衝動
ルミナちゃん、悩みます。
第27話です。どうぞ
食事を終えたルミナリア達は、グリムと別れ、フィアナの家に帰りついていた。
「ただいまー」
「ん、ただいまぁ。ルミナ……ルミナ……おなかいっぱい……」
「ちょっと!? アルル! 背中にくっつかないでよ!?」
家に入り、荷物を降ろした途端に、アルルメイヤがルミナリアの背中にのし掛かるように抱きつく。ルミナリアの背中には二つの膨らみの感触が伝わってくる。
「だって、おなかいっぱいだし、疲れて眠いし……」
「ふふ、じゃあアルルちゃんとルミナちゃんは先にお風呂に入っちゃいなさい」
「ん、わかった」
「えっ!?」
フィアナの提案に、ルミナリアから離れて準備のために部屋に向かうアルルメイヤ。しかし、ルミナリアはその場で留まったままだった。
「ルミナ?」
ルミナリアは、アルルメイヤとお風呂に入るという状況は避けたかった。今の身体的には女の子ではあるが、心の中は男子高校生なのだ。当然落ち着いてお風呂に入る、なんて事などできるわけがなかった。
「わ、私は後からでいいよ! えっと……ちょっと魔法について気になることがあるから本を見たいから! あっ、なんならお姉ちゃんも先に入っちゃってよ、私は最後でいいから!」
ルミナリアはそう言うと、荷物を持って自分の部屋へと帰っていった。
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ルミナリアが部屋に戻ってから直ぐにアルルメイヤも戻ってきた。アルルメイヤは、自分の衣類を準備すると、ベッドに座って魔法の参考書を読んでいるルミナリアに声をかけた。
「じゃあ、お風呂いってくるね」
「うん、いってらっしゃい」
アルルメイヤがパタリとドアを閉める。同時に、ルミナリアはガクリと項垂れた。
「あぁ……今さらだけど、ホントにどうしよう……」
ルミナリアが気にしているのは、アルルメイヤのことだった。アルルメイヤは、ルミナリアに気軽にくっついてくるのだ。初めて友達になった、というのもあるのだろう。
「でも……私……僕は男なんだよ……」
夜眠る時だってそうだ。この部屋にはベッドが一つしかないため、二人で使っているのだが、アルルメイヤが抱きついてくるため、なかなか眠りにつけないのだ。
「でも、言えないよね……中身が男なんて……はぁ……」
アルルメイヤがくっついてくる度に、女の子の柔らかさを感じてしまいドキドキさせられてしまうのだ。
「はぁ……でも慣れないと、だよね……」
ルミナリアが疲れたようにため息を吐いた。
「女の子の身体、か……」
ルミナリアが自分の身体を見下ろす。そして、思い出すのは、ギルドでのこと。男達から見られていたことだ。
「今は女の子とはいえ、男相手にそんな目で見られるのは……ちょっとなぁ……やめよう! うん!」
ルミナリアは、首をぶんぶん振って嫌な考えを振り払うとベッドに突っ伏した。
「ん……これって……」
ルミナリアが突っ伏したベッドからはルミナリアとアルルメイヤが使っている石鹸の香りとは別に、女の子らしい甘いような香りがした。
「アルル……」
ルミナリアの脳裏をよぎるのは、アルルメイヤの柔らかな感触。そして、感じたのは下腹部がきゅんと切なくなるような感覚。
「んっ……って、ダメダメ!」
ベッドからがばりと起き上がるルミナリア。しかし、疼き始めた感覚はなかなか頭から離れてくれなかった。それどころか、先日、アルルメイヤがお風呂に乱入してきたことにより中断となってしまった行為や、その後のアルルメイヤが身体を洗ってくれたときの事などを思いだし更に悶々としてしまう。
「うー……とりあえずお風呂の準備……お風呂……」
お風呂というワードで思い出してしまった。この姿で最初にお風呂に入ったときにしてしまったこと。
「……ごくり」
ルミナリアの鼓動はドキドキと加速していくばかり。そして、ついに自分を押さえきれず、手を自分の股間に――
がちゃり。
「ルミナーお風呂いいよー」
「――っ!?!?」
ルミナリア、声ならぬ悲鳴をあげてその場で駒のように回転を始める。
「ルミナ? どうしたの?」
「ななななななんでもないよ!?」
「……?」
ルミナリアが回転を止めると、お風呂上がりで色気を纏わせたアルルメイヤの姿が目に映る。正直に言って、今のルミナリアには目の毒であった。
「……お、お風呂もういいかな?」
「ん、フィアナも一緒に入ったからいいよ……ひどい目にあった……」
アルルメイヤは、どんよりとした表情でベッドに向かっていった。
「じゃあお風呂にいってくるね!」
「ん、いってらっしゃい」
ルミナリアは、準備していた服を抱えると、お風呂へと急いで移動していった。
「んー……変なルミナ……」
残されたアルルメイヤは、ポツリと呟いた。
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ルミナリアが脱衣場のドアをパタリと閉めると、思わず足をもじもじと擦り合わせてしまった。
「なんで……こんな……お風呂、入ろう……」
着ていた服を乱雑に脱いでいく。そして、つけていた可愛らしいパンツを脱ぐときに気づいてしまった。
「これって……」
自分の股間に感じる湿り気と、パンツについてしまっていた染みに。
「っ!」
もう我慢など出来なかった。慌ててお風呂場の中へと飛び込むと、シャワーのスイッチを入れる。そして、自分の胸と股間へと指を滑らせていく――
それからしばらくの間、シャワーの音に紛れて、ルミナリアの小さな声がお風呂場に響き続けた。
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「すぅ……すぅ……」
ルミナリアが部屋に戻ると、既にアルルメイヤは眠ってしまっていた。
「もう寝ちゃってるね。私も……寝よう……」
ルミナリアは、眠っているアルルメイヤの隣に横たわると、全身から伝わる倦怠感と眠気に身を任せた。
「おやすみ、アルル……」
色々と悩んでいる間にやらかしてしまったルミナちゃん。
心と身体が一致せずに苦労するって大変なことだと思うのです。
次回はまたギルドに向かうことになる予定です。
感想やご意見、誤字脱字の報告等ございましたらよろしくお願いします。
では、また次回で会いましょう。




