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両方共、続けるエネルギーです。


 俺はそっと近寄る。

グオオオオオオッ。

 喉を鳴らして寝ているファイアリザード。たらふくゴブリンを食べて気持ちよく寝ている。俺は近づいた。まずは右足のアイテムだ。黄色く光るそれは魔法の札。一枚で主人公並みに魔法が使える品だ。どんな魔法が封じられているか分からないが、小隊長の俺でも使えるのはありがたい。俺はそれをポケットにねじりこんだ。


(ここまで来たんだ。ついでに金貨ももらっていこう)


 俺は欲が出た。小隊長の給料は月20デナリだ。今月は怪我の療養で働いていないので、おそらく半分しかないだろう。それだったら、ここで臨時ボーナスでも悪くない。俺はポケットから小袋を取り出した。銅貨や銀貨には目もくれず、1デナリ金貨を拾う。


「1枚、2枚、3枚……おい、ゲロ子、てめえも手伝えよ!」

「ゲロゲロ……主様、臨時ボーナスでゲロな」


 トカゲの奴が寝ているから、その下の金貨は取れないが、それでも銅貨や銀貨の中から結構な枚数の金貨をゲットした俺。


(おいおい、これって100枚はあるよな! 100枚って100万円。美味しいじゃないか。なんてラッキーなんだ俺は)


 このまま、生きて帰れば街で豪遊できる。綺麗なお姉さんのいる店にも行ける!


「主様、またエロいことを考えているでゲロな。お金は生き残るために使うでゲロ」

「うるへー。俺が命をかけて稼いだ金だ。どう使おうと勝手じゃ!」

「欲を出すとロクなことがないでゲロよ」

「説教してないで、そこにも金貨あるぞ。ゲロ子、取りこぼすなよ!」


 ゲロ子が銅貨の山の下から金貨を抜き出した。だが、その金貨は微妙なバランスの上に位置していた。ゲロ子がそれを抜いたとたん、山がザザザーっと崩れた。周りに飛び散る銅貨と銀貨。床が大理石だったから音が響く。


「ゴオオオオオッツ……」

ピクっと動くファイアリザード。


 俺もゲロ子も一瞬固まった。

(や、ヤバイ……起きやがったら死ぬじゃん!)

 だが、ファイアリザードは目を開けなかった。


(セーフ……。おお神よ。お慈悲に感謝します)


「よかった~。心臓が止まるかと思ったじゃないか。ゲロ子、気をつけろ、このバカ」

「主様が欲張るからでゲロ。なんだか、嫌な気がしてきたでゲロ。もう止めた方がいいと思うでゲロ」

「うるへー。袋に入るだけ、入れるんだよ。儲けるときはとことん儲ける。これが鉄則だ」


 俺は小袋がパンパンになるまで詰め込んだ。金貨だからずっしりと重い。


「よし、ゲロ子、逃げ出すぞ。通路まで逃げて隠れればそれで終わりだ。ダイタロスのおっちゃんがケインたちを連れてきて戦闘で終わりだ。ケインならこのトカゲも軽く倒せるだろうし、後は死なないように戦う振りをしていればいい」

「相変わらず、せこいでゲロな」


 俺は慎重にさっき隠れていた通路までゆっくりと歩く。ここで慌てるとロクなことにならないことを俺は知っている。滑ってこけるとか、大きな物音でトカゲが目を覚ますとか、そういう展開になるに違いない。


(ふん。伊達にゲームをやりこんでいないのだよ)


 だが、事態は俺の予想の斜め上をいっていた。金貨でパンパンに膨らんだ小袋がその重みに耐え切れず……。


 ビリビリ……と突然、裂けやがったのだ!

 床に飛び散る金貨。


「あわわわわ……」


グオオオオオオッツ……。


 周りの空気がブルブルと震える咆哮がする。ファイアリザードが目を覚ましたのだ。金貨を拾おうとしたが、そんなことしていたら死ぬ。トカゲの奴、俺めがけて走り出したのだ。


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