~第十回~
はい、零堵です
続きの話です。
さて、俺こと市倉優希の今の心情を一言で表すと・・・
憂鬱だった。
まあ、男の俺がメイド喫茶で働いてる事自体、憂鬱にもなるわな
そんな俺が働く事になった場所と言うのは、メイド喫茶
「マイ・ドリ-ム」と言う喫茶店で、そこで俺は
姉の由紀の代役として、メイドをやる事になったのである。
一体、いつまでやらされるんだろうな……ほんと……
そんな俺が、メイド喫茶「マイ・ドリーム」の店内に入ると
早速出迎えてくれたのが、メイド姿で、日本人形みたいに可愛い顔をした女の子
名前が萌と呼ばれている女の子だった。
「あ、お姉さま」
この子……俺、いや正確には姉貴の事なんだが、その姉貴に対して
「お姉さま」って呼んで、なついていくるのである。
はっきり言って、この子、ガチで百合属性なんじゃないだろうか?
まあ、嫌いと思われてないのはまだマシか……と思う事にして
俺は、姉貴の声で、挨拶する事にした。
「こんにちは、萌ちゃん」
「はい、お姉さま、今からですよね?」
「ええ、そういう事になるわね」
「あの……私に何か、手伝える事はありますか?」
と上目使い&赤ら顔のダブルコンボを食らわしてきた。
そう言うのは、男にしときなさい!って感じなんだが……
とりあえず、手伝ってもらうのはちと困るので
「い、いいわよ、萌は仕事に専念しときなさいね?」
と言うと、がっかりした表情で
「解りました……お姉さまが、そう言うなら……」
そう言って、仕事に戻ってくれた。
ふ~……とりあえず、何とか回避したかな?
さてと、控え室で着替える事にするか……
そう考えて、控え室に移動する事にした。
控え室の中に入ると、着替え終わっている、もう一人の従業員
金髪縦ロールのカレンがそこにいた。
「あ、由紀、こんにちはですわ」
うん、はっきり言って、このお嬢様口調、マジで似合っている。
こいつ……本当にいい所のお嬢様なのか?って感じかもな?
とりあえず……
「こんにちは、カレン、今からでしょ?」
「ええ、そうですわ? 由紀も今からですわよね?」
「ええ」
「じゃあ、お互い頑張りましょう? では、私はこれで」
そう言って、カレンは控え室から出て行く。
よし、その間に俺は、誰も入って来ないように、しっかりと施錠して
着ている服をロッカーに入れる事にした。
そして、用意されているメイド服を着て、着替え終わった後
鏡で、自分の姿を見てみる。
そこに写っているのは、姉貴のそっくりの俺の姿で
メイド服が似合っていた。
「やばいな……これ……はまらないようにしねえとな……あ~あ~、姉貴の声っと」
とりあえず……発生練習をして、姉貴の声を出し
準備ができたので、部屋の外に出る。
外に出ると、リクルートスーツを着た、この店のマネージャーの志保さんと、出くわした。
「あ、おはようございます、由紀さん、今からですよね?」
と言ってきたので、俺は姉貴の声で
「はい、そうです」
「では、今日も頑張って下さいね?」
と笑顔で言ってくれた。
うわ、今の笑顔……すっげ~いいな……優しげがあって……
そう見とれていると、俺にぶつかって来たのが
「おっはよ~ん、由紀ちゃん」
と言って来たのは、どう見ても小学生にしか見えない幼女体系の
ここの店長、麻衣さんだった。
「おはよう……」
「ん~なんか元気ないね~? ほらほら、しゃきっとして? 今日も一日、がんばろ~」
そう言ってポーズをとるロリ店長、うわ、ウザ……
殴ってもバチが当たらないよな?とか思うのだが、一応店長なので、俺は引きつった笑顔で
「わ、解りました、頑張ります」
といって、逃げるように移動する事にした。
店長と話していると、なんか疲れるな……ほんと
とりあえず・・・今日も一日、頑張るとするかな……と思って
仕事に専念する事にしたのであった。




