第18話 突然の危機
最近はほんとに調子が良かった。
登場人物との適度な接触。悪事も働いていない。教室の隅の大人しい奴として平々凡々生きていたと思う。
「最初にこの教室に入ってきてたの錦小路だったよな」
「今回は陰湿だね~。ターゲットの子可哀そう」
「まぁ、クラスでもあんなことするの錦小路くらいしかいないからな。確定だろ」
……じゃあ、なんでこんなことになったんだ?
マジで今回俺は何もしてない。そんな自分から死ぬような真似、するわけない。今日朝早く来てたのだって、中間のテスト勉強するためだし。
じゃあなんでだ?
今朝、このゲームの主人公――才田の体操服がボロボロに引き裂かれているのが発見された。
で、犯人捜しが行われた結果、俺の机の中からはなんとナイフと体操服の切れ端が見つかった。たまたま机の中からそれらが落ちて露見した。となればクラス全員の疑いは俺に向くわけで。てか、俺に向く以外ないわけで。
もし可能性があるとするなら。それは中学時代の錦小路の被害者に嵌められたってことだろう。これは錦小路の自業自得なわけだけど。ただ中身は俺なんだよな~。
まぁイジメもどきの犯人は俺だということになったわけだが、先生からのお咎めはあまりなかった。どうやら今までの錦小路は家の権力を使って、全ての悪事を握り潰してきたようだ。なんなら先生の立場まで脅していたと。クズだな、錦小路。
「でもこれじゃ、俺また悪役戻りじゃん」
とりあえず教室から逃げて、屋上の階段の方に来た。ちょっと頭を整理したい。
「ヤバすぎるよな。死亡フラグまたガンガン立ってる気がする」
あと単純にしてもいないことをしたように言われるの嫌だし。
「でもそれにしても何で主人公なんだよ……他の人でも……とはさすがに言えないけど、もし嵌められてたとしても、自作自演したらいいじゃん……ん? 自作自演……?」
頭の中で1つの可能性に行きつく。自作自演? それは主人公にも当てはまるんじゃないか?
「でも主人公がすることになんのメリットがあるんだ?」
一応主人公は何も知らないはず。ゲーム内でもし知っていることがあるとすれば、それは夢の内容くらいのはず。だから、たぶん主人公ではない。
「これ、俺どうすりゃいいんだ……」
頭を抱える。
まぁ、100歩譲ってもこの1件で話が収まるならいい。100歩譲ってもだ。巻き込まれた主人公くんには申し訳ないけど。
「うーん、謝ってみるとか……?」
主人公に謝って弁償したら、一応どうにかはなるだろう。でもそれで? 主人公に危害を加えた事実は変わらない。
「難しすぎるだろ、これ」
頭を再び抱えた俺の前に、影が落ちた。




