表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強ギルドを追放された《植物王》、実は世界樹に選ばれていたので植物の力で無双します  作者: こはるんるん
最終章。エルフ絶滅計画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/67

63話。リルの想い

 突然、横から強い衝撃を感じると同時に、首を締められた。

 なんだ? 俺は訳がわからず混乱する。

 伏兵がいたのか……!?

 ディアドラが大笑いを上げた。


「よくやりましたわ、フェンリル! ああっ、間一髪でしたわね」


 なんと、俺を締め上げているのはリルだった。

 凄まじい怪力で首を掴まれて、息ができない。視界がかすみ、俺は【世界樹の剣】を床に落とした。


「リ、リルさん、何をなさっているのですか!?」


 コレットが絶叫する。


「あるじ様の敵! リル、倒すぅ!」


 リルは怒りの籠もった目で、俺を見上げている。

 リル、な、何を言っているんだ?


 リルの拘束から脱出しようにも、俺は【植物王ドルイドキング】のマイナス効果で筋力が80%も低下している。

 神獣フェンリルの化身であるリルに、パワーではとてもかなわない。


「ふふふっ、精神干渉によって認識を入れ替えました。フェンリルの目には、アッシュ殿が私に、私がアッシュ殿に見えているのですわ!」


 ディアドラが勝ち誇ったように種明かしをする。


「精神干渉? 神獣であるリルさんに、そんなことができるのですか!?」


「ええっ。この王座の間には、私が、あのお方からちょうだいした魔力増幅器を設置しているのです。あとは、時間をかけて練り上げた精神干渉の魔法なら、神獣フェンリルの認識すら操作するこが可能ですわ!」


 魔力増幅器。そうか、それがリルの封印を解き、ルシタニアの都市を襲わせることができたカラクリか。


 ディアドラはユースティルアを襲撃した時、リルの擬態を解いた。その時、なぜリルを精神操作して、俺たちを襲わなかった疑問だったが、その理由がコレか。

 そこまでのことをするには、魔力増幅器のアシストが必要だからだな。

 

 長話で時間を稼いだのも、魔法を練り上げるため……

 なら、キーとなる魔力増幅器を破壊すればリルは正気に戻るハズだ。

 すまない、リル。ちょっと痛いかも知れないが、我慢してくれ。


 俺はマヒクサのイバラを召喚し、リルの足を絡め取った。獣人状態のリルなら、麻痺攻撃も通用する。


「無駄ですわ!」


 しかし、ディアドラが炎の魔剣【レーヴァテイン】で、マヒクサを焼き尽くした。さらに、麻痺耐性と解毒の魔法をリルにかける。


「リルが、あるじ様を守る!」


 リルが決死の形相で、俺をさらに締め上げる。

 くそッ、リル。俺を守ろうとして、俺を殺そうとするなんて、シャレにならないぞ……!

 酸欠で思考が鈍り、首の骨が折れそうなほど軋む。


「【爆裂バースト】!」


 コレットがディアドラに攻撃魔法を叩きつけた。

 たが、ディアドラは魔法障壁を展開し、涼しい顔で爆発を防ぐ。


「くぅっ……」


「あなたは防御とバフは得意なようですが

、攻撃魔法はイマイチですわね。アルフヘイムの王宮で、蝶よ花よと大事に育てられたあなたが、血を吐くような想いで魔導の修得に励んだ私に勝てる道理など、ありませわ!」


 ディアドラの嘲笑に、コレットは部屋の中を見渡す。

 魔力増幅器を探し出して破壊するつもりだろうが、どこにあるか見当もつかないようだった。


「ああっコレット、かわいい妹。宣言通り、あなたの目の前で、アッシュ殿を殺して差し上げますわ。あなたがどんな絶望の表情をするか、今から楽しみですわ」


「お前もあるじ様の敵!?」


 リルがコレットを睨みつけた。

 コレットのことも正しく認識できなくなっているようだ。


「そうですわ。フェンリル、そのままアッシュ殿を押さえつけていなさい。この一撃で片付けますわ!」


 ディアドラが、炎の魔剣を振りかざす。


「やめてください、お姉様!」


 コレットが悲痛な声を上げた。


「ハハハッ、これでアルフヘイムはお終いですわ!」


 灼熱の魔剣が、俺に振り下ろされる。

 だが、不思議なことに、覚悟した痛みは襲って来なかった。


「リル……?」


 俺の拘束が緩んだ。

 リルが自分の身をていして、魔剣の斬撃から俺を守ってくれたのだ。

 リルの小さな身体が、焼け焦げる嫌な音がした。


「あ、あるじ様、リル……あるじ様を守ったよ」


 リルが澄んだ笑顔のまま崩れ落ちた。

ちゃんとハッピーエンドになるので、ご安心ください。


ブックマーク、高評価をいただけると、執筆の励みとなります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓こちらもオススメ! 同じ作者の新作です!

魔王少女の勘違い無双伝~中二病をこじらせて、配下の人間も守る誇り高き悪のカリスマムーブを楽しんでいたら、いつの間にか最強魔王軍が誕生していた件

▼コミカライズ版が発売されています! 2024年11月24日『comic スピラ』より刊行。
『最強ギルドを追放された《植物王》、実は世界樹に選ばれていたので植物の力で無双します』
ぜひお手に取っていただけるとありがたいです!
516FlG0WWrL._SY445_SX342_.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ