表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強ギルドを追放された《植物王》、実は世界樹に選ばれていたので植物の力で無双します  作者: こはるんるん
最終章。エルフ絶滅計画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/67

61話。【植物王】Lv5『植物の再生』

「いくぞ、リル!」


「うん! あるじ様!」


 俺は【世界樹の剣】を連射式ボウガンに変形させる。ディアドラに矢の連射を浴びせながら、コレットを救うべく突進した。


「ゼノス殿が言っておりませんでしたか? 【炎の巨人】(スルト)の至宝【レーヴァテイン】は、【世界樹の剣】の天敵でしてよ!」


 ディアドラが【レーヴァテイン】を振るうと、発生した猛火がボウガンの矢を消し炭に変える。

 そんなことは、わかっているんだよ。

 自分自身の放った炎で、ディアドラの視界が一瞬ふさがれた今がチャンスだ。


「行って、あるじ様!」


 俺のすぐに後ろを駆けていたリルが、俺の背中を蹴り飛ばす。

 俺はコレットめがけて、矢よりも速く飛んだ。

 

「まさかっ!? くっ、ふたり仲良く消えるといいですわ!」


 意表を突かれたディアドラが、【レーヴァテイン】をコレットに振り下ろす。

 そうはさせるか。


「【世界樹の大盾】!」


 俺はコレットを抱きしめながら、背に【世界樹の大盾】を展開させる。

 耐え難い熱が背中を焼くが、手に一本だけ残しておいた【世界樹の矢】を使って、コレットの拘束具を貫き壊した。

 俺はコレットを抱きかかえ、床を蹴って離脱する。


「ご主人様!? 癒やしの光よ!」


 拘束を解かれたコレットが、すぐさま俺に回復魔法をかけてくれた。


「ヤバかった、無事かコレット!?」


「大丈夫です! ご主人様こそ、ひどい怪我を!?」


 俺たちはお互いの無事を喜び合った。

 一歩間違えれば、今のでふたりとも死んでいたな。

 我ながら冷や汗ものの賭けだった。


「【炎の巨人】の手先、リルが相手!」


 ディアドラの追撃は、リルが身体を張って抑えてくれた。


「アハハハハッ! なんと愚かな! エルフの至宝【世界樹の剣】を、灰としてしまうなんて!」


 ディアドラの高笑いが響く。

 【レーヴァテイン】を防ぐために出現させた【世界樹の大盾】は、燃えて跡形もなくなっていた。


「ああぁっ、せ、【世界樹の剣】が……」 

 コレットがショックを受けて、うめき声を漏らす。


「ふふふっ、【世界樹の剣】が無ければ、あなた方に勝ち目はありませんわ! まずはコレット、あなたの愛しいアッシュ殿を目の前で殺して差し上げますわ。その後、炎で滅びるアルフヘイムをゆっくり見物させてから、父親ともども、なるべく惨たらしく処刑するとしましょう!」


「……お姉様、そんなことをして、一体何になるというのですか?」


 強烈な悪意にさらされたコレットが顔を歪めた。


「姉などと呼ばないでいただきたいですわ、けがらわしい! 私の親であり、家族は【炎の巨人】だけですわ! 炎によって、この呪わしいエルフの国を浄化するのです。それが【炎の使徒】たる、私に課せられた神聖なる使命。すべては、あのお方にお喜びいただくためですわ!」


「親から捨てられたお前の気持ちもわからなくはないが……そうはさせるか」


 俺はコレットを背中に庇うように前に出た。


「ご主人様!?」


「ふふふっ。これは傑作ですわ。【世界樹の剣】を失ったあなたに、今さら何ができまして? 今のあなたはただの外れスキル持ちに過ぎませんわ! どんな植物を召喚しようと、【レーヴァテイン】ですべて焼き尽くしてさしあげます」


 ディアドラは己の勝利を確信していた。


「いや、ありがとうよディアドラ。おかげで【世界樹の剣】はもっと強力になって、生まれ変わることができる」


「……なんですって?」


 ディアドラの表情が固まった。


「【植物王ドルイドキング】Lv5『植物の再生』!」


『【植物の再生】は、元気が無くなった植物を復活させ、より元気にする能力です』


 システムボイスの解説が響く。

 俺の手元には、【世界樹の剣】から分離したボウガンの矢が残っていた。


 『植物の再生』は、完全に死に絶えた植物を復活させること無理だが『元気が無くなった植物』を、よりパワーアップして復活させることができる。

 これは、すでに検証済みのことだ。


 そのために、俺は最初に【世界樹の剣】を連射式ボウガンに変形させ、矢を一本だけ残しておいた。


「ああ──っ!? 【世界樹の剣】が!?」


「そ、そんなバカなことが!?」


 コレットとディアドラの驚きの声が響く。


「新生【世界樹の剣】!」


 灰となって散らばった【世界樹の剣】が、俺の手元に集まってきて剣を形作る。

 輝きが弾けると同時に、俺の手に生まれ変わった神剣ユグドラシル弐式が握られていた。


 いや、この名称はもう相応しくないな。

 あえて呼ぶなら【ユグドラシル参式】か。以前とは比べ物にならない強大な力を感じる。


「ああっ、アッシュは植物を育ててくれる存在……灰の中から蘇った神剣!」


 コレットが声を感激で震わせた。


「まさにアッシュ様こそ、世界樹のマスターたる王です!」


「くぅっ……【植物王ドルイドキング】にそんな力が。まさか、この私が手玉に取られていたというの」


「さあ、決着をつけようぜ【炎の使徒】」


 俺は【ユグドラシル参式】の切っ先をディアドラに突きつけた。

ブックマーク、高評価をいただけると、執筆の励みとなります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓こちらもオススメ! 同じ作者の新作です!

魔王少女の勘違い無双伝~中二病をこじらせて、配下の人間も守る誇り高き悪のカリスマムーブを楽しんでいたら、いつの間にか最強魔王軍が誕生していた件

▼コミカライズ版が発売されています! 2024年11月24日『comic スピラ』より刊行。
『最強ギルドを追放された《植物王》、実は世界樹に選ばれていたので植物の力で無双します』
ぜひお手に取っていただけるとありがたいです!
516FlG0WWrL._SY445_SX342_.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ