甘いものは?
長らくお待たせいたしました。
ちょっと展開で悩んでましたがなんとか書けましたので投稿です。
第21話です。どうぞ。
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とんでもないことに29話とか書いてました!
ごめんなさい!
「~♪」
朝のフィアナ家の台所。そこには、水色のフリルつきのエプロンを着け、鼻歌を歌いながら料理をするルミナリアの姿があった。
「それにしても、この世界の料理が向こうとそこまで大きくかけ離れてなくて良かったな」
ルミナリアが治癒の基本魔法を習得してから二日後。ルミナリアは、魔法の練習を続けながら、料理にも手を出し始めていた。
この世界で生きていく上で、料理も出来るようになっておきたい。そう考えたルミナリアは、フィアナや商店街の人々に調味料や食材について教わったのだ。
「なんか、すごく懐かしく感じるなぁ……今思えばまだ何日かしかたってないのに……」
幸いにも、調理法は、前の世界と大きくかけ離れていなかったため、元々料理が出来たルミナリアはすぐに料理が出来るようになった。
「フライパンは……上の棚だね……よっと」
ルミナリアは、目の前のなにもなかったはずの場所に小さな踏み台を作り、フライパンをとってから踏み台を降りる。すると、その踏み台はスッと溶けるように消えていく。
ルミナリアのオリジナル魔法、ルミナスブランド。以前は空中から引き抜くだけだったが、今では自分の近く、2~3メートル程度の位置になら呼び出すことが出来るまでになっていた。
「よし、流石にフライパンを作るのは不味いからなぁ……」
ルミナリアが、フライパンを作り出さなかったのは、魔法の練習をしていくなかで、ルミナスブランドで作り出した物は、ある程度のダメージを受けると消えてしまうことがわかったからだった。耐久性は作り出した物毎に違うようだが、いつ消えるかまではわからないため、鍋やフライパンに使うには危険だったのだ。
「お皿に移して……よし、完成! お姉ちゃんたちを起こさなきゃ」
ルミナリアが朝食のパンケーキを焼き終わり、エプロンを外して二階へ行こうとすると、階段を降りてくる足音が聞こえてきた。
「おはよう、ルミナちゃん。ん~甘い匂い……朝食はパンケーキね?」
足音の主はフィアナだった。昨晩、ルミナリアが朝食を任せてほしい、とお願いしたため、いつもより遅い時間まで眠っていたのだ。
「おはよう、お姉ちゃん。うまく焼けたと思うから楽しみにしててね?」
「ふふ、わかったわ。じゃあ私は紅茶でも用意してるから、アルルちゃんを起こしてきてあげて?」
「うん、ありがとう。じゃあちょっと待っててね」
ルミナリアは、二階に上がり、自分たちの部屋の前に立つと、扉をノックしてからアルルメイヤに呼び掛けた。
「アルルー、朝ごはんできたよー? 今日は甘いパンケーキだよー」
何度か呼び掛けるも、部屋の中に物音は全くなかった。
「うーん、やっぱり起きないよねぇ……アルルほんとに朝弱いもんなぁ……アルル、入るよー」
呼び掛けて起こすことを諦めたルミナリアは、扉を開け、部屋の中に入った。ベッドの上には幸せそうに布団に包まれているアルルメイヤが寝息を立てていた。
「やっぱり寝てる、アルル、ごはんできたから起きて」
「ん~……うにゅ……」
ルミナリアがアルルメイヤを軽く揺さぶりながら声をかけると、アルルメイヤがうっすらと目を開いた。まだ半分夢の中、といったところだろう。
「ごはん……?」
「そうだよ、ごはんだよ? アルルの好きな甘いパンケーキが待ってるよ?」
「ん~……甘い匂いがする……食べる……」
寝ぼけたアルルメイヤは、何を思ったか、目の前に立っていたルミナリアの腰にしがみつくと、バランスを崩したルミナリアをそのまま布団の中に引きずり込んだ。
「ふえ? ちょ!?」
「柔らかい……ふわふわ……」
アルルメイヤは、ルミナリアにしっかりと抱きつくと、ルミナリアの胸に顔を押し付けた。
「だめ……だって!? アルル、やめ……ちょっと!?」
「……んゅ?」
アルルメイヤに抱きつかれたまま、ルミナリアが必死に抵抗すると、ようやくアルルメイヤが目を覚ました。
「おはよ、ルミナ」
「……おはよう、アルル。とりあえず、朝ごはん食べよっか?」
「ん、わかった」
二人はもそもそと布団から出てくるのであった。
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「お姉ちゃん、アルル、どうかな?」
「うん、美味しいわ。ルミナちゃん、ありがとう」
「ん! おいしい」
「よかった、じゃあ私もいただきまーす」
ルミナリアのパンケーキは、二人に好評だった。その事に安心したルミナリアがパンケーキを食べ始める。ふんわりとした食感と優しい甘みが広がる。それは、ルミナリアの記憶にある味と同じものだった。
(そういえば、優羽はこのパンケーキが好きだったんだよね……)
ルミナリアは、今は会えない妹のことを思い出すと、寂しそうに微笑んだ。
「ルミナちゃん? どうかした?」
「ううん、なんでもないよ」
「そう?」
ルミナリアは、フィアナに聞かれたことを、首を振って誤魔化した。
「そうだ、二人ともまだ食べるならもう少しなら焼いてあげられるよ?」
「食べる!」
アルルメイヤは、ルミナリアが言い終わると同時に、目をきらきらと輝かせてパンケーキが載っていたお皿を差し出した。その頭の上では、髪が犬の尻尾のように揺れていた。
「う、うん、喜んでくれてるみたいで良かったよ。ちょっと待っててね?」
「うん! うん!」
ルミナリアはそんなアルルメイヤの様子に苦笑しながら、エプロンを再び身に着け、キッチンに向かう。
「ふふふふふ、元気なアルルちゃんもエプロン姿のルミナちゃんもかわいいわ……ふふふふふ」
ルミナリアは、後ろから聞こえてくる怪しい呟きと笑い声から感じる悪寒を無視して、追加のパンケーキを焼いていった。
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「ごちそうさまでした……」
パンケーキを食べ終わったアルルメイヤは、実に幸せそうな顔で紅茶を飲んでいた。
「あはは、アルルはホントに甘いものが好きなんだね?」
「うん、甘いものを食べたら幸せ……」
「この間の街でもすごかったわよね……」
ルミナリアが神殿で治癒の基本魔法を覚えた後、街に遊びに行った三人だったが、アルルメイヤは甘いものを見るたびに目を輝かせ、それらを買うと、全てペロリと食べてしまったのだ。それを見ていたルミナリアとフィアナは、苦笑いをすることしかできなかった。
「そうだ。お姉ちゃん、今日は神官長さまは用事があるって言ってたよね? 今日はどうしよっか?」
今日は、神官長に用事があることを、昨日の時点で聞いていたのだ。そのため、午後からの時間が大きく空いてしまっていた。
「そうね、うーん……買い物はしたばかりだし……アルルちゃんはやりたいこととかある?」
「……甘いもの食べに行く?」
「「いやいやいやいや!?」」
アルルメイヤのまさかの提案にぴったりと動きを合わせて突っ込む二人。
「今、私の作ったパンケーキをかなり食べたばっかりだよね!?」
ルミナリアが、アルルメイヤのお皿を指差す。
「ん、甘いものは別腹」
アルルメイヤは、得意気にそう宣言するのであった。そのとき、コンコンと玄関の扉がノックされる音と、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「フィアナ、いるかー?」
「グリム? どうしたのかしら?」
フィアナが玄関の扉を開くと、鎧と剣を装備したグリムが立っていた。
「おはようグリム、そんな格好でどうしたの? 仕事は豊穣祭の後まで休みの予定じゃなかったの?」
「昨日ギルドから連絡が来てな、なにやら街周囲の魔獣の討伐依頼が国から出たらしくてな? 今回の豊穣祭を安全に開催したいんだとよ」
「それで私に声をかけに来た、ということね?」
「あぁ、これから出られるか? まぁルミナのことがあるだろうから無理にとは言わないがな。よぅルミナ、おはよーさん……と、その子は?」
グリムは、フィアナの後ろから様子を窺っていたルミナリアに、片手をあげて挨拶をすると、ルミナリアの横に立っていた見知らぬ女の子がいることに気がついた。
「ん、アルルメイヤ・ブラン。アルルでいい」
「おぅ、よろしく。俺はグリムだ」
「アルルちゃんも今うちに住んでるの」
「……どっから拐ってきたんだ?」
グリムが怪しむようにフィアナに話しかけると、フィアナはいい笑顔でファイアボールを手の上に呼び出した。
「だあああああ待て待て冗談だ!」
「わかればいいわ」
グリムが慌てて謝罪すると、フィアナはファイアボールを消して微笑んだ。
(シリルさんも同じ反応だったけど……お姉ちゃん今までに何してきたんだろう……)
ルミナリアは内心で呟くのであった。
「さて、話を戻すわね。ルミナちゃん。アルルちゃん。今日の予定なんだけど、実戦での訓練にしてみない?」
フィアナの突然の提案に全員が驚いた。
「おい、フィアナ、まさかその子たちを連れてくつもりか?」
「ええ、ルミナちゃんとアルルちゃんの今後のためにいつか必要になるって考えてたの」
「今後?」
「えぇ、実は───」
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フィアナが、グリムがいない間にあったことを簡単に説明し終わると、グリムが静かに頷いた。
「なるほどな、女神に会いに行く……か。ルミナ、お前そんな大変なことになってたんだな」
「うん、まだ出発はいつか決めてないけど、近いうちには行くことになると思う」
「で、アルルもそれについていく、と? これまたどうして?」
「ん、私もこの国の王家の人間としてルミナの行く先を見守りたいと思って、一緒に巡礼することにした」
「おい……今なんて言った!?」
グリムは、アルルメイヤの言葉に思わず大きな声を出してしまった。
「あ、説明してなかったわね。その子、正真正銘この国の第二王女様よ。なんなら王様直筆の手紙もあるけど読む?」
「いや……いい……とりあえず状況は理解した。で、ルミナとアルルはどうしたい?」
「私は……」
「ルミナ、私はルミナについていく」
アルルメイヤは、ときおり見せる真剣な眼差しで、ルミナリアを見つめていた。
「…………グリムさん。お姉ちゃん。正直に言うと戦うなんて怖いし、自信なんてない。でも、これからの自分のためにそれが必要になるのもわかるから……私に戦いかたを教えてください!」
ルミナリアが二人に頭を下げると、その頭をフィアナが撫でた。
「うん、じゃあ準備を始めましょう!」
こうして、準備を整えたルミナリアたちは、街の外へと向かって行った。
本当なら戦闘シーンまで行く予定でしたが、思ったよりも長くなってしまい入りませんでした…
あと、布団のなかに引きずり込まれたルミナちゃんにちょっぴりえっちぃイベント用意しようかともかんがえましたけど、さすがに引っ張るのも悪いかな…と思って今回は削りました…
さて、次回こそ戦闘シーンが…
感想やご意見、誤字脱字の報告等ございましたらよろしくお願いします。
では、また次回で会いましょう。




