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第十一話

「――――――~~~~~~!!!!!!」


 それを聞いた瞬間、私はまた思い切り愛華ちゃんを抱きしめていた。それに合わせる様に、愛華ちゃんも力を強めてくる。

 服越しに伝わってくる体温が心地いい。鼻孔をくすぐる愛華ちゃんの匂いが愛おしい。

 もう一生ずっとこのままでいたい、なんて、改めて思った。


「……キス、いいかな」


 先にそういったのはどっちだっただろう。私たちは、示し合わせた様にお互いの唇を重ね合わせた。

 愛華ちゃんの舌が、口の中に入ってくる。それを、私の舌と絡め合わせて、唾液を交換する。ぴちゃっ、ぴちゃっ、という水音が、口の中からくぐもって聞こえて来た。

 荒い鼻息が顔にかかる。それがすごくいやらしい感じがして、私たちはより激しくお互いの舌を絡め合わせた。

 やがて段々と息が苦しくなってきたころ、ゆっくりと唇を離した。一筋の糸がお互いの口から口に伸び、少し距離を取ったところで切れた。


「……ふふ、キス、しちゃった」


 頬を赤らめながらそんな事を言う愛華ちゃんは、とても可愛らしくて。

 一生傍にいようと、この時誓った。


     *


 あれからすぐに、私たちが付き合う事になったという事実は学院中に広まった。

 毎日の様に私のクラスには人が押しかけ、どういう経緯なのか、どこが好みなのかと質問攻めにしてくる。おかげで毎日帰る頃には椅子から立つ気力もない。

 一部男子が「鬼ヶ島に春が来た」なんて茶化してくるのもつらい。今までだったら無理矢理黙らせられたのだが、今はどうにも気恥ずかしさの方が勝ってしまって言い返せないものだから、ますます調子に乗っているのがこれまた鬱陶しい。

 ……だけど、そんな些細な悩みなんて、愛しい人の笑顔で全て吹っ飛んじゃう訳で。


「優奈ちゃん、ご飯食べよ~」

「ん、分かった。今そっち行くよ」


 とにかく今は、この時間を大切にしたい。それが、私の心からの願いだ。

これにて本編完結です。が、そのうち後日談も書きますので、お楽しみに。

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