テレーズに告白する
テレーズ、やっと自覚する
どうやら今回は、ユゲットの素早く適切な治癒のおかげで目覚めるのも早かったらしい。一日と掛からず目を覚ましたテレーズに、ユゲットはほっとする。
「ママ、何か後遺症のようなものはないかぇ?」
「ええっと……」
いきなり後遺症と言われて戸惑うものの、手足をバタバタと動かしてみて異常がないのを確認する。
「異常はないですね」
「目もちゃんと見えるかぇ?鼻は効くかぇ?呂律は回るかぇ?」
「問題なさそうです」
「よかったのじゃー。何か変化があればすぐに言うんじゃよ」
「わかりました」
ボーモンは早くテレーズに想いを伝えたくてうずうずするが、なかなかきっかけを掴めない。そこにユゲットが爆弾を投下する。
「のう、ママや」
「どうしました?ユゲット」
「ママはパパをどう思っているのかぇ?」
それは、パパの背中を押すための質問だった。ボーモンもそれがわかるので逆に口を挟めない。
「大切な家族で、かけがえのない旦那様ですよ。急にどうしました?」
「パパとママは無自覚両片想いという奴かぇ?」
「えっ……!?」
テレーズは顔が真っ赤になる。しかし、それは自覚したからこそのものだ。
「……私は、ボーモン様を〝恋愛感情で〟好きなんだ」
この感情は、気づいてしまえばもう否定出来ない。テレーズは真っ赤になりながら、ボーモンの方を見ないようにして小さな声で言った。
「そうですよ、ユゲット。少なくともママはパパを愛しています。大好きですよ。パパがどう思っているかは知りませんけど」
「そうかぇ。パパも同じ気持ちだと思うがのぉ。のぉ、パパや?」
ほっほっほっと笑うユゲット。テレーズはボーモンの方を見られない。ボーモンは覚悟を決めて、テレーズの前に出て半ば強引に視線を合わせた。
「テレーズ……今更だが、本当に愛してる。……恋愛感情、という意味で。やっぱり、遅すぎるだろうか……」
「えっ……?ぼ、ボーモン様、これ夢……?」
「ママ、早く返事を返してやらないと可哀想なのじゃ」
テレーズは自分の頬を引っ張って夢じゃないことを確認すると、ボーモンをベッドの上に押し倒す形で抱きついた。
「ボーモン様!私も愛しています!恋愛的な意味で大好きです!」
「……テレーズ!」
ボーモンは、テレーズを強く抱きしめた。ユゲットは側でほっほっほっと笑っていた。
子は鎹




