やってきました冒険者ギルド
また風邪を引きました……ぐふぅ……
さて、ルミナちゃんたちは冒険者ギルドにやってきました。
第26話です。どうぞ。
冒険者たちと別れたルミナリア達は、ギルドへとやって来ていた。
ギルドは吹き抜けのある三階建ての建物になっており、一階は、多くの冒険者たちで賑わっていた。
「わ、すごい人数だね」
「このくらいの時間は、私たちと同じように仕事を終わらせて、報告に来る人たちが多いのよ」
「この時間を避けるつもりだったんだがな、あんなことがあったんだ。仕方ないな。さて、まずは冒険者としてのギルドへの登録といくか。こっちだ」
ルミナリア達が、入り口から入って一番右のカウンターに向かう。その途中、グリムとフィアナの知り合いらしき冒険者達に声を掛けられながら、他のカウンターより人数が少ない列の最後尾に並んだ。
列に並んだルミナリアは、周囲の冒険者達からの視線を感じ、落ち着かない様子だった。
「ん、ルミナ、どうしたの?」
「うーん……なんか見られてるような……」
ルミナリアがふと振り向くと、何人かの冒険者がサッと顔を背けた。
「ルミナ、目立つのはしょうがない。ルミナの銀髪は珍しい」
「あ、そういえば銀髪ってあんまりいないんだったっけ?」
「たぶんそれだけじゃないわよ」
前にいたフィアナが、ルミナリアとアルルメイヤの会話を聞いて振り返った。
「え、私そんなに目立つようなことしてたかな!?」
「ふふ、違うわ。こっちを見てるのは基本的に若い男連中よ」
「ん、なるほど」
フィアナの言葉に納得したように頷くアルルメイヤ。
「え? どういうこと?」
「つまり、ルミナちゃんがかわいいからみんなが見てたのよ。ちなみに、アルルちゃんも人の事言えないわね」
ルミナリアとアルルメイヤには自覚がなかった。自分達が、街でも滅多に見られないような、かなり可愛い部類であることに。そんな存在が、ギルドにいるのだ。目立たないはずがなかった。そして同時に、ルミナリアは全身に鳥肌が立つような思いをしていた。
(確かに今は女の子になってるけど、男からそんな風に見られるのはさすがにキツイ!! というか、避けたい!!)
今までは、街でいろんな人から見られて恥ずかしい。といったことはあったが、ここまではっきりと男性からそういう目で見られる、ということがなかったルミナリアは、今すぐにでもどこかに隠れたい気持ちで一杯だった。
「そんな目立ちかたしたくないよ!?」
「ん、ルミナ、仕方ない」
そう言ってさりげなくルミナリアの影に入ろうとするアルルメイヤ。
「ってアルル! 人を盾にしないでよ!?」
「そんなこと、ない」
きゃいきゃいと騒ぐ二人は、余計に目立っていたが、可愛い女の子二人が戯れる様子を止める者などなく、いいものを見た、といった様子で見つめる冒険者達なのであった。
「ふふふ……いいわ……いいわ……ふふふふふ……」
もしかすると、二人のすぐ側で異様な気配を放ち始めたフィアナに近づきたくなかったからかもしれないが。
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ルミナリア達が、列の一番前までやって来たとき、ルミナリアとアルルメイヤは、ぜいぜいと息をきらしていた。
「つ……つかれた……」
「ルミナが……暴れるから……」
「なーにやってんだお前達……ほら、いくぞ」
グリムに促されたルミナリアとアルルメイヤが、カウンターの前に立つと、職員の女性が話しかけてきた。
「こんばんは、ご用件はなんでしょうか?」
「ルミナリアといいます、冒険者登録に来ました」
「ん、私はアルルメイヤ。同じく登録に」
「えっ……あなたたちが……?」
その女性は、信じられない、といった様子で後ろにいたフィアナとグリムを見る。
「えぇ、間違いないわ。それに、その子達、強さだけなら結構なものよ?」
「これ、見てもらっていいか?」
そう言ってグリムが、荷物の中から、角兎の角と、鎧猪の牙を取り出しカウンターに置いた。
「これは……」
「今日こいつらが森で倒した魔物の討伐証明だ。俺とフィアナが同行してしっかり見てたぜ」
「え、これは鎧猪の牙ですよね? 森に鎧猪はいないのでは?」
「あぁ、それならすぐにわかると思うぜ。今日森に異変があったとか報告があっただろ? さっきその調査に向かう連中とすれ違った。そいつらに倒した場所を伝えてある」
グリムの説明にも、まだ納得出来ない様子の女性。それもそうだろう。そこに置かれている鎧猪の牙の大きさは、戦い慣れた冒険者達が、十分に準備を整えてから討伐に向かうような鎧猪であることを示しているのだ。そんな鎧猪をこの女の子二人、グリム達の援護があったとしても四人だけで倒せたとはとても信じがたいことだった。
「そうだ、調査から帰ってきた人達にこう聞いてみて。鎧猪はどうやって倒されていたかって。きっと槍と雷撃を受けていたって言うと思うから。それはこの二人が魔法で放ったものよ」
フィアナの言葉に数秒悩んでいた女性は、頷くとルミナリアとアルルメイヤの顔を見た。
「わかりました。グリムさん達の推薦ということで冒険者登録を進めます」
受付の女性はそう言うと、カウンターの下から二枚の紙を取り出した。
「では、こちらにバングルのある方の手で触れて魔力を流してください。少しでいいですよ。魔力の波形を記録するだけですので」
以前読んだ本に、魔力には波形がある、と書いていたのを思い出すルミナリア。
「魔力の波形ですか?」
「はい。魔力の波形は人それぞれなので、ギルドでは個人の証明に使っています」
(なるほど……指紋認証みたいな物か……)
ルミナリアとアルルメイヤがその紙に触れ、魔力を流す。すると、紙とバングルがぼんやりと光った。
「はい、よろしいですよ」
「ん、もう終わり?」
「はい、こちらの紙にはあなた達の魔力の波形が保存されました。同時に、バングルの職業欄も変わっているはずなので確認しておいてくださいね」
「ん、わかった」
「では、登録を終了させていただきます。できれば近いうちにまた来ていただいてもよろしいでしょうか? 先程の鎧猪の件についても話を聞かせていただきたいので」
「わかりました。いいよね、お姉ちゃん?」
振り返り、フィアナの方を向くルミナリア。
「そうね、じゃあそのときに依頼の受け方なんかについて説明してあげるわ」
「ということで、また来ます……どうしました?」
ルミナリアが再び受付の女性を見ると、フィアナの方を見て、わなわなと震えていた。
「フィアナさん!! あなたに妹なんていませんでしたよね!? それなのにこの子はなんですか!! 羨ま……こほん、失礼、取り乱しました。では、またのお越しをお待ちしております」
興奮して立ち上がったが、すぐに椅子に座り、笑顔で対応する女性を見たルミナリアとアルルメイヤはこう思った。
(あぁ……この人もダメな人の部類かもしれない……)
こうして、ルミナリア達の冒険者登録が終わった。
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登録を終わらせた後、魔物の討伐依頼の報酬を受け取り、ギルドの外に出ると、すっかり日は落ちており、空では二つの月が輝いていた。
「そういえばバングルの職業欄が更新されるんだっけ」
ルミナリアがバングルに魔力を通す。
名前:ルミナリア
性別:女
年齢:14
出身:
職業:冒険者
「うん、確かに変わってる……ん? そういえば……」
ここでルミナリアは思い出した。
「アルル!? アルルの職業って変えてよかったの!?」
「そういやそうだったな!?」
そう、本来ならば、アルルメイヤはホリティアの王族なのだ。ルミナリアは、そんな彼女の職業が変わるのは不味いのではないかと思ったのだ。
「すっかり馴染んで忘れてたわ! アルルちゃん、よかったの?」
フィアナにも心配そうに話しかけられるアルルメイヤだったが、その様子はいつもとかわりなかった。
「ん、問題ない。私たちは基本的に無職だから。王族は別に職業じゃなくてただの産まれ。実際に、ねーさまは騎士なんてやってるし大丈夫」
(つまり……無職王……いや、やめよう……)
ルミナリアは、心の中で失礼な呼び方をしてしまったことを忘れ、アルルメイヤの職業が大丈夫だったことに安堵するのだった。
「さてと、じゃあ飯とするか!」
「ふふ、もちろんあそこよね?」
「当然だろ?」
「あ! あそこだね!」
「よし、さっさといこうぜ! アルル! 今日は期待しとけ!」
「ん、よくわからないけどわかった」
ルミナリア達は、首を傾げるアルルメイヤを連れて歩き始めた。
と、いうわけで冒険者登録をするだけの話になってしまいました……ぐぬぬ。
次回はまた日常回の予定です。
感想やご意見、誤字脱字の報告等ございましたらよろしくお願いします。
では、また次回で会いましょう。




