和の国のお姫様をおもてなしする
和の国のお姫様
和の国の姫がコンスタン王国に交流のため訪れることが決まったのはつい先日のことである。末姫である彼女は、当然王宮でのおもてなしを受けることになる。彼女は和の国ブームの立役者であるテレーズに興味があるらしく、女王陛下の命を受けテレーズは末姫の滞在期間中、お茶の時間にお相手をすることとなった。
「お初にお目にかかります。和の国の帝が末姫、月詠と申します。この度は我が和の国を盛り立てていただき大変有難く思っています。どうぞ、これからもよろしくお願い致します」
「ご丁寧にありがとうございます!はじめまして、テレーズ・バスチアンです!和の国の文化はとても素敵で、私の旦那様も色々な品を購入していました!いつも冷静な旦那様のあんなにはしゃぐ姿はなかなか見られません。特に旦那様が気に入っているのはお抹茶と和菓子ですね!旦那様にはちょうど心地よい味わいだそうで。もちろん私も大好きです!」
「まあまあ!テレーズ様とはお話が合いそうですね!今日のお茶会はコンスタン王国のお茶とお菓子が出るそうですが、そちらも楽しみです」
「コンスタン王国のお茶は紅茶といいまして、ジャムやミルクを入れて飲むのですよ」
「あら、甘茶ですか。では早速一口いただきますね……うん、甘茶も良いですね。美味しい」
ほっと息を吐く月詠。テレーズは少し幼さの残る月詠のお茶を楽しむ姿に、心を癒される。
「こちらのお菓子はフォンダンショコラといいまして、中にトロトロのチョコレートが入っています!是非一口!」
「ちょこれーと、ですか。ではいただきます…まあ!」
感動した様子の月詠に、テレーズは頷いた。
「チョコレート、美味しいですよね」
「暴力的な甘さでありながら、こんなにも美味しいなんて……和の国に持ち帰らなくては!」
「最終日、お土産に渡しますね!」
「お心遣い感謝します。和の国から出るのは初めてですが、お外の国がこんなにも素敵だなんて…感動しました。テレーズ様には感謝してもしきれませんね」
「いえいえそんな……そうだ、月詠殿下もドレスに袖を通してみませんか?きっととてもお似合いだと思うんです!」
テレーズの提案に月詠も首を縦に振る。
「とても素敵ですね。ぜひお願いします」
「ではご準備を致しますね!」
そして月詠はドレスに身を包む。和装では天女のような美しさを持つ月詠だが、ドレスを着ると天使のようだった。
「月詠様、可愛いです!」
「ありがとうございます、テレーズ様」
「そうそう。月詠様もご存知でしょうけれど、今日はもう一人お客様がいらっしゃいますよ」
「我が国と同じく、最近コンスタン王国と仲良くなったベルトラン公国の大公様のご子息でしたね。どんな方かしら」
「テレーズちゃん!お待たせ!そちらが和の国の末姫様ね!……え」
颯爽と登場したアダラール。しかし月詠を見ると顔を真っ赤にして止まってしまった。月詠の方も頬を染めアダラールを見つめる。運命的な出会いの瞬間に、テレーズは立ち会ってしまったらしい。
月詠ちゃんはどこか幼さも感じつつ、お淑やかな美しさを感じる女性です




