【番外編】
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
じぃじ……もとい、総理の案内で通されたのは、三十畳はあろうかという広大な和室だった。
窓からは手入れの行き届いた日本庭園が一望でき、池の鯉が優雅に泳いでいるのが見える。
「……はぁ」
俺は畳の上に胡座をかき、深いため息をついた。
荷解きは使用人さんたちがやってくれている。
俺たちはただ、お茶を飲んで寛いでいればいいと言われたのだが……。
「落ち着かない……」
貧乏性が染み付いているせいか、こんな豪華な空間にいると、尻がムズムズしてくる。
ここが自分の家?
これからここで暮らす?
頭では分かっていても、実感がまるで湧いてこない。
夢なら覚めてほしいような、覚めてほしくないような。
そんなふわふわした感覚に襲われていると。
ペシッ。
「――痛っ」
不意に、扇子で頭を叩かれた。
顔を上げると、るしあが呆れたように俺を見下ろしていた。
「何を呆けている、おかや。情けない顔をするな」
「いや、だってさ……」
「しっかりしろ。これからは、この家の主として、そして――」
るしあは扇子を畳み、その先端で俺の鼻先をツンと突いた。
そして、慈愛に満ちた、とろけるような笑みを浮かべる。
「『パパ』になるのだからな。もっとシャンとしてもらわねば困るぞ?」
パパ。
その言葉の響きに、俺の背筋が伸びる。
「……そう、だったな」
俺は視線を、るしあのお腹へと落とす。
まだ目立ちはしないが、そこには確かに、新しい命が宿っている。
そして――。
「そーよ。光彦くんには、二人のパパになってもらわなきゃなんだから」
隣に座っていた一花が、愛おしそうに自分のお腹を撫でた。
「あたしも、光彦くんとの赤ちゃん、授かっちゃったしね」
そう。
妊娠しているのは、るしあだけではない。
大学時代からの腐れ縁であり、元秘書でもある一花のお腹にもまた、俺との子供がいるのだ。
才色兼備の最強令嬢・るしあ。
ずっと隣で支えてくれていた同期の相棒・一花。
この二人と同時に子作りをして、同時に授かるなんて。
男として、これ以上の幸せと責任はないだろう。
「……うん。分かってる。二人とも、体は大丈夫か? つわりとか」
「私は平気だ。一族の秘薬を飲んでいるからな」
「あたしも、今のところは平気かな。でも……これからは、少し甘えさせてもらうかも」
一花が上目遣いで俺を見る。
普段のキリッとした仕事モードとのギャップに、胸がキュンとなる。
「当然だ。何でも言ってくれ。俺にできることなら何でもする」
「ふふ、頼りにしてるよ……パパ♡」
一花のデレ破壊力が高すぎる。
「いいなー! あたしも早くママになりたいー!」
そんなしっとりとした空気をぶち壊すように、あかりがテーブルに身を乗り出した。
頬を膨らませて、ぶーぶーと不満を漏らす。
「あかりちゃん、抜け駆けは禁止ですよ」
お茶を淹れていた菜々子が、苦笑しながらたしなめる。
「私たちはまだ学生ですから。卒業するまでは、お預けという約束でしょう?」
「そうだよ。お兄ちゃんに迷惑かけちゃダメだし」
みどり湖も、真面目な顔で頷く。
そう。
あかり、菜々子、みどり湖の三人は、まだ大学に通っている身だ。
学業を優先するため、そして将来のことを考えて、今のところは避妊を徹底している。
俺としても、彼女たちの未来を縛りたくはない。
「えー、でもさー! 避妊とかめんどいじゃん! もういっそのこと、ポコッと産んで、大学通いながらママやるのもアリじゃない?」
あかりがあっけらかんと言う。
「ここならじぃじもいるし、使用人さんもいるし、子育て環境最強じゃん! あたし、もうママになってもいいんだけどー!」
「あかり……お前なぁ」
そのポジティブさは長所だが、計画性がなさすぎる。
「ダメだ。学生のうちは、学業と新婚生活を楽しむこと。子作りは卒業してから、な?」
「ちぇー。光彦のケチー」
あかりが唇を尖らせるが、その目は笑っている。
本気で不満があるわけじゃなく、ただ俺に構って欲しいだけなのだ。
「ま、焦ることはない」
るしあが優雅にお茶を啜る。
「まずは私が、元気な世継ぎを産んでみせよう。貴様らは、その予行演習として、私のサポートをするがよい」
「はいはい、分かりましたよーだ。るしあ先輩」
あかりがるしあに抱きつく。
一花も、菜々子も、みどり湖も、みんなが笑顔だ。
俺は改めて、彼女たちを見渡す。
これからここで、子育てが始まり、家族が増え、騒がしい毎日が続いていく。
その中心に、俺がいる。
「……よし」
俺は自分の頬をパンッ! と叩いた。
「気合入った。最高のパパになってやるよ」
「ふふ。その意気だ、おかや」
窓の外から差し込む陽光が、俺たちの新しい門出を祝福しているようだった。
【おしらせ】
※2/2(月)
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