33. うつけ父の思い②!
そして…その才能の片鱗を見せたのは,裁判だ。
そこは,私や妻のエリザにとって人生の分岐点となった日だった……。
その,裁判は本来…レンの秘書官任命式で,狼藉を働いた兵士のマテオ=マレーロとオーティズ公爵家を裁くことが目的だった。
通例なら,法相からの判決の意見書を基に,王族が判決もしていた。
私も,レンに送られた意見書を見た。内容は,こうだった。
・マテオ=マレーロ
王家に,歯向かったため,国家反逆罪が適応され『死罪』となるべき。
・オーティズ公爵家
秘書官任命式の場で,レン第一王子の招待客に斬りかかるように命じたのは,ラインブルー王家の威信を守るため。その功績を称え,無罪とするべき。
私なら,この判決文を鵜呑みにしてそのまま判決を述べていただろう…
しかし,レンは違った。
事の本質をしっかりと見て,判決決定して判決を決定していた。
特に,オーティズ公爵家とイーディス法相の不正の事実が,あったことには私自身ビックリしたし本当のことかと,一瞬,レンを疑ったが……
レンに仕えさせているハットリ家の次男,リーヴァンが今回の調査に関わっていたことがわかり,この一件の信憑性が高まった。
法相を買収し,判決を自分自身に有利な様にする……こう言った,手口が横行していた事実をレンが,暴いた。
その際の,オーティズ公爵家とイーディス法相の表情からこれは,黒だと思った。
そして,レンが述べた判決文は以下の通りだった。
・マテオ=マレーロ
今回の愚業は,仕える貴族家である,オーティズ公爵家に家族を人質に取られたことによる愚業…情状酌量の余地ありと判断し,『無罪』とする
・オーティズ公爵家
秘書官任命式での一件の要因は,オーティズ公爵家の圧政が原因。その圧政には,王国法で保障している基本的な人権を侵害していた。
その中で,一番看過出来ないのが,今回のような自身の不正を罪なき民に,擦り付けて殺していた事実あり。
以上のことから,秘書官任命式に関しての国家反逆罪及び殺人罪が適用される。判決は,『死罪』。
・イーディス法相
法相という地位を利用して,本来裁かれるべきでない罪なき民を数多く殺めてきた事実は,重い。殺人罪を適用し『死罪』とする
秘書官任命式の一件の本質を見抜き,しっかりと正しい判決を述べる。
そして,秘書官任命式の一件とイーディス法相のずさんな仕事を上手い事利用して,オーティズ公爵家を捕らえ罰する。
私は,レンの将来性を改めて,認識した。
レンの将来性……私は,最後の裁きでこいつは,この王国を根本的から作り変えるのではないか…政治家として「うつけ者」だと思った…
裁判は,終わりかと思った時,サヨ,当時副宰相の読み上げで,私と妻のエリザの裁きを行うことになった。
裁きの内容は
・王族が,王国法にある『いかなる理由があろうと身分差別・種族差別を禁ずる』に抵触していたためだ。
レンは,親族であろうと罪を犯した人間にも裁きを与えた。
これは,私には出来なかった。いや,むしろ私がこれまで,積み上げてきた失政の一部を尻ぬぐいだけでなく,私たちにも責任を追及してきた。
私たちへの,裁きは
妻,エリザは,身分を王族から奴隷に落とし,今後一切政治の世界に関わることを禁ずる。
私は,個人資産の八割以上を国庫に納めることと,妻であるエリザへの監督責任を召しつかれた。もし,エリザが政治の世界に少しでも関われば,私たち夫婦は死罪となる……
改めて,レンの政治家としての才能は末恐ろしいと思った。人から得た情報を鵜吞みにするのでなくそこから精査する。
王国に害をなす存在には,例え親族であっても容赦はしない…
今日は,レンと二人で話をする約束をしていた日だ。
そろそろ,部屋に来る頃だろう。
コン♪コン♪
ドアが,ノックされた。
「父上…レンです!入ってもよろしいでしょうか??」
「あぁ!入っていいぞ!」
ドアを開けて,レンが入ってきた…………




