表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/41

第20話 悪役なのに良い友達

「それで、えーっと、佐々木は俺が犯人じゃないって知ってるんだよな……?」

「うん。知ってる」

「それはなんで……?」


 昼休み。いつもの階段に、俺たちは集まった。

 誰かに聞かれたらまずい……というわけではないけど、まぁ、どちらかといえば聞かれない方がいいだろうし。

 神奈は一度頷くと、話し始めた。


「わたし、昨日、宿題忘れて学校に取りに戻ったの。かなり遅い時間だったから、たぶんみんな帰ったあとだったと思う。教室に誰も残ってなかったし。だけどわたしが宿題とって教室出ようとしたとき、才田くんが入ってきて。話しかけたら、なんか様子おかしかったっていうか」

「なるほどなぁ。怪しいのは才田か。なんか変なこと言ってたのか?」

「それは言ってないけど……ちょっと挙動不審っぽかったのと、あと何しにきたの? って聞いてもすぐ答えなかったり」

「その後現場とか見たのか?」


 成田が尋ねる。神奈は申し訳なさそうに首を振った。


「ううん。ごめん。こんなことになるとは思わなくて、何しにきたのかまでは見てなかった」

「まぁ、そりゃそうだよな。普通、自分の体操服破りに来たとは思わないだろ。にしてもまさか、自作自演だったとはなぁ」


 うーん、と成田が首を傾げる。

 確かにそうだ。俺もまさか本当に自作自演だとは思わなかった。


「でもこれじゃ証拠にはならないよな。佐々木が現場を直接見たわけじゃないし、そもそも今日1番初めに楓が学校に来たのは本当だし」

「そうなんだよね。だからほんとに、協力するって言っても、どうにかして証拠を見つけ出すのを手伝うくらいしかできないんだけど」


 二人でうーん、と頭を悩ます。そんな中、俺はおずおずと口を開いた。

 

「俺は一応先生に話すつもりはないんだけどな」

「えっ」

「マジ?」


 神奈と成田がそれぞれ驚いたような声を上げる。

 そりゃそうだよな。俺も、二人と同じ立場だったらめちゃめちゃびっくりすると思うし。てか、ここまで考えてもらって、証拠探しをやめようと言うのも申し訳ないけど。


「なんでだよ。クラスメイト全員に誤解されたままになるぞ。そもそも犯人は才田だって分かってるのに」

「そうだよ。わたしも誤解されたままは嫌」

「あー、まぁ、いや、そうなんだけどさ……」


 濁すしかない。さすがに、俺が転生者だっていうことを言うわけにもいかないし。

 俺はさっきから二人が話しているのを聞いて、考えていた。

 神奈は、犯人が主人公だと疑っている。こんなシーン、原作にはもちろんなかった。

 つまり――

 このまま主人公が犯人と決めつけてしまえば、神奈と主人公のルートは完全に分断されてしまう。いや、もうなくなってるようなもんだけどさ。

 で、悪役自らヒロインと主人公のルートをなくすってめちゃくちゃ危険すぎないか?

 そもそも、主人公に悪役だって認識されたらめんどくさいことになりそうだし。


「はー、……分かったよ。とりあえず今のところは何もしないってことだな」

「うん。話聞かせてもらったり、考えてもらったりしてるのに申し訳ないんだけど。もちろん、ここからもっとひどいことが起きたら、証拠を集めて、先生に言おうとは思ってる」

「そっか……じゃあ、そのときのために証拠を今集めるのはいいことかもね」

「そうだな! そしたらすぐに証拠として出せるし、未然に防げるかもしれないし」

「我ながらめちゃくちゃ名案だよ。よし、そうしよう」


 神奈と成田はがぜん盛り上がりだした。

 でも、それにしても……


「ありがとう、2人とも」


 悪役だったはずなのに、いい友達持ったなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ