法もそう」

「黒いハニーベアとの戦いで使った魔法……祝福だよね。強力なのは確かなんだけどね」


 ルミナリアの、光あれ、という言葉と共に起動するその魔法は、まるで司祭や神官が祝福しているようだという話をして以来祝福と呼んでいる魔法も、付与術と同様に何度か検証を繰り返していた。


「祝福は付与術と違って物じゃなくて人を対象にした魔法なのよね?」

「うん、魔力の消費が激しかったけど、よっぽど連続で使ったりしなければ大丈夫そうかな」

「ルミナちゃんの祝福は私達の切り札といったところね」

「なるべく使わないようにしたいな、すぐに魔力切れになっちゃうし……」


 その言葉に表情を曇らせたアルルメイヤが、ルミナリアの服の端を掴む。


「アルル?」

「ルミナが無理しなくていいように……がんばる。ルミナが苦しそうなのは見たくない」

「ありがとう、アルル。でもそれはアルルだけでがんばることじゃないよ。お姉ちゃん達みたいに、二人でもっと強くなろう! そうすればあの力に頼らずに済むかもしれないし!」

「二人で……ん、ルミナ、がんばろう。二人で!」


 アルルメイヤがルミナリアの手を取り微笑む。普段はあまり見せない、無邪気な表情にルミナリアの鼓動が弾む。


(なんかドキッとしちゃったな……あはは……)

「ふふ、二人とも期待してるわよ?」


 張り切る妹達を見つめるフィアナと、少し離れた場所で剣の手入れをしながら話を聞いていたグリムは嬉しそうだった。


「おっし、そろそろ出発するぞー。このペースなら夕方には星屑街道に入れるだろ。今日はそこにある宿で一泊だな」

「星屑街道?」

「ええ、ルミナちゃんが知らないのは当然として、アルルちゃんは?」

「ん、知識だけ。実際は見たことがない」

「そうか、なら楽しみにしとけ! 黄の国アムドリアの名物の一つだからな!」

「星屑街道か……どんなとこなんだろうね!」

「ん、楽しみ」


 ルミナリア達は、これから見えてくるであろう景色に心を躍らせながら出発の準備を整えるのだった。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






 移動を再開して暫く。陽が傾き、少し薄暗くなり始める頃、ルミナリアは、まだ目的地に到着していないことが心配になり始めていた。


「ねぇグリム、暗くなり始めたけど大丈夫なの?」


 ルミナリアに話しかけられたグリムが楽しそうに笑う。


「ああ、これで丁度いいくらいなんだよ。そんなことよりほら、先の方を見てみろよ」

「ん……? なんだろう、キラキラしてる?」


 ルミナリアがグリムの指差した方を見つめると、キラキラと光るものが見えていた。


「お姉ちゃん、あれなんだろ?」

「ふふ、もう少ししたら見えてくるわよ」


 そのまま更に進むと、今まで光っていたものが何なのかがルミナリアにも見えてきた。


「これは……何かの結晶?」


 それは、地面から生える透明度の低い白い結晶だった。ルミナリアの膝ほどの高さの物から、馬に乗っているルミナリアに並ぶような大きさの物など、大きさにばらつきはあるようだが、どれも同じく結晶の中でキラキラとした光が時折瞬いていた。


「ん、綺麗」

「わぁ……さっきからキラキラしてたのはこれだったんだね……」


 馬に揺られながらルミナリアが周囲を見渡す。道の周囲に立ち並ぶ結晶が瞬く光景は、幻想的な美しさを醸し出していた。その美しさにどれ程見とれていただろうか、気づけば大きな木造の建物の並ぶ町にたどり着いていた、


「ん、話に聞いてた通りまるで夜空を歩いているみたいだった」

「あぁ、だから星屑街道なんだね」

「そうだ、で、この辺は観光地にもなってるから宿なんかも多いんだよ。そしてなにより、ここはアムドリアの入り口なんだよ」


 グリムが馬を止め、町の入り口に立っている門番の男に手を振る。


「あんた達、冒険者かい?」

「ああ、ホリティアから来たんだ」

「そうか」


 門番の男がルミナリア達に道を譲る。


「ようこそ! 黄の国アムドリアの星屑の里へ!」


 ルミナリア達は、アムドリアへと辿り着いたのだった。







ルミナちゃんはわりと自由に空が飛べそうなことが判明しました。

黄の国アムドリア編、スタートです!


感想やご意見、誤字脱字の報告等ございましたらよろしくお願いします。

では、また次回で会いましょう。

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