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最強ギルドを追放された《植物王》、実は世界樹に選ばれていたので植物の力で無双します  作者: こはるんるん
5章。ユースティルア攻防戦

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32話。サーシャとリズが仲間になる

「サーシャさん、あなた、どういうつもりですの……? あなたの行いは【神喰らう蛇】への裏切りですのよ!? 」


「そうです、裏切りです!」


 サーシャは輝く雷球を連続で、ディアドラに投げつける。ディアドラは軽やかなステップで、それらを回避した。


「アッシュ隊長! 私はアッシュ隊長を撃ったこと、ずっと後悔してきました……。もうこれ以上、自分に嘘をつき続けるのは限界なんです!」


 サーシャは俺に向き直って叫ぶ。その目には涙が浮かんでいた。


「アッシュ隊長を討つのに加担するくらいなら、私は【神喰らう蛇】を辞めます!」


「くっ……まさか、この土壇場でこんな重大な契約違反を犯すなんて。あなた、闘神ガインより制裁を受けることになりましてよ? かわいそうに病気の妹さんも、助かりませんわね?」


 サーシャの表情から血の気が引く。

 その隙きを狙って、ディアドラが連続でサーシャに向かってファイヤーボールを放った。

 俺は飛び込んで行って、神剣ユグドラシルで、ファイヤーボールをすべて弾き返す。


「アッシュ隊長……!?」


「それについてなら大丈夫だ。ゼノスの狂戦化(バーサーク)を解いたのはコレットが作った試作品エリクサーなんだ。これを使えば、サーシャの妹も救えるハズだ」


「エ、エリクサー!? ホントですか、アッシュ隊長!?」


「はい! 本当です。わたくしとご主人様の『愛の共同作業』で生まれた究極の霊薬なんですよ」


 コレットが話に割って入ってくる。なぜか、彼女は怖い顔をしていた。


「私のために、そんな貴重な品を! や、やっぱり、アッシュ隊長は、私のことを……!? 私たちは運命の赤い糸で結ばれているんですね!?」


 サーシャの全身が輝きに包まれた。彼女のスキル【エレメンタルバースト】が発動したのだ。

 この状態になったサーシャは属性魔法の威力が格段に上昇し、世界屈指の攻撃魔法の使い手となる。


「来た来たぁ! みなぎってきましたよぉ!」


 サーシャは絶好調でガッツポーズを取った。

 運命の赤い糸とかなんとか、言っていることは良くわからないが……。彼女が味方になってくたのはありがたい。


「コレット王女……まさか、エルフ王家の秘中の秘たる霊薬を、人間のために提供するなんて」


 ディアドラが唇を噛んだ。


「ディアドラ、人間とエルフは理解し合えます。相手から奪おうとするのではなく、お互いに歩み寄る努力をするのが大切ではありませんか? 私はご主人様と結婚することで、両種族の架け橋になりたいと思っています。ハーフエルフに対する不当な扱いも、きっと無くしてみせます!」


「……戯れ言を。人間とエルフが結婚ですって? それは不幸しか生みませんわ」


 コレットの真摯に訴えを、ディアドラは一蹴した。

 コレットを見つめるディアドラの瞳には、強烈な憎悪の炎が揺らめいている。


「サーシャ、神獣フェンリルへの攻撃を今すぐ中止させてくれ! リルは敵じゃない、俺の仲間だ!」


「はい、アッシュ隊長! 【神喰らう蛇】一番隊、総員撤退! ゼノス隊長が倒れ、これ以上の戦闘継続は困難であると判断します!」


 サーシャが通信魔導端末を取り出して、命令を発する。

 即座に神獣フェンリルへの集中砲火が停止された。


「ふぅ~っ!」


 リルが安堵の息を吐く。


「お待ちなさい! 副隊長サーシャ殿は隊長ゼノス殿を裏切り、【神喰らう蛇】を辞めると宣言されていますわ! 攻撃を続けなさい!」


 ディアドラが通信魔導端末に向かって叫ぶ。

 その端末が飛来した矢に貫かれて砕け散った。


「サーシャだけじゃなくて、あたしも降りさせてもらうよ!」


 物陰から姿を見せた少女は、俺の元部下である【狩女神アルテミス】のリズだった。

 リズは弓に、次の矢をつがえている。


「リズか!?」


「アッシュ隊長、久しぶりだね。ここから、一部始終を見聞きさせてもらったよ。まさか、神獣フェンリルが一切反撃して来ないなんてね……アンタ、本当にこの化け物を支配下に入れちまったんだね!」


「化け物、違う。リルはリル……!」


 リルが抗議の声を上げる。

 リルは多少ダメージを受けたようだが、まだ余力が有りそうだった。


「ここからは、あたしもアッシュ隊長に加勢させてもらうよ。元々【神喰らう蛇】の方針にはうんざりしてたけど。エルフの侵略戦争に加担させようなんざ、いい加減、愛想が尽きたね!」


 リズが弓矢を上空に放つと、目を正確に射抜かれた飛竜が墜落してきた。


「あなた、アルフヘイムの兵を!?」


「はんっ! あたしは元々、人間を襲うクソ魔物をぶち殺したくて【神喰らう蛇】に入ったんだ。クソ魔物は撃ち落とす。それだけだよ。文句あるかい?」


「助かるぞ、リズ、サーシャ! ここは任せて良いか!?」


 義妹ミリアの身に危険が迫っているようだ。レイナだけでは心配だ。一刻も早く、向かわねばならなかった。


「もちろんです、アッシュ隊長!」


「この女を足止めすれば、いいんだね? 任せときな!」


 サーシャとリズが自信満々で請け負う。

 ディアドラは得体の知れないヤツだが、【神喰らう蛇】でも実力トップクラスのふたりに任せておけば安心だ。


「くぅ……こんな失態、屈辱ですわ。なら、せめてコレット王女の命だけでも!」


 ディアドラが召喚呪具をコレットの周囲に投げつけた。

 雄叫びと共に巨大なドラゴンが2体出現する。


「ぁあああ……ッ!?」


 その威容にコレットが悲鳴を上げた。ドラゴンを見て恐怖しない者などいない。


「リル、ぶちのめすぞ!」


「うん!」


 俺とリルは同時に地面を蹴った。

 次の瞬間、2体のドラゴンは断末魔の叫びを上げて崩れ落ちる。

 俺の神剣ユグドラシルと、リルの爪がそれぞれ敵の喉元を抉っていた。


「ああっ、ありがとうございます。ご主人様!」


「ひゅーっ! ドラゴンを歯牙にもかけないとは、さすがだねアッシュ隊長! それでこそ、あたしたちの頭だよ!」


 コレットが感激し、リズが感嘆の叫びを上げた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


・面白い!


・続きが気になる!


という方は、是非とも画面下部の【☆☆☆☆☆】から評価して頂けると嬉しいです。


★5が嬉しいですが、率直な評価で大丈夫です!


なにとぞ、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 一番隊全員が裏切って欲しかったですね
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