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サバイバル  作者: 清 涼
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第十三章(ニ)

第十三章(二)


 焼けつくような喉の渇きに、運ばれて来る液体を拒絶する事すら出来ずに受け入れてしまうしかなかった。

飲む度に司は激しく咽返むせかえり苦しんでいたが、その苦しさも気を失う事で取り除かれていた。


日も暮れかけた頃、一匹の黒い蜘蛛がどこからともなく導かれるように小屋へ入って行くと、躊躇ためらわず司の手のひらに乗った。

そして、その手がゆっくり握られると、その蜘蛛はまるで吸い込まれるように消えてしまった。

それと同時に司の目が開いた。

その瞳は冷酷な光を放ち、何の表情も見せない。

口から漏れる息も乱れる事なく規則的だったが、不気味な程静かだった。

外では風もないのに、さわさわと木の葉のかすれる音が聴こえる。

今まで時折聴こえていた鳥の鳴き声もピタっと止んでしまい、辺りは急に静寂に包まれた。

まるで嵐の前の静けさとでも言うのだろうか。何かが起こる前兆のような気味の悪い静けさだった。

晃一とスタッフも、何か薄気味悪いものを感じて身震いした。

本当に今夜、紀伊也が助けに来てくれるのだろうか。

不安を感じながらも、いつでも行かれるように準備だけは整えて広場の中央で燃え盛る炎を見つめていた。

「晃一さん・・・」

「心配するな、紀伊也を信じろっ」

「分かってますけど、・・・ 何か始まるんですかね」

炎を囲み、太鼓を叩きながら呪文のようなものを唱えるように全員が合唱している。

何かの儀式なのだろうか、族長とは別の老人がその中央で何かを念じていた。

が、突然、隅に居たヤニ族の一人が倒れ、周囲の者が驚いてそれをけると、次々にあっという短い悲鳴を上げては倒れて行く。

が、次の瞬間、何かを発見したように悲鳴が上がると、その場はパニックになり、皆あちこちへ逃げ惑い始めてしまった。

牢からでは何が起こっているのか分からない。

だがよく見ると、槍を持った者が地面を必死に突いている。その先に何かが突き刺さり、それが遠くへ放り投げられた。


ボトっと、牢の前にそれが落ちた。

「うわっ、何だよこれっ!?」

「クモだっ!!」

それは紛れもなく図鑑で見た事のある猛毒を持った毒蜘蛛だった。しかも大人の手の平程の大きさもある。

あの騒ぎでは恐らく大群でも発生したのだろう。

全員が格子から下がって息を呑んだ。


 ガタガタっっ


その時、背後で突然扉をこじ開ける音が響いた。


 !?


「晃一っっ!!」


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