~第十二回~
はい、零堵です
続きの話です。
さて、俺こと、市倉優希が
メイド喫茶「マイ・ドリーム」で働く事に気がついた事
それは、いかにもって感じの客がいる事だった。
まず、見た目、リュックを背負い、その隙間からアニメの絵が描かれている
ポスターらしき物がにょきっと出ている奴がいたり
会話に「みくたん、可愛いでござる」とか
「零ちゃんは、俺の嫁」とか言っている奴もいたりしていた。
こいつら……まともじゃないんじゃねーか?って感じなんだが
そんな客が俺に対して、「ユキちゃーん」とか言ってくるので
俺は鳥肌が立ちそうになってしまった。
一応客なので、作り笑顔で「はーい」と姉貴の声で
呼んだ客の席に行き
「ご注文は何ですか?ご主人様?」
とメイド喫茶なので、メイドっぽい口調で、話してみると
俺を呼んだ客は
「ユキちゃん……、この後、暇かな?」
と言ってきやがった。
暇だったら何なんだ?と言いたいが、俺は仕事が終わったらの用事を思いだしてみる。
何かあったっけ……と思い出し、そういや今日は、テレビで見たい物があったな?
と思い出して、こう言って見る事にした。
「すいませんが、暇ではないです」
「そっか……、じゃあ、いつ暇になるかな?で、もしよろしければだけど、携帯の番号、教えてくれない?」
と言って来やがった。
そう言われてもな……お前なんかに、アドレスもケー番も教えたくないんだが?
とりあえず、俺は作り笑顔で
「すいません……ちょっと言えないですね?それより、ご主人様?注文してくれないと、困ります」
と無表情で言ってみると、驚いたのか
「じゃ、じゃあ……魅惑のパッションフルーツを」
「かしこまりました、魅惑のパッションフルーツですね?少々お待ち下さいませ」
と言って、その場から離れて行き、厨房に向かった。
厨房には、いつの間にか着替えたのか、コック姿の志保さんの姿があった。
志保さんが調理担当みたいらしく、俺は志保さんにさっきの客の注文を言うと
「ちょっと待って下さいね?」と言い、手際よく作業して
あっという間に、魅惑のパッションフルーツを作ってしまった。
ちなみに魅惑のパッションフルーツと言うのは、フルーツパフェの事で
一人で食べる分には、結構なボリュームがあった。
それをお盆に載せて、さっきの客の所に持っていく。
「お待たせしました、ご主人様、魅惑のパッションフルーツになります」
と言うと、お客が
「ユキちゃん、そのスプーンで食べさせてくれないかな?」
とか言ってきやがった。
そこまでする必要あるのか?って感じなんだが、他のウエイトレスを見てみると
カレンも萌もお客に対して、あーんをやっているので
こりゃやるしかないのか?って思い、スプーンでパフェを掬って
「ご主人様、はい、あーん」
えらく棒読みな感じに言う事にした。
うん、とりあえず深く考えないで、仕事に集中する事にするか……
おう思いながら、仕事をしていって、時間が過ぎていき
店長の麻衣が
「ユキちゃん、今日はもうあがっていいよー」
と言って来たので、俺は店長に
「お疲れ様でした」
と言って、控え室に向かった。
控え室の中に入り、誰も入って来ないようにしっかりと施錠してから
メイド服を脱ぐ。
メイド服をロッカーの中に入れて、私服に着替える事にした。
着替え終わった後、忘れ物はないかとチェックしてから、控え室を出る。
控え室を出ると、金髪縦ロールのカレンがやって来て、こう言って来た。
「あ、由紀?あがりですわね?」
「うん」
「じゃあ、外で待ってて下さい、私もすぐに向かいますので」
「解ったわ」
そう言って、店の外で待つ事にした。
カレンに一緒に遊びに行くって、誘われているので
一体何所に遊びに行くんだ?と思っていると
「お、お待たせしましたわ」
と私服姿のカレンがやって来た。
うん……はっきり言って、私服がかなり豪華だった。
胸が強調されているので、ちょっとエロちっくに見えてしまっていた。
見とれていると、カレンが顔を赤らめて
「ゆ、由紀?あんまりじろじろ見ないでくださいまし」
「あ、ごめん」
「べ、別にいいですわ、では、参りましょう」
「うん、でも……、何所に行くの?」
「それは、着いてからのお楽しみですわ、さ、いきましょう」
そう言って、手を握ってきた。
何で握る必要が?って思ったけど
一応と言うか、カレンはかなりの美少女なので
俺的に関しては、ちょっと嬉しく感じたりもしていたのであった。




