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95. うつけ王子の鞭

 パン♪パン♪


 二発の銃声が、響く。


 銃を撃ったのは、マテオとオーバの二人だ。二人は、湖と化した帝都に浮かんでいるミナミの旦那が乗っているボートに向かって撃った。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 ボートに乗っているミナミの旦那は、奇声に近い悲鳴を上げている。


 ちなみに、マテオとオーバはミナミの旦那の乗っているボートの近くに狙って撃った。これは、レンとスズカからの命令だ。

 簡単に命を奪うのは心が痛む?いや、違うな……ミナミに後悔の念を植え付けるには一瞬で、ミナミの旦那の命を奪うのは、最適解では無いと判断した。


「やめて!旦那は関係ないでしょ!!」

「はっ??関係大ありでしょ??帝国トップの旦那ですよ??降伏を促す武器として使える者は使わないとね!」

「この!人でなし!!」

「何回でも罵倒して貰っていいけどさぁ~~早く、降伏しないと王国と公国の兵士があなたの旦那さんを撃っちゃいますかもね!」

「くっっっ……」


 ミナミは、自身の旦那とは恋愛結婚という調べは付いている。


 恋愛結婚は、一族が政治の実権を握ることが多いここら近辺の国の中で、一国のトップが恋愛結婚は非常に珍しい。

 レンの父親のトクヤもエリザとは、お見合い結婚(政略結婚)だった。


 この世界において、お見合い=付き合いを深めたい人物という認識だ。決して、いい歳になっても結婚相手を見つけないため親の人脈を利用してのお見合いはほとんどない。


 でも、ミナミは伴侶としてはいい旦那を持ったかもしれないが、政治の世界では足枷にしかなっていない。ミナミの旦那に政治力・一国を率いるだけのカリスマ性が無いのだ。

 過去の資料でも、ミナミが二人の子どもの出産の際に公務に就けない際は、ミナミの旦那ではなく一線を退いていたミナミの両親が皇帝代理を務めた位だ。




 そして、それこそ漬け込むには、とっておきなのだ。


 ミナミの旦那を想う気持ち。


 それを利用することこそが、レンの狙いだった。だからこそ、敵国が用意したボートにホイホイと乗って敵陣地にやって来た瞬間に、レンとスズカはこの戦争においての『勝利を確信』した瞬間だった。




「それよりも、ミナミさん!……早くしないとあなたの愛する旦那さんが、撃ち殺されちゃいますよ??」


 そう言うとレンは、王国の兵士に公国の兵士に向かって激励の言葉を投げかける。


「お~~い!両国の兵士!ボートの上に居る人物を撃った兵士には、褒美をやる!気合い入れて狙えやコラァ

!!」

「「「「おぉぉぉ~~~~」」」」


 パン♪パン♪パン♪パン♪パン♪パン♪パン♪パン♪パン♪パン♪パン♪パン♪


 ボートに向かって、銃声が響き渡る。ミナミの旦那は、ボートに頭を伏せて怯えている。


「やっやめて……こんなのはあんまりですよ!!家族を人質に取るなんて!!」


 ミナミは、抗議の声を上げる。


「いやぁ~~さぁ~~先に手を出したのはそっちじゃん!そっちは、僕の大事な国民を人質に取ろうとしてましたね??貴方の息子さんが、大事に持っていた計画書に書いてたよ!!」

 

 すると、ここまで大人しく見ていたスズカがミナミの胸倉を掴んできた。


「ええ加減にせえよ!!先に手出しておいて、反撃されたら掌返しかいな!一国のトップならやったことに関する責任はもてや!」

「スズカ、変われ」


 怒り狂うスズカに変わりレンがミナミの胸倉を掴む。


「ねぇ!僕、怒ってんだけど??他国に気に入らないことがあれば、僕やスズカのように直接文句を言えばいいじゃないかぁ~~??でも、ミナミは両国の国民を人質にとって国家転覆を測るなんてさぁ~~」






 この間にも、ボートに向けて銃弾が撃ち込まれていく。


「お願いだから!もうやめてください……旦那は関係無いでしょ…お願いします」


 もう、どっちが悪者かが解らなくなってくる位に、ミナミは泣きじゃくっている。


「では、ミナミ様~~??どうすることが正解か、一国のトップなら解りますよね??」
















 銃声が長い沈黙が、流れる。


 ミナミは、諦めたようで口を開く。


「わかりました……降伏します」

「無条件降伏ですよ??」

「……無条件降伏を受け入れます」


 レンはスズカを見て、アイコンタクトを取った。


「マテオ!もういいよ!ボートを回収してミナミとミナミの旦那は陣の中心で拘束(おもてなし)してね??」

「かしこまりました!オーバ共々、誠心誠意監視(おもてなし)させて頂きます!」


 そういうと、マテオとオーバはミナミとミナミの旦那を連れて行った。それにしても、マテオとオーバは物凄く仲良くなったよな!いいこと!いいことだ!


 今日は、レン・スズカ・マナ・セバスで講和条約の作成を行うと日が沈んで夜になった。


「これで、講和条約を締結すれば終わりかぁ~~」

「せやなぁ~~レンと何かするのは本当に楽しいんだけどなぁ~~」

「あっそうだ!レイノスは、王国というよりかは僕のことどう思ってる??」

「う~~ん、公国の国民は正直この対立はどうでもいいって思ってるよ!長年、対立だけして一回も直接戦った歴史がある訳ではないからね……ぶっちゃけ、ただのパフォーマンスだろ?って目だと思う」

「王国の国民もそうだなぁ~~あれだよな?両国の対立は、政治に関わる人間だけが国民に自身の不正を隠すための政治の道具になっていて、国民の生活は苦しくなっているんだよなぁ~~」

「そう!そう!それだよ!国民の生活のためには、こんな対立は無くした方がいいよな!」

「じゃあさ!レイノスに会えるように、取り計らってくれない?今から言う事は、ラインブルー王国の『首相』としてのお願いです」



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