魔法の適性
さて、ルミナちゃんはどんな魔術師になるのでしょうか?
第16話です。どうぞ。
12/08 まさかのタイトル入れ忘れ!!!ごめんなさい!!!
「ふむ……これは……」
「綺麗……ですね……」
ルミナリアの目の前で、神官長が目を見開いていた。
今ルミナリアは、大きな水晶玉に触れ、魔力を流していた。その水晶玉の中では色鮮やかな星のような光の粒が舞っており、まるで夜空を映し出しているかのようだった。
「神官長さま、どうでしょうか?」
「うむ、確かに光属性の魔法への高い適性があるようじゃな。それにしてもここまで高い適性は初めて見る……」
「もしかすると、ルミナちゃんは治癒術師になれるかもね!」
「治癒術、ですか?」
「うん。そういえばルミナちゃんって魔法の知識なんかもないんだっけ。あのね、光魔法には傷を癒す治癒の魔法があるんだよ。よっぽど適性が高くないと使えないらしいけど……」
「うむ、これほどの適性があるなら使えるようになるかもしれんな」
「ルミナちゃん、治癒術師になれるのは、光魔法の適性がある人たちの中でも本当に一握りなのよ?」
そう、光魔法への適性がある人々はいても、治癒術を使えるようになれる人物は少なく、この王都ホリティアにおいても貴重な存在だった。
「フィアナ、お主は火属性の適性があるんじゃったな?」
「はい、そうです」
「光属性の魔法ならば儂からも教えられることがあるかもしれん。 ルミナリアに魔法を教えるのならば儂も協力しよう」
「神官長さま、よろしいのですか?」
「うむ、ルミナリアがそれを望むなら、じゃがな。どうかな?」
「お願いします。私に、魔法を教えてください!」
こうして、ルミナリアの魔法の練習の日々が始まるのだった。
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神殿から城へと戻ったアルルメイヤは、父であるアストン王に、先ほどのルミナリアたちとの会話のことを伝えていた。
「そうか……信じがたい話ではあるが、アルルが問題ないと判断したのならそれを信じよう。それで、その子はこれからどうするつもりなのだ?」
「残り四人の女神に会う、って言ってました。おそらく近いうちに旅に出るんじゃないかと。で、おとーさま。私も行きます」
「……なに?」
アルルメイヤの突然の宣言にアストン王は固まってしまった。
「ん、だから私もその旅についていこうかと……」
「待ちなさい、なぜそう思ったのだ?」
「ずっと前におばーさまが言ってました。おばーさまのおかーさまが私と同じくらいの頃、世界各地を巡る巡礼の旅をしたって。だから私も行こうかと」
「アルル、よく聞きなさい。確かに昔は世界を巡る巡礼の旅を行っていたが、最近は魔物の出現が増え始めたことで危険性が上がってきたという理由もあり、もう行われていないのだ」
そう、このホリティアの王家には巡礼の旅を行った後、初めて公の場に顔を出すことになるという風習があったのだ。しかし、今となってはそれも昔のこと。最近では行われていなかったのだ。
「危険なことはわかってます。でも、私はあの子の行く先に何があるのか見届けたいって思ったんです」
「アルル……しかし、お前は……」
「おとーさま」
アストン王は、アルルメイヤを説得しようとしたが、彼女の目を見た瞬間理解した。彼女は本気であると。アストン王の父、先代の王も同じような目をしていた事を思い出させられたのだ。
「アルル……わかった。おそらく今ここでお前を止めることはできないのだろう……」
「おとーさま、大丈夫。私はちゃんと帰ってきます。だから心配しないで」
アストン王は、困ったように微笑みながらアルルメイヤの頭を撫でた。
「じゃあおとーさま、あの子のところにいくね」
「……はい?」
アルルメイヤの一言に再び固まるアストン王。結局、その後もアストン王がアルルメイヤを止めることはできなかった。
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ルミナリアが神官長とフィアナから魔法を教わることを決めた後、ルミナリアとフィアナは夕食買い物を終え、家に帰り着いていた。
「ルミナちゃん、もしかしてお料理できるの?」
「大丈夫。これなら私でも出来ると思う」
ルミナリアとフィアナは並んで台所に立っていた。帰りの買い物の際に、ルミナリアがフィアナに手伝いたいと申し出たのだ。
「ここに住ませてもらってるんだから、私も何かしなきゃ!」
「別に気にしなくてもいいのよ?」
「ううん、私に出来ることはやりたい。それに、お姉ちゃんと料理をするのも楽しいしね!」
「ルミナちゃん……」
「だから、私にもいろんなことを手伝わせて?」
「わかった。じゃあお願いするわね」
「ありがとう!」
ルミナリアが微笑むと、フィアナの表情がふにゃりと緩み、今にもルミナリアに抱きつこうとした矢先に、玄関のドアがノックされる音が響いた。
「あれ? 今日もお客さん?」
「こんな時間ということは……シリルったらまた今日も泊るつもりかしら?」
手を止めた二人が玄関に向かうと、再度ドアがノックされる。
「ちょっとシリル! いったいこんな時間……に……」
「こんばんは、今日からお世話になります」
「……えっ」
シリルがドアを開けた先にいたのは、シリルではなかった。そこにいたのは、神殿で別れたアルルメイヤだった。彼女は大きなリュックサックを背負い、そこに立っていた。
「「アルルメイヤ様!?」」
「ん、アルルメイヤ……だよ?」
「と……とりあえず上がってください……」
「ん、おじゃまします」
フィアナによって家の中に通されたアルルメイヤは、背負っていた荷物を玄関の横に置いた。
「あの……アルルメイヤ様。その荷物はなんですか?」
ルミナリアが荷物を指さしながらアルルメイヤに問うと。
「私の荷物。とりあえず鞄にまとめてきたんだけど……?」
アルルメイヤは、さも当然のことかのように首をかしげながら答えた。
「アルルメイヤ様、どうして私の家に?」
「うん、私もここに住ませてもらおうかと思って」
「「なぜ!?」」
あまりの事態に二人が声を揃えて突っ込んだ。
「私も一緒に旅に出ることにしたの」
「あの……王様はこのことは?」
「ん、もちろん許可はもらった。手紙預かってきたからあげるね」
アルルメイヤがごそごそと荷物の中から手紙を取り出すと、それをフィアナに手渡した。
「お……王家の紋章……えっと、どれどれ……娘がそちらに向かうと言い出したので止めようとはしたが、説得できなかった。すまない。困ったことがあったら連絡してくれ。アストン・ブラン・ホリティア……冗談でしょ!? 国王様の直筆じゃない!?」
「えぇー!?」
読み終わったフィアナが天を仰いだ。
「ん、おとーさまの許可はばっちり。あ、私のことはアルルって呼んで?」
「アルル……様?」
ルミナリアが名前を呼ぶと、アルルメイヤがふるふると首を振った。
「違う、アルル。今の私は王家の人間じゃなくて、ただのアルルメイヤ。だから様も敬語もいらない」
「でも……あなたは王族の方で……うーん」
ルミナリアが困ったように唸り、隣のフィアナを見ると、フィアナも難しい表情をしていた。
「だめ……?」
「ダメじゃないわ! アルルちゃん! これからよろしくね!」
しかし、アルルメイヤの困ったような表情を見るや否や、頬を緩め、あっさりと陥落するフィアナだった。
「お姉ちゃん……」
ルミナリアが白い目でフィアナを見るが、フィアナは怪しい笑みを浮かべるだけであった。そんな状況の中。
「ん、フィアナ、ルミナ、これからよろしく……ね?」
ぺこり、と挨拶をするアルルメイヤなのであった。
こうして、フィアナの家の居候がもう一人増えることとなった。
さてさて、徐々に壊れていくフィアナお姉ちゃんと、突然やってきたマイペース姫。
どうなるルミナちゃんの日常。
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では、また次回で会いましょう。




