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サバイバル  作者: 清 涼
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第八章(五)

第八章(五)


日が沈み、太鼓の大きな音が響くと炎の勢いも増す。

更に太鼓の音が大きくなると、大きな丸太をくり抜いた皿に、焼いた肉がこんもり盛られた料理が運ばれて来る。赤や黄色の花が添えられて、それらの彩りを良くしていた。

大きなバナナの葉に乗せられた色とりどりの果物に目を見張った。

こんな果物が近隣に実っていたのかと信じられない。

思わず全員の喉が鳴った。

太鼓の音が止み、族長シーメは立ち上がると両手を大きく広げた。

炎を囲む村人全員が両手を頭の上に合わせた。

「聖なるファヴォス、今日のこの日有りし事に感謝する。我等が客人に聖なるファヴォスのおぼしがあらん事を! そして、ファヴォスのお導きあるこの者のめいに定めがあらん事を!」

天に向かってそう叫ぶと再び太鼓の音が鳴り響いた。

そして、族長シーメが腰を下ろすと、村人全員が儀式の終わりを告げるように、腰を下ろしたり、炊事の続きをするなど動き出す。


「食べていいぞ」

司が皆に笑みを浮かべて言うと、待ってましたと言わんばかりに料理の乗った皿に手を伸ばした。

何日ぶりの食事だろう。

皆のがっつく姿にしばし笑みを浮かべて司は見ていた。

「司も食えよ。意外と美味うまいぜ」

晃一が肉を頬張りながら言う。隣にいた紀伊也も肉を食べながら頷いている。

「食べないの?」

いっこうに手を付けようとしない司に、紀伊也は手を止めた。

「食べるよ。 けどなぁ、そのお前らの品のない食い方に食が進まねぇよ」

笑いながら嫌味っぽく言うと、肉の切れ端を手に取って口の中に入れた。

「あんまり変わらねぇと思うけどな」

呆れたように返す晃一と目が合うと笑ってしまった。

久しぶりに食事らしい食事をする事が出来、全員が炎を見つめて、今ここに居られる事に感謝していた。

さて、お腹がいっぱいになると当然のように眠くなるのは人間の性質さがなのだろうか。

案内された寝床ねどこに横になると、安心したように深い眠りについてしまった。




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