テレーズへの気持ち
やっと自覚する
ユゲットの治療を受けたテレーズをお姫様抱っこで運ぶボーモン。転移魔法で屋敷に戻り、テレーズを寝室の大きなベッドに寝かせる。
使用人達は、今回はある程度覚悟の上で送り出したので大きな混乱はなかった。それでもマルカはやはり少し精神的に辛すぎたようで、ポロと共に休みをもらって、ポロに看病されながら寝込むことになったが。
「ユゲット、治癒術師を呼んだ方がいいか?」
「いや、やれることは全部やったぞい。あとはママ次第だから、余計なことはしない方がいいのぉ」
「そうか……」
ボーモンはテレーズの顔を見て、ただただ願う。死なないで欲しいと。
「のう、パパや」
「どうした、ユゲット」
「パパはママをどう思っているのかぇ?」
それは、純粋な質問だった。ユゲットから見て、パパとママは明らかにラブラブなのに本人達に自覚はない様子だった。どうも新婚だからイチャイチャしているというでもなく、無自覚にイチャイチャし本人達はお互いのことを意識していないつもりらしい。ユゲットは二人の関係がよく分からなかった。
「どうって……大切な家族で、かけがえのない妻だ。それ以外になにがある?」
「パパとママは無自覚両片想いという奴かぇ?」
「なっ……!?」
ボーモンは顔が真っ赤になる。しかし、思い当たる節があった。
「……私は、テレーズを〝恋愛感情で〟愛しているのか」
なんとなく、すとんときた。納得してしまえば、自覚は早かった。
「そう……だな。ユゲット、少なくともパパはママが好きだ。愛してる。ママがどう思っているかはわからないが」
「そうかぇ。多分ママも同じ感じだと思うがのぉ」
ほっほっほっと笑うユゲット。ボーモンはテレーズを失うかもしれないという恐怖から、いつのまにか解放されていた。今はただ、この想いをテレーズに伝えたい。だから早く目覚めて欲しいと希望に満ちた想いになっていた。
「テレーズ……今更だが、本当に愛してる。どうか、この気持ちを伝えさせてくれ。頼むから、早く目を開けて欲しい」
「ママ、早く目を覚ましてやらないとパパが可哀想なのじゃ。起きるのじゃ」
テレーズの手を握って話しかけるボーモンとユゲット。眠り姫は、もう一度目を覚ました。
「んん……ボーモン様……?ユゲットも……おはようございます……」
「ママ!」
「……テレーズ!」
ボーモンは、テレーズを強く抱きしめた。
テレーズの方はどうでしょう




