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【完結】窓際編集とバカにされた俺が、双子JKと同居することになった  作者: 茨木野
第7章

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80話 一花と遊園地デート


 夏休みも中盤が終わり、終盤にさしかかってきた、ある日のこと。


 俺は後楽園にある、遊園地の入り口ゲート前にいた。


 今日は一花とデートする予定になっていた。

 先日、こんな電話があった。


『光彦くん、来週どこかで外出しない。少し話したいことがあるの。できれば二人きりが……い、いいなぁ』


 ということで、俺たちは遊園地にいくことになった次第。


「光彦君♡ お待たせ」


 入り口で待っていると、おめかしした一花がやってきた。


 派手すぎず、地味すぎない。


 シャツにチノパン、というぴちっとしたタイプの、体のラインが目立つような服装。


「ごめんなさい、平日にお休み取らせちゃって……」


 一花はるしあの家で働いている。

 休みが固定ではなくシフト制らしい。


 8月で空いているのが今日くらいなんだそうだ。


 まあ開田グループ総帥のボディガードを務めてるからな。


 忙しいのはしょうがない。


「気にすんな。俺も、この間コミケで休日出勤した分の休みを、どう消化するか迷ってたところだったからさ」


 俺たちSR文庫は、夏コミに参加した。

 今度新しいレーベルを立ち上げることになり、お試しの同人誌を、コミケで配ったのである。


「読んだわよ同人誌。面白かったわ、白馬くんの新作」


 一花が笑顔で言う。

 そう言ってもらえるとうれしいもんだ。


 王子の新作は俺と二人で作ったもんだしな。

「あれ? おまえ同人誌どうやって手に入れたんだ?」


「弟をパシ……三郎に頼んだの。コミケに参加するって言うから」


「なんだ。言ってくれたら分けてあげたのに」


「迷惑かなって遠慮したんだけど……」


「そんなもんしなくていいぞ。ほら、行こうか」


「ええ、そうね」


 俺たちは並んで、チケット売り場へと向かう。


 一日遊べるチケットを、俺は一花の分と一緒に購入。


「お金出すわよ?」

「いいって、デート代は男が出すもんだ」


「…………!」


 ぐっ、ぐっ、と一花が拳を握りしめている。

「どうした?」


「えっ!? べ、別に……! ずっと憧れてた、遊園地デートをしてるんだなぁ、って舞い上がってるわけじゃないわよ!?」


 ああ、舞い上がってるのか……。


 俺は一花にチケットを渡す。


「学生の頃、友達と遊園地きたことないのか?」


「あるけど、女友達ばっかりね。男の人と二人きりでデートはしたことないわ。光彦君が初めてね」


 王子と三人では出かけたことがあるが、そういえば一花と二人でデートするのは初めてな気がするな。

 

「だから……ふふっ、今日はとっても楽しみ…………………………」


「一花?」


 がくんっ、と一花が膝から崩れ落ちそうになって……。


「ふんっ!」


 その場でバク宙を決めて、すちゃっ、と着地する。


「お、おおー……どうした、急に?」

「ごめんなさい、寝不足で……」


「立ったまま寝ようとしていたのか……。寝不足ってどうしてだ?」


 一花は頬を赤く染めると、はにかみなが言う。


「光彦君との二人きりでの遊園地デートが、楽しみでしかたなくって、眠れなかったんだ」


 本当に楽しそうに、一花が笑う。

 なるほど……寝不足になるほど、楽しみにしててくれたのか。


「2徹だけど体力は大丈夫!」

「あんま無理しないでくれよ……」


 2日もわくわくしすぎて眠れないって、どれだけ楽しみだったのか……。


「行こうか」

「う、うん……」


 もじもじ、と一花が顔を赤くして、体をよじる。


「どうした?」

「あ、ううん! 何でもないわ! いきましょう」


 一花が俺の後ろからついてくる。


「……あたしのいくじなしっ。どうして手をつなごうの一言自分から言えないのっ」


「ん、どうした?」


「ああううん! 何でもないわ!」


 俺の隣に一花が来る。

 俺は自然と……彼女の手を握る。


「ひゃあ……!」


 ばっ、と一花が大袈裟に飛び退く。


「ど、どうした……?」


「あ、え、ごめん……つい驚いて……」


 ついで空手の構えみたいなのが出るのか……。


「嫌だったか?」

「ううん! ぜんぜん! むしろどうぞどうぞだよ!」


 一花が笑みを浮かべて、俺の隣にやってくる。


 俺は彼女の、白くて小さな手をつなぐ。


「~~~~~~~~~♡」


 ふにゃふにゃ、と一花がとろけた笑みを浮かべる。


「えへへ♡ か、彼氏に手をつないでもらっちゃったぁ~……♡」


「そんなうれしいことか?」


「当・然!」


 一花がぎゅっ、と痛い痛い痛い痛い痛い!


「あ、ご、ごめん光彦君!」


 ぱっ、と一花が手を離す。


「つい……」

「ち、力加減には気をつけて……」


「うん、ごめんね……。そーっと、そーっとね」


 俺たちは手をつなぐ。

 一花が口元を緩ませて、俺を見上げる。


「夢みたい……もう死んでもいいかも……」


「いや、死なないでくれよ」


「それはもちろん! 大丈夫! 殺されても死なないから!」


 確かに頑丈な一花のことだ、どうやっても死ななそうだ。


「はぁ……幸せすぎて倒れちゃいそうだわ」


「それは単に寝不足なだけでは?」


「言えてるわね」


 一花がとぼけたことを言うと、俺は知らず心が穏やかになる。


「ドコ回る?」

「全部回りたいわね。時間もあるし」 


「だな。平日で空いてるしな」


 俺たちはまず、観覧車とかのあるゾーンへと向かう。


 後楽園の園内は、2つに分断されている。

 道路を挟んで向こう側には、ジェットコースターや観覧車などの主要な遊具が。


 パラシュートなどの、どちらかと言えば子供向けの遊具が多い。


 俺はパンフレットを広げながら歩く。


「お化け屋敷とかあるみたいだな」


 ピタッ……!


「どうした?」


「えぇ!? なにがぁ!?」


「いや、なんかすっごい汗かいてるけど?」


 ぶるぶるぶる、と一花が凄い勢いで首を振る。


「hahaha! 気のせいじゃなーい?」


 なんか妙にハイになってる気がするな。


「大丈夫、お化けなんてないさ、お化けなんて嘘さ。寝ぼけた人が見間違えたのさっ!」


「……もしかして怖いのか?」


 びっくーんっ、と一花が体を硬直させる。


「そ、そんなわけないわ! お化けなんてあたしの拳で粉砕しちゃうし!」


「おばけに実体無いけど、お化け屋敷でそれはやめてな」


 うう……と一花がうつむく。


「苦手ならやめとこうぜ」

「だ、駄目よ! デートの定番じゃない。お化け屋敷! 行くわ……ええ、いきますとも……必ず」


 戦場に赴く歴戦の傭兵のごとく、覚悟の決まった顔で一花が言う。


「娯楽なんだから気を抜いてな」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ざまぁエピソードが少ない気がするんですけど…もっと、元妻や元上司、浮気相手の転落が見たいです。
[気になる点] 『光彦くん、来週どこかで外出しない。少し話したいことがあるの。できれば二人きりが……い、いいなぁ』 一花のクールな性格は承知の上で、「外出しない」のあとは(?)がつかないと意味を曲解…
[一言] 一花お姉ちゃんホラーあかんタイプの人みたいですね〜、これは続きが楽しみです。
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