~第十一回~
はい、零堵です。
続きの話です。
俺こと、市倉優希は、姉貴の代役として
メイド喫茶で、働く事になってしまった。
うん、早く姉貴と変わってくれって感じなんだが
姉貴は、帰ってこないので、姉貴が帰ってくるまで、姉貴の代役として
仕事をする事になっていたのであった・・・
「いらっしゃいませ~」
と姉貴の声を真似て、お客を席に案内する。
今の俺の姿は、姉貴とそっくりで、店内では「ユキ」と呼ばれていた。
しかし、この店・・・やって来るのほとんど野郎ばっかだな・・・
店内を見てみると、女性客が一人もいなかった。
まあ、メイド喫茶だから、しょうがねえのか?って感じかもな・・・
そう思っていると、客の一人が「ユキちゃ~ん」と言ってきたので
俺は返事をしてから、客がいる席へ向かった。
「お呼びでしょうか?ご主人様」
普段、絶対にこんな事言わねえよな・・・と、内心思いながら
注文を受ける事にした。
「ユキちゃん、来てくれてありがとう、僕は物凄い嬉しいよ?」
と言って来たのは、見た目は爽やかなイケメンで、女子にもてるんじゃないか?と思わせる
スタイルで、身のこなしもばっちりだった。
こいつ・・・はっきり言って、リア充じゃないか?
こんな奴が、こんな店に来て、一体何の用なんだ?と思いながら
「はあ・・・ありがとうございます、ご主人様、ご注文は何に致しますか?」
と聞いてやると、イケメンは
「じゃあ、この萌え萌えオムライスを一つ頼むよ」
と爽やかに言ってきたので、俺はなるべく顔を直視しないように
「かしこまりました、萌え萌えオムライスですね?少々お待ち下さい」
と言って、厨房の方に向かった。
注文を調理人に言った後、数分で萌え萌えオムライスが出てきたので
それをお盆の上に乗せて、さっきのお客の所に持っていく。
そして、お客の所に行き
「お待たせしました。萌え萌えオムライスになります、こちらケチャップで文字を書くサービスを行っていて、どういった文字がいいでしょうか?」
と俺は、ケチャップを持って、そう言うと
「じゃあ、でっかくダイスキってカタカナで、最後にハートマークを付けてね?」
と言ってきやがった。
うわ、こいつ恥ずかしくないのか?って感じだが、お客なので
ご注文どおりに、ケチャップでオムライスの生地の上に、ダイスキとハートマークを描いた。
「これで、いいですか?」
「うんうん、Okだよ?さすがユキちゃん」
すっげ~だらしない笑顔で言っているので、イケメンが台無しだった。
ま、こいつがどんな顔をしようと、俺には関係ないけどな?
そう思いながら、席を離れると
「お姉さま・・・」
と話しかけてきたのは、従業員でどうもガチ百合っぽい、黒髪の萌だった。
「何?萌」
「お姉さま、あの方の事、好きになったんですか・・・?」
あの方って、さっき相手したイケメンの事か?
冗談じゃない、誰が好きになるか!って感じなんだが
「別に・・・好きになっていないわよ?もしかして・・・萌は、好きになったの?」
「いえ、そんな事はないです!私が好きなのは、お姉さま、ただ一人だけですし」
「そ、そう・・・」
そんな事をどうどうと言われても、困るんだがな・・・
萌と話していると、マネージャーの志保さんが、やってきた。
「萌、お客様に呼ばれているわよ」
「あ、ほんと・・・じゃあ、お姉さま、行ってきます」
そう言って、萌が、離れていく。
すると、志保さんが
「貴方も大変ね?何か辛い事があったら、相談するのよ?」
と優しい笑顔で言ってきた。
その顔いいな・・・、この人だったらまともそうだし、相談してもOKかもな?とか思ってしまう。
子供っぽい店長より、このマネージャーさんの方が、信用できるかもな?
そう考えていると、子供っぽい店長の麻衣がやって来た。
「ユキちゃ~ん、休憩入っていいよ~ん」
そう言ってきたので、俺はお言葉に甘えて
「じゃあ、そうします」
と言って、控え室に入る事にした。
控え室に入ると、先に休憩していたのか、金髪縦ロールの
カレンの姿があった。
「あら、由紀、貴方も今から休憩?」
「ええ」
「そう・・・あ、あの由紀?」
「何?」
「仕事終わったらだけど、ひ、暇かしら?」
仕事終わったら・・・・?この仕事以外に予定は入れてるか?って事か?
別に何も予定は入れてないので
「別に暇だけど・・・」
「じゃあ、一緒に遊びに行きません?たまにはいいですわよね?」
「でも・・・・」
「私とじゃ、遊びたくないんですか・・・?」
なんか、すげ~悲しそうな顔で言って来た。
そんな顔するなよ・・・こっちが悪いみたいじゃないか?
とりあえず・・・悲しげな顔をされるのは、嫌だったので
「解ったわ、一緒に遊びに行きましょう」
と言うと
「よかった・・・い、今のは何でもないですわ!じゃ、じゃあ約束ですわよ!」
そう言って、控え室から出て行き、入れ替わりに志保さんが入ってきて
「由紀さん、休憩終わりですから、ホールに出て下さいね?」
と言ってきたので、俺は言われたとおりに
ホールに出て、時間まで仕事をする事にしたのであった。




