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この小説、今日で終了です。

最後は気分よくスカッと終わります。

17時 19時 21時 で終了予定です!

「名乗りを挙げよ。証拠はいくつかあって、おおよそ見当はついているのだ。名乗り出れば、部下の兵の命は助ける」

 ゲオハルト少将が恐ろしいことを言う。


「主様。どうするでゲロ」

「うるさい。黙っていろ!俺は街にはいたがあの場にはいなかった」

「そうでゲロが、このままでは鉄砲小隊みんな銃殺でゲロ。ケインの奴、絶対、部下に責任擦り付けて自分は平然としている奴でゲロ」


「俺もそう思う。しかし、名乗り出たらどうなるんだ。証拠とか調べられたら逆にケインの罪が明らかになるんじゃないのか?」

 俺は憲兵を見る。こいつら、国軍の軍紀粛正を司る部隊だ。みんな険しい顔をしている。

「民間人を殺害した指揮官は、100%銃殺でゲロ。国軍の軍法第120条第1項に記されているでゲロ。ちなみに傭兵団にも適応されると附則に書いてあるでゲロ。裁判なんかしないでゲロ」


 ゲロ子がそう言うまでもなく、俺は知っている。ああ、こういう記憶は失われないのだな。兵は助けると言うケインの言葉を聞いて、生き残った五人が俺を見る。俺が名乗り出れば、こいつらの命は助かる。一人は明日が結婚式。一人は生まれた子供を抱き上げることができ、一人は田舎の母親に今回の報奨金を送金できる。もう一人は今日で除隊して明日からレストランをやるのだ。希望に満ちた目が俺を見る。

(くっ……。このままではケインによって証拠隠滅のために全員、抹殺される。せめて、兵どもを助ける)


 俺はそう思った。銃殺されてもロストでまた生き返るだけだ。今度は小隊長Dだろう。これまで散々、せこいことをしてきた俺だ。せめて、部下の命を助ける善行を積んで散りたい。


「主様、主様らしくないでゲロ……」

 俺が手を挙げるの見てゲロ子がそうつぶやいた。


「や、やっぱり、お前か!小隊長C!」

 ケインが少し狼狽した声で言った。おそらく、奴のシナリオにはなかった展開なのだろう。もしかしたら、ケインの奴、罪を擦り付ける相手を決めていたのではと思った。


「はい。俺です。俺が命令しました。だから、兵士に罪はありません」


どうせ、死ぬんだ。俺は正直に話した。

「そうか。よく名乗り出た」

 ケインの怒気が少し落ちる。たぶん、奴の予定通りじゃないのだと俺は確信した。

(しまった! もしかしたらやっちゃたか?)

 だが、この状況で(やっぱり、間違いでした~)なんて言えない。いくら俺がせこい、いい加減な小隊長でも言えない。俺は覚悟を決めた。


「兵士の命は助けてください。お願いします」

 俺はケインの前に土下座した。

「お前のその部下思いの気持ち、僕は誇らしく思う。憲兵、あいつを捕まえろ!」

 

 そうケインは言う。だが、憲兵隊の隊長はケインを制した。そして別の男を指差した。俺はそっと顔を上げるとそいつは小隊長Bである。彼はきょとんとして固まっている。


「犯人はすでに分かっている。小隊長Bが犯人である」

「え?えええええええっ!」

 これには俺が驚いた。何だ、この展開は!


「ここにその証拠がある」

 そう言って隊長が手にしたのは兵士の服に付けられた階級章である。

「これは村で戦死した兵士が着ていた服の階級章である」

 ゲオハルト少将は俺と小隊長Bを交互に指差す。

「階級章はBとCがあった。鉄砲小隊BとCがあの場にいたことになる」


(はい。その通りです。俺もあの町にいました)


「だが、撃った隊は一個小隊であったという報告がある。そこで私は考えた。自分の兵の命を庇う小隊長が民衆を撃つなどということをするものか!」


「ちょ、ちょっと、待ってください。あの命令はケイン様が……」

 小隊長Bが驚いてそう叫ぶ。そりゃそうだろう。俺も見た。彼はケインに命じられて仕方なく兵士に命令したのだ。悪いのはケインだ。


「この期に及んで、そんな嘘をつくか!この愚か者め」

 ケインは激怒する。

「この僕がそんな卑怯な真似をするものか!」


(いや、だからお前だって!)


「そんな馬鹿な~。俺じゃない、俺じゃないぞ~」

 小隊長Bの悲痛な叫び声。両脇を屈強な憲兵に固められ、もはや暴れることもできない。

 俺はあまりの出来事に沈黙した。いや、ここは間違いです。彼は無実ですと言うべきだった。だが、ケインはこのゲームのプレーヤーだ。ゲーム上のキャラに過ぎない俺たちが言ったところで奴の罪を暴くことはできない。そんなことをすれば削除されてしまうだろう。


 俺は小心者だ。姑息なヘタレ野郎だ。

 結局、俺は黙ってしまった。

 扉がしまる。小隊長Bの叫び声が小さくなる。そして、銃音が鳴り響く。会場がシーンとなった。


「民間人の殺害は即銃殺刑だ」

 ケインがそういい、パチンと指を鳴らす。音楽が再開して人々が何事もなかったかのように談笑が始まる。


「ゲロゲロ……。プレーヤーは何やっても許されるってことでゲロな」

 ゲロ子がポツリとそう言った。


ケイン許すまじ!

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