ルミナとアルルのお買い物
長いこと更新止まっててごめんなさい。
今回はルミナとアルルが買い物にいくお話です。
平和な日常を楽しむ二人です。
第31話です。どうぞ。
翌日、午前の間に神殿での勉強を終えたルミナリアとアルルメイヤは、商店区を訪れていた。なお、フィアナは。
「お出かけ? いいわよ、私も……いや、二人で行ってらっしゃい私も用事ができたから」
「そう? じゃあ明日はアルルと行ってくるね」
「ええ! 私の事は気にせず行ってらっしゃい。私はちょっと趣味を堪能させてもらうから!」
「趣味? お姉ちゃん何かやってるの?」
「ふふふふふ……大丈夫よ……ふふ」
(あ、これ触れない方がいいやつだ)
なんてやり取りがあったため不参加だった。決して買い物を楽しむ妹達の後方数メートルを尾行しながら怪しい笑みを浮かべていたりなどしない。はずだ。
「うーん、やっぱりすごい人の数だね」
「ん、豊穣祭前だから仕方ない」
「そういえばそうだったね。いつだったっけ?」
「あと二日後、豊穣祭が始まれば三日間はお祭り騒ぎ」
「これよりもまだすごいの!?」
「ん、こんなの序の口」
ルミナリアの今見ている光景は、ルミナリアが和希として今までに体験してきたそれなりに大きな規模の祭りの人混みと変わらないか、それよりも多いというものであった。
(もうプロテクション張って歩こうかなぁ……)
ルミナリアがそんな魔法の無駄遣いを考えていると、アルルメイヤがルミナリアの腕に抱きついてきた。
「アルル!?」
「ルミナ、当日程ではないけど、この中を歩くのは大変。はぐれたら面倒」
「た……確かにそうだけど……」
「ん、じゃ、行こ」
ルミナリアを引っ張るように歩き始めるアルルメイヤ。ルミナリアの腕には、アルルメイヤの立派な二つの膨らみの感触がしっかりと伝わってきている。ルミナリアがその感触に戸惑っていると、アルルメイヤがある方向を指差した。
「ん、ルミナ、見えた。あの店?」
「そ、そうだね、あそこなら良さそう」
アルルメイヤが指差したのは、果実や野菜の並ぶ青果店だった。今回のルミナリア達の目的は、果物やシロップ、クリームなどのお菓子の材料だった。先日、フィアナと商店区を歩いたときや、図書館に行ったときに、元の世界にもあったようなお菓子がこの世界にも存在していることは知っていたのだ。
「いらっしゃい! 今年もいい野菜と果物が揃ってるよー!」
店先では体格のいい男が呼び込みをしており、店先も賑わっている。
「ちょっと通してください……ふぅ……少し移動するだけでも苦労するね」
ルミナリア達が、人混みを縫ってなんとかたどり着いたその店では、見るからにツヤのいい果物や野菜が並んでいた。
「いらっしゃい! 君たち、おつかいかな? この人混みの中大変だったろ?」
「ん、賑わうのはいいこと。でも疲れる……」
「そうだな! でもそれがお祭りらしくていいんだよ! さ、何を買うんだい?」
「お菓子作りに使う果物を探しに来たんですけど……」
「ほう、それならいいのがあるよ!」
男はルミナリア達に様々な果物を紹介してくれた。ルミナリアは、その中からいくつかの果物を選び購入した。
「まいどあり! また来てくれよ!」
「色々教えてくれてありがとうございました」
「ん、どれも美味しそう……」
「アルル、果物は帰ってからだからね?」
「そんなに気に入ってもらえたのか、少し待ってな!」
そう言うと、売り物のバナナのような実を二つ手に取りルミナリアとアルルに渡した。
「これは?」
「ほら、持ってきな。サービスだ! 皮を剥いて簡単に食べられるやつだよ」
「ん! ありがと!」
「ありがとうございます!」
「いいってことよ! じゃあな!」
ルミナリア達は、再び人混みの中に戻ると、通りにあるベンチに腰かけて果物を食べることにした。
(見た目はバナナ……だね)
ルミナリアがその果物を見つめている横では、アルルメイヤがもう皮を剥いて食べ始めていた。
「はむ……ん、おいしい」
「じゃあ私も……はむ」
ルミナリアが食べたその果物は、見た目の通りのバナナだった。
「あ、やっぱりバナナなんだ……お祭りでバナナといえばあれだよね……」
「ん、ルミナどうしたの?」
「いや、何でもないよ。ただ、この果物を使ったお菓子を思い出してね」
ルミナリアは、お祭りとバナナから連想した、屋台のチョコバナナを思い出した。
「ルミナ、記憶が戻ってきた?」
「い、いや! この間図書館で読んだ本に載ってたんだよ!」
「そう……でも気になる」
「今度材料が揃ったら作ってあげるね。あはは……」
「ん、たのしみ」
(危ない危ない……前の世界の事なんて話せないよ……)
「さて、じゃあ他の材料を買いに行こうか! あとは簡単に見つかるよ」
「ん、行こう」
ルミナリアが立ち上がると、やはり腕に抱きつくアルルメイヤ。
「……アルル、やっぱりそれで歩くの」
「ん、はぐれないように」
「そ、そっか……そうだね……」
色々と諦めるルミナリアなのだった。
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他の材料を揃えたルミナリア達は、商店区を抜けてフィアナの家に戻ろうとしていた。時刻は昼過ぎ。丁度昼食のために人が減ってきたため、最初よりは楽に移動することができたのだが、アルルメイヤは、相変わらずくっついたままだった。
「アルル、お腹すいてきたね」
「ん、早く帰ってパンケーキにしよう」
よほど楽しみなのだろう。表情は変わらないが、頭の上では尻尾がぱたぱたしている。
「はいはい、帰ったら作るからもう少しだけ待ってね」
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ある薄暗い部屋。棚には様々な道具や巻物、本などが並べられている。その部屋の中央では、椅子に座り、フードを被っている人物と、その人物相手にイライラしたように話す男の姿があった。
「ふふふ、それはそれは大変だったようですね」
男が暫くの間喚くように話すのを聞いていたフードの人物の声は、男とも女とも取れない不思議な声だった。恐らく認識に影響する魔導器を使っているのだろう。
「だから! やつらに思い知らせる必要がある! 本当に力のあるのは誰なのか! だからもっと強力なやつをよこせ!! 金なら払う!」
「ふふ、全てはあなたの傲慢さが招いた事ではないのですか?」
「ぐ……黙れ! お前は黙って物を寄越せばいいのだ!」
「そうですか、そこまで言うのならいいでしょう」
フードの人物は立ち上がり、部屋の奥に置いてある古めかしいネックレスを手に取った。
「一応聞きますが、強力な物を、といいましたね? 本当によろしいですか? 代償も――」
「かまわん! さっさと寄越せ!」
「……では持っていくといいでしょう。あぁお代は構いません。あなたは上客だ。日頃の感謝ということで」
「ふん、何をたくらんでいるかは知らんが、使わせてもらおう!」
そう言うと、男はネックレスを身につけ、去って行った。
「あのガキども……私を虚仮にしたことを後悔させてやる……!」
部屋のドアがバタンと閉まり、部屋の中は耳が痛くなるほどの静寂が訪れた。そんな中、フードの人物が誰にともなく話し始める。
「ふふ、あなたは確かに上客でした。もう会うこともないでしょうが……私は高みの見物とさせてもらいましょう、はははははは!」
アルルちゃんの中での友達の距離感はかなり近いもののようです。ルミナちゃんの困惑はまだまだ続きそうです。
街はお祭りムードで賑わいますが、不穏な気配もあるようで…
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では、また次回で会いましょう。




