彼女は着物を流行らせる
着物、流行る
テレーズが着物を献上すると、女王陛下はさっそく着物を公の場でも着るようになった。その斬新なデザイン、美しさは社交界に激震を与える。
あれはどこのデザイナーの作品だと騒ぎになり、テレーズが献上したものだと広まるとさらに衝撃が走り、その上着物にご機嫌な女王陛下が開いたお茶会でテレーズやマドロンもお揃いで着ている姿まで見られれば皆こぞって着物を求め出した。
凛はこうして、大物デザイナーへの道を一気に駆け上がる。凛のデザインを盗用しようとするものもいたが、着物の生地自体を手に入れるのがまずつてがないため難しく、あえなく断念した。
「凛さん!着物はやっぱり大人気になりましたね!」
テレーズは凛を褒め称える。
「テレーズ様のおかげです。まさか女王陛下への献上品になさるとは思いませんでした」
「だって、女王陛下に似合うと思って。実際似合うでしょう?」
「ええ。女王陛下は完璧に着こなしていらっしゃいます。テレーズ様もお似合いですよ」
「えへへ」
テレーズは照れ笑いを浮かべた。
「どうせなら、着物に似合う髪型のセットもお教えしますよ」
「え!?お願いします!」
「ええ。お任せください」
凛がテレーズに髪の結い方を教える。それをそばで見ていたマルカは必死にメモを取って覚えようとした。それを見て凛は教える相手をテレーズからマルカに変えた。テレーズはマルカへの凛の説明を自分でも覚えようと頑張る。
「今度、女王陛下にも教えて差し上げても良いですか?」
「もちろんです、テレーズ様。女王陛下が髪を結い上げれば、さぞお美しいでしょうね」
「楽しみですね!」
ということで、テレーズは…というかテレーズに連れていかれるマルカは、後日また女王陛下に謁見して女王陛下の侍女に髪の結い方を教えた。緊張で喉から心臓が出そうであった。
「女王陛下似合いますー!」
「ふふ、ありがとうございます。テレーズも良く似合いますよ」
テレーズはすっかりと以前にも増して女王陛下に可愛がられている。
その後今度はマドロンを屋敷に招き、マルカに髪の結い方をマドロンの侍女に教えさせるテレーズ。マドロンはその侍女の教えを姉二人の侍女にも受けさせる。姉二人はテレーズと凛、そしてマドロンを褒めた。そんな姉二人にマドロンは満足げな表情になる。マドロンの両親や兄は髪を結い上げ着物を着た三姉妹を、可愛い可愛いと甘やかしていた。
凛、大物デザイナーになる




