表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
維新の剣  作者: 才谷草太
不戦と合戦と
89/140

龍馬と土方

 薩摩藩邸で西郷達が密談をしていた頃、龍馬は一人、懐かしい京の街並みを見ながら散歩をしていた。

 長州・長崎・薩摩などで暫く忙しい日々を送っていた為、お龍と出会った街をゆっくりと歩いてみたくなったのだ。珍しくも自身、感傷に浸ってると思っていた時、目の前に顔見知りが歩いて来た。


 「坂本…か」

 「ちゃ・ちゃ…新撰組かや…。こりゃぁまずい所で会うてしもうたの…」

 「………」


 龍馬と対峙しているのは、新撰組副長・土方歳三。直接顔を合わせた事は無かったが、お互いにその情報には事欠かない仲間が居た。

 両者とも、言い得ぬ懐かしさを感じていたが、龍馬からすれば斬られるかも知れぬ危機だった。


 さて、この場からどう逃げるか…脳味噌の速度を上げ、あらゆる方向から全てを見ていた時だった。


 「お主が何を考え、何をやっているか…。我々武士にとって不利益になる事かも知れんが、総司や浅野がお主に於ける信頼は絶大。拙者も、可笑しな事にお主に何らかの期待をしているようだ。武士としてしか生きる手段を知らぬ我等は、我等の道を行くが…坂本、お主の前に立つ事はせん。総司の想いの為にも…な」


 沖田は江戸にて病の床についている。当初は表向きだったが、どうやら本当に発症しているようだった。その沖田の文に龍馬の事が書かれていたのだった。


 「ワシを見逃すっちゅう事かいな?」

 隣に並び、静かに語っていた土方に問いかける。

 「お主が、京の町で刀を抜かぬ限りは…な」

 「冗談じゃろ、ワシは喧嘩が嫌いじゃき」

 「軍艦で幕府と一戦交えながら言う事ではあるまい。だが、ここ京で騒ぎを起こせば、弟の言葉を無視し、お主を斬りに行くぞ」

 その目は笑っていた。どうやら本気で敵対する事は無い様だ。

 「…分かっちょる。ワシも平和が好きじゃき…」

 龍馬はそう笑いながら、新撰組の隊列の間を飄々と歩いて抜けた。



 歴史は変わりつつある。

 剣一、あるいは以蔵・薫として接した者達が、龍馬を敵として見ずに放免して行く…。

 その恐ろしい変化が、何を意味するのか。


 まだ以蔵は気付かない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ