彼女は幸せを噛みしめる
今まで本当にありがとうございました!皆様のおかげで楽しく書けました!この小説はここで最終回とさせていただきます。本当に応援、感想、評価、ブックマーク、いいね、ありがとうございました!皆様の優しさでこの小説は出来ています・:*+.\(( °ω° ))/.:+
「ママ、だいぶお腹が大きくなったのぅ」
テレーズの懐妊がわかってから数ヶ月。テレーズのお腹は大きくなり、あと数日もあれば産気づくだろうと言われている。屋敷には医者が泊まり込み、いつ産気づいても大丈夫なように備えてある。
「もうすぐユゲットの弟と妹が生まれてきますからね!」
「まさかの二卵性双生児じゃったのぅ……弟と妹を同時に得られるとは、妾は幸せ者じゃな。大切に慈しむことを誓う故、ママは安心して産んでおくれ。産んだらゆっくり休んで、みんなで赤ちゃんを愛でようぞ」
「そうですね!楽しみだなぁ……」
「出産は危険も伴うそうじゃが、妾はママを信じておるからの。すごく痛くて辛いと聞くが、このユゲットがついておる。泣き言は聞くから、元気な子を産んでおくれ」
「ふふ、はい!」
母娘でそんな会話をしていると、執務を終えたボーモンもテレーズの部屋に来た。
「テレーズ、遅くなってすまない。調子はどうだ?何かあればすぐに知らせて欲しい」
「ボーモン様、大丈夫ですよ。今、ユゲットと出産についてお話していたところです」
「そうか。ユゲット、その時は私と一緒にテレーズの手を握ってあげてくれるか?ユゲットがいればテレーズも安心だろう」
「もちろんなのじゃ!」
その時だった。テレーズのお腹に激痛が走る。
「痛っ……!痛い!お腹がっ……!」
「テレーズ!?」
「マルカ!お医者様を呼んでくるのじゃ!」
「は、はい!今呼びます!」
マルカが医者を呼びに行く。その間ボーモンとユゲットがテレーズの手を握ってやった。
「テレーズ、大丈夫だ。私がついているからな!」
「ママ、大丈夫なのじゃ。妾もついているし、パパもいる。お医者様とマルカもすぐにくるからのぅ。焦る必要はないぞ。大丈夫、大丈夫なのじゃ」
「は、はい……うぐっ」
そしてマルカが屋敷に泊まり込んでくれていた医者を連れてきて、徹夜で出産。双子の可愛い赤ちゃんが生まれた時には朝日が昇っていた。
「おー、可愛い男の子と女の子なのじゃー」
ユゲットとボーモンが赤ちゃんを抱く。テレーズは双子の出産の疲れでそれどころではなかった。
「ママ、よく頑張ったのぅ」
「テレーズ、元気な双子を本当にありがとう」
「えへへ……」
力無く笑うテレーズ。本当にただただ疲れ切っていた。それでもテレーズは言う。
「ユゲット」
「なんじゃ、ママ」
「この子たちの名付け親になってくれませんか?」
「……よいのかの?」
「ユゲットだからお願いしたいんです」
ユゲットはにんまりと笑った。
「では期待に応えて。男の子の方はアンリ、女の子の方はアンリエットじゃ」
「ユゲット、さては前々から考えていただろう」
「だって、せっかくの可愛い弟妹なのじゃ。名前くらい妄想したってよかろう?」
「もちろん構わないが。むしろユゲットがこの子たちを迎え入れてくれて嬉しい」
「そうじゃろう?」
テレーズは疲れ切った身体を動かして、ユゲットの頭を撫でる。
「私とボーモン様とユゲット、アンリとアンリエット。これからは五人で家族です。これからもずっと一緒にいてくださいね、ユゲット。ボーモン様も」
「もちろんなのじゃ」
「ああ、ずっと一緒にいる。テレーズもだぞ」
「もちろんです」
「アンリとアンリエットもじゃぞー?」
ユゲットがアンリを優しく揺さぶる。アンリは穏やかな表情で眠っていた。
「アンリエット。お姉ちゃんの言うことをよく聞いて、素敵な女性に育つんだぞ」
ボーモンが優しくアンリエットを揺さぶれば、アンリエットはすやすや寝息を立てた。
「ふふ。どうかこの幸せが、ずっと続きますように」
テレーズのささやかな願いは、ここに聞き届けられた。これからは賑やかで穏やかな、幸せな未来が約束されるだろう。
本当にありがとうございました!とても幸せな時間をいただきました。皆様の応援あってこその小説です。まだまだ至らぬ点ばかりですが、また性懲りも無く連載作品を作っていくつもりなのでそちらの方でお会い出来たらすごく嬉しいです。本作もお付き合いくださり本当にありがとうございました!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆




